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出会い

 20XX年 臨海都市サクヤシティ


 自治区として成立しているこの都市は、市長を筆頭としたサクヤ議会が牛耳っていた。

 犯罪率も高く、ゴミは散乱し、そこいらに怪しい人々が行き交う、そんな常に死と隣り合わせのような環境に一人の少年が身を置いていた。



「今日の集荷はこれくらいっスかね〜!」


 いい取引が出来て上々の少年は、ゆっくりと雨の中歩いていた。

 十代半ばとおもしき外見の少年。

 その出で立ちは、黒のノースリーブのパーカーに、フードの両サイドが垂れ耳で左側にプレートが付いており、白Tシャツにカーゴパンツ、黒いスニーカーと指抜きグローブ、首にループタイという目立つ格好をしていた。

 容姿は良いが、灰色の髪はボサボサで瞳は紅く、それが服装と相俟って不気味さを醸し出していた。


「ふ〜ふ〜ん♪」


 鼻歌混じりに歩く少年に、突如、背中に激痛が襲う。


「!?」


 驚く少年が振り向くと、そこには先程の取引相手がいた。


「グハッ!」


 血を吐く少年に対し、取引相手の男は言う。


「悪いな。これも商売だ!」


 背中を突き刺した包丁を抜き、男は笑いながら、無理やり鍵を壊し、少年の荷物を漁る。


「中々いい品揃ってんじゃねえか? ああん?」


 漁る事に夢中になっていたため、男は気づかなかった。

 少年が立ち上がった事に。


「いったいなぁ〜。闇討ちは卑怯ッスよ?」


 生きている少年に驚く男は、


「な、なんで生きてるんだ!? 確かに刺したはずなのに!!」


 少年の得体のしれなさに、冷や汗を止めることが出来なかった。


「そりゃあまぁ、企業秘密っスね! それじゃ、依頼主を教えてもらおっと!」


 そう言うと、少年はゆっくりと、腰の抜けた男に近寄り、首筋を噛んだ。


 血を吸われている感覚に快感を覚え、意識がふわふわとしてくる男。

 やがて気を失い、血を吸われ尽くし絶命した。


「おっさんの血とかあんま吸いたくないんスけどね~。って聞こえてないか」


 伸びとあくびをすると、


「このTシャツお気にだったのに〜!」


 文句を言いながら、荒らされた荷物を戻していく。

 すると、雷が近くに落ちた。


「今度は落雷!? 今日のオレ、ついてないっス〜!」


 もの凄く近くで落ちた雷の中から、西洋の黒い甲冑に荘厳なマントを付けた騎士のような出で立ちをした人物が出てきた。

 その人物は、周りを見て、少年に気づくと、


「ここはどこだ?」


 そう一言聞いてきた。


 これが運命の出会いとなる事に、二人はまだ知らなかった。


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