疑問
「ガイア!!」
声かけるが反応がない。どうやら銃のようなもので胸を撃たれたらしい。
「し、死んでいるのか!? どうするんだセルイ!?」
焦る詩音に、セルイは冷静に言う。
「血が乾いているっスね……。殺られたのはだいぶ前みたいっス」
「なぜそんなに冷静で居られるんだ!? 仲間が亡くなったのだぞ!?」
詩音の言葉に、セルイが答える。
「……オレだってショックは受けてるっスよ? ただ今は、ガイアの身に何が起きたのか、それを明らかにするのがさきっス。この街じゃ割り切らないとやってられないんスよ……」
そう言うと、セルイは、ガイアの撃たれた胸元に口を寄せ、舐める。
「!? 何をしているんだ!?」
「何って情報収集っスよ。ガイアの血から記憶を読み取るっス」
あっけらかんと言うセルイに、彼が吸血鬼である事を思い知らされた詩音は、
「それで? なにか得られたか?」
話を戻すと、セルイが言う。
「どうやら殺ったのは……吸血鬼っスね」
「な!?」
セルイの言葉に詩音が動揺する。そんな彼女に、
「吸血鬼がオレだけなんて一度も言ってないっスよ? それに、どうやらこれ自体が罠だったみたいっスね……。来たみたいっス」
何が? と聞く前に、けたたましい騒音がする。
「今度はなんだ!?」
「パトカーのサイレンっスよ! オレ達犯人にされるっス! 逃げるっスよ!」
そう言うとセルイはトランクを片手に持ち、もう片方の腕で詩音をギターケースごと担ぐと、
「そんじゃ、久しぶりにやるっスよ〜!!」
「な、何をするつもりだ!?」
「何って、飛ぶんスよ!」
そう言って窓から飛び降りた。
「うわぁぁぁ!?」
セルイの背中から黒いコウモリのような羽が生え、昼間のサクヤシティを飛んで行く。
「お、お前飛べたのか!?」
動揺する詩音に、
「そうっスよ?」
あっさり答えるセルイに、
「な! それじゃお前、でんしゃとか乗らなくていいのではないか!?」
詩音の言葉に、セルイが言う。
「飛ぶのも楽じゃないんスよ! 疲れるし! その点、電車なんてただ乗ってればいいんスから、楽っしょ?」
そう言うと、
「そんなわけで、一旦家まで戻るっスよ〜!!」
「この状態でか!? 私も結構辛いんだが!?」
我慢っス! と言うと、セルイは家に向かって飛んで行った。
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「空を飛ぶのはもうごめんだ……」
家に着くなり、開口一番にそう言う詩音に、
「そうっスか? 飛ぶとだいたいの人間は喜ぶんスけどね〜」
価値観の違いっスかね〜と呑気に言うセルイに、詩音は反論をやめ、話題を変える。
「それで? 吸血鬼がガイア殿を殺したとの事だが、それ以上の情報はあったのか?」
「そうっスね。血から得た情報だと、ガイアを殺ったのはエンドと言う組織に属している吸血鬼っスね。吸血鬼って言っても、恐らく眷属の方っス」
「なぜわかる?」
詩音の言葉に、セルイが冷静に言う。
「真祖なんてそうそういるもんじゃないっスからね……。それに、夜に襲撃してるし。わざわざ銃使って殺すなんて眷属以外ありえないっスよ」
「お前も武器を使っているではないか?」
詩音の指摘に、セルイが視線を逸らしながら言う。
「オレの事はいいんスよ! それより、話を戻すっスよ! ガイアは聖リントと詩音の親父殿の事を調べていて、殺された。でもそこで疑問がでるっス」
セルイの言葉に、詩音が続ける。
「なぜ聖リントではなく、えんど? と言う組織に殺されたのか? だな」
頷くと、セルイは言う。
「そんで、その答えは、どうやらここにあるみたいっスね!」
そう言って取り出したのは、血で書かれた地図だった。
「な!? お前いつの間にそんなものを!?」
詩音の言葉に、セルイは得意げに言う。
「ふふ〜ん! コレが年の功ってヤツっスね! ガイアの部屋を出る前に拝借したっス!」
簡単に言うセルイに、詩音は項垂れた様子で言う。
「……お前は冷静だな。それに比べて、私は! 聖騎士だと言うのに動揺してばかりだ! 不甲斐ない!!」
そう言う詩音にセルイは近づくと、頭を撫でる。
「!?」
「詩音。オタクはよくやってるっスよ? あれだけ色々起こったら、普通、もっと動揺どころの騒ぎじゃないっスからね?」
そう言っていい子いい子するセルイの手をはらい、
「……子供扱いするな」
「ハイハイ。元気になったっスね〜!」
その言葉でむくれる詩音に、セルイが言う。
「それじゃこの地図の所に向かう……前に、昼飯でも食べますか!」




