令和 ~『心無きもの』に刻まれし言葉~
この小説は、地味に『二次創作』が入っています。
本筋と物事を違えない程度に。
『西音寺 尊』は、自分の探偵事務所の席に座り、パソコンを眺めてぶつぶつと言っていた。
西音寺「ザビエルー…。」
すると、窓の外で『バサッ!』という音がした。
西音寺は振り返ることなく、パソコンを眺めている。
西音寺「…誰だ。」
???「さぁ、誰だろうね、探偵さん。」
西音寺「『みこと』じゃなかったか…。」
すると、戸が開いて、隣で弁護士事務所を営む『みこと』が入ってきた。
みこと「やっほー!」
西音寺「…。」
みことは、窓の外の人影に気付いて驚いた。
みこと「西音寺!窓の外、誰かいるよ!?」
西音寺「知ってる。」
???「探偵さん、ちょっと、困るよねー?」
西音寺「『ザビエル』の事か?」
???「そうそう。」
みこと「『ザビエル』?」
西音寺は、パソコン画面を回してみことに見せた。
みことはツカツカと歩み寄り、西音寺の机を『バン!』と叩いた。
みこと「『ローマ法王』!」
西音寺「何だお前、『信者』か。」
みこと「『縁起でもない』って言ってるの!」
すると、窓が半開きになり、一つの封筒が投げ込まれた。
『バサッ』という音とともに、かすかにクッションがかったような音がした。
西音寺尊がその封筒を拾い上げた。
尊「『麻薬』かなんか?」
『西音寺 尊』は、窓の外を見た。
白い服に身を包んでいるかのような人物の影が、半透明のガラスに浮かび上がっている。
???「さぁ、それよりも、もうちょっと『良いもの』じゃないかな?」
尊「もうちょっと?」
『西音寺 尊』は笑いながら、封筒を開けた。
その『封筒』の中には、緩衝材の中に、一つの黒と白の『石』のようなものが入っていた。
???「『天眼石』」
尊「『天眼石』?」
その『封筒』から、一枚の『紙』が机の上に落ちた。
そこには、こう書かれていた。
「『天眼石』、"Eye Agate"、今の貴君に、必要なもの。」
尊「…。」
みこと「…誰?…それは何?」
尊「…まあ、そんな単刀直入に聞くな。」
???「『伝書鳩』ですよ。少し、どうしても、必要なものだったので、お届けに上がりました。」
みこと「必要なもの?」
みことは、その『緩衝材』に包まれた『石』のようなものを尊から取って眺めた。
尊「多分それ、『宝石』だぞ?」
みこと「ええええ!?」
みことは、その『天眼石』とされるものを落としそうになった。
尊「おいおいおい。かんべんしてくれよ?」
みことは何とかその『天眼石』を包んでいる『緩衝材』を手に取りなおした。
???「では、僕はこれにて…。」
尊「おいおいおい。こんな『得体のしれないもの』を渡して、何の説明もなしかい?」
???「『爆弾』にでも見えます?」
尊「そう言ってるんじゃねえよ。」
???「『石に刻まれし言葉』」
尊「…。」
???「そういえば、あなたには分かると《聞いている》のですけれど…。」
尊「買いかぶるな…。」
???「そうでしたか。」
尊「そして帰れ。」
西音寺尊は、『封筒』を横向きに掴み、窓の方に投げた。
『バサッ』という封筒が放られた音と、
同じく『バサッ』という、白い服に身を包んでいるかのような人物の影の立てた音が『共鳴』するかのように響き、
その人影は姿を消した。
みことは、窓を開けて外を見たが、そこには誰もいなかった。
西音寺尊は、その方向を見て『ヒュー』と口笛を鳴らした。
みこと「なんだったの?あれ。」
尊は、机の方を向きなおした。
そして、『緩衝材』をはさみで破り、中に入っていた『天眼石』という『宝石』を手に取って眺めながら答えた。
尊「…さあな。『疫病神』かなんかじゃねえの?」
みこと「『疫病神』?」
みことも『天眼石』とされる『宝石』を眺めた。
みこと「ちょっとそれ、高いものじゃないんでしょうねー。」
尊「さぁな。にしてもガサツな入れ方だぜ。」
みことは頷いた。
みこと「ま、あんた、『宝石』だからって、大事にする『タチ』だったっけ?」
尊は、『緩衝材』の中に、その『宝石』を戻し、机の上に置いてため息をついた。
みこと「…でも何でそんなもの…。」
尊「…なぁ、みこと。『天眼石』ってなんだ。」
みこと「知らないわよ。」
尊「だよなー…。"Eye Agate"……。分からんなぁ…。」
西音寺尊は、インターネットで検索しようとした。
すると、ふと、その『封筒』の中に入っていた『紙』に目がいった。
尊「…おおっと。」
西音寺はその『紙』をつかんで眺めた。
尊「『天眼石』…『天眼石』…。」
尊は椅子にもたれかかって考えている。
《「『天眼石』、"Eye Agate"、今の貴君に、必要なもの。」》
みこと「…ねえちょっと。売るんなら、分けてよね?」
尊「売るわけねえだろ?『天眼石』だぞ?」
みこと「…だから?」
西音寺尊は、その『紙』と、『緩衝材』に包んである『天眼石』をみことに見せていった。
尊「十分、『縁起でもねぇ』って言ってるんだよ…。」
みこと「…まぁ、そうよねー…。」
尊「『石に刻まれし言葉』…『天眼石』…なるほどねぇ…。」
みこと「分かったの?」
尊「お前は、分かんなくていい。そろそろ帰ったらどうだ?」
みこと「えーっ。」
西音寺尊は舌打ちをした。
尊「暇なのね?」
みこと「…あんたもでしょ?」
尊「茶でも飲んでくつろいで行け?」
みこと「ありがと?」
みことはそういうと、ポットのある場所へと歩いていった。
意図するところを、読者方で何なり考えていただけるきっかけになればと思う次第であります。
さやそばらすか。