プロローグ
昔々、あるところに白雪姫がいました。
白雪姫は国で一番美しい妃の下に生まれ、その美貌は七つになるころには、親である妃を凌ぐほどでした。
妃はそんな白雪姫を恨みました。妃は、自分が一番美しくないことに腹を立てたのです。
妃は狩人に命じ、白雪姫を暗殺させようとしました。
しかし、狩人はそんな白雪姫を哀れに思い、殺さずに森へと置き去りにしていきました。
白雪姫は恐れました、おびえました、焦燥しました。わずか七つで、獣たちが跋扈する森へと置いて行かれ、いつその命が刈り取られるのかすら分からないのです。
やがて、白雪姫はある小屋へとたどり着きました。
白雪姫はそこで七人の小人たちに出会い、面倒を見てもらうことなりました。
ですが、そんな生活も長くは続きません。鏡によって、妃に生きていることを知られてしまった白雪姫は、立て続けに三度、妃によって、自らの親によって、殺されました。
それでも白雪姫は二度、小人たちの下によって生き返り、最後に王子のところへ引き取られました。
王子は白雪姫を愛で、四六時中一緒にいました。
ですがある日、王子の下仕えによって白雪姫はリンゴを吐き出し、また目を覚ましました。
三度死に、三度生き返った白雪姫は、果たしてどうなってしまったのでしょう。
雪のように白く、鮮血のように赤く、黒檀のように黒い少女は、一体何を思ったのでしょう。