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1.新タマネギ美容液


ジェニック・ガールになれる

ジェニック水着を買わなくちゃ

春のジェニックカラー

ジェニックカラーアイテム

ジェニック部屋の簡単ルール

コーナーをジェニックに

布アイテムでジェニックに

ここがジェニックPOINT 

即ジェニックになれる

理想のジェニックをお手軽に


ジェニックジェニックジェニック・・・・


 調剤薬局の待合室で、わたしは雑誌を手にして固まった。

 年齢と地味な見た目で判断されて、美容室ではわたしの前に置かれることはないファッション雑誌。ちっと見てみたいけど付録が着いてヒモで括られてるから本屋で立ち読みができない二十代女性向け雑誌。

 じいさんばあさんばっかりの調剤薬局の待合室。わたしがこれを読んでても全く不自然じゃないので、当然のようにページをめくってみたが、この単語の登場回数に面食らった。

 ジェニック。

 何? ジェネリックの親戚?

 地味な三十路のお前が読むべき雑誌ではないのだと、軽く呪いの呪文をかけられている気になってきた。

 思わず、スマホで検索する。

 フォトジェニックのことらしい。

 写真映りがいいことを指すようだ。インスタ映えとかいうやつか。

 切り取った瞬間の見た目のために、そろえるファッション。

 楽しいのか?

 と、思いながらも口の中に三つもできた口内炎がしみる。

 たとえ偽りのジェニックライフでも、その瞬間は、私の毎日よりは楽しそうだ。

 決して人に見せられないような荒れた生活のせいで、肌荒れと口内炎がなかなか治らない。

 土曜の午前中、病院を受診した。

 元凶は便秘なので、マグネシウム系の便秘薬と整腸剤。ハトムギ由来の成分が配合されたビタミン剤と軟膏が処方された。気休めにしかならないな。と思いながらも、口内が壊滅状態のわたしには病院で薬をもらう以外の方法を考える余裕がなかった。

 天井から吊り下げられたディスプレイに表示される受付番号。わたしの番号はまだまだ先のようだ。

 読むところがなくて、読み終えてしまったジェニック雑誌をラックに戻して、美容健康系の雑誌を手にした。そのネタ信用していいのと思える週刊誌みたいな民間療法本じゃなくて、日常をゆっくり丁寧に暮らす提案をしてる、ちょっとハイソな空気感がまとう都会的な雑誌。

「何を食べるかじゃなくて、何を食べないか」というタイトルで、身近な食べ物の栄養素について解説されている。

 経済的に余裕のある人達を対象にしているのか、結局「いい食材で自炊」というのが結論で、専業主婦みたいな生活しないと実行できないものが多い。

 作れない人には、ってお取り寄せ情報も書いてあるけどめちゃくちゃ割高なやつ。

 そりゃさ、規則正しい生活をして自炊してれば、便秘しないし口内炎なんてできない。分かるよ。でもそれができないから、こうやって薬にたよってしまうんだよ。

 そう文句を言いつつも読み進めると、 健康雑誌こそ、ジェニックアイテムな気がしてくる。

「わたしたち、キレイになりたいから、油と砂糖の塊のクッキーなんて絶対食べない。おやつはこれ、甘酒とナッツです」って意識高い系モデルのジェニックな日常を紹介してる。そういう人達を喜ばせるために科学的裏付けをしている雑誌なんだと思えてくる。

 普通の人間たちが普段口にするものは、ある意味毒まみれ。精製された白米や、小麦で作ったパン。砂糖や油は、ものすごいウイルスかのように書かれている。

 小腹が空いたときのクッキーって幸せだよ。脳に栄養あげなくちゃ。

 なんていうと「砂糖は血糖値が急激に上がるので、よくないんですよ」とか「同じクッキーなら精製されていないブラン系がお勧め」と美容オタクがコメント書き込んできそうだ。

 白米がお腹いっぱい食べられる時代に、わざわざ玄米食べるって、味とかよりも美意識高いわたしアイテムって気がして、なんか受け入れられないんだよね。実際、比べたら絶対白米の方が美味しいと思うし。

 そりゃ、わたしだってね、薬でどうにかしようって思うぐらいだから、見た目を諦めたわけじゃない。年齢的には、おばさんに入れられちゃうかもしれないけど、まだ子供もいないし、結婚さえもしていない。女を諦めたわけじゃない。

 体にいいことは、美容にもいい、分かっていながら実行できない自分の面倒臭い気持ちには勝てずに、言い訳ばかりが頭でツイートする。

そんな特集の中で「高い美容液を買うなら、有機野菜を買おう」の一文が引っかかった。

 結構いい値段の美容液買ってる。もはやわたしのライフライン。あれがないと出勤できない。でも、肌の表面を覆っているだけで、肌本来がが良くなっているわけではない。薬じゃなくて化粧品だから、当たり前だけど、これを永遠に続けなければ、肌は普通の状態でもいられないのかと思う時がある。続けるには高い。

 あれを買うのをやめて、野菜を食べてみたら違うというのか。

 どんだけ食べて、どれだけ続ければ効果が出るというのだ。それが五年後、とか言われると、美容液をすっぱりやめて野菜に託す勇気は無いな。三十五歳の時、今よりキレイになってるなら嬉しいけど、その間の五年間、どう過ごせと言うのだ。

 野菜のすごさをいろいろ書いてあったが、わたしの番号が呼ばれたので、その雑誌をラックに戻した。

 

 薬代という想定外の出費で手持ちがあまりなくなったので、ATMに寄ろうと郵便局に行くと、入り口横のスペースで野菜を売っていた。

 おそらく有機野菜。

 詐欺師ドラマのターゲットにされて、あの雑誌を手に取るように仕込まれていたのではないかと思えてくる。わたしに野菜を買わせるために、ここにくることも計算されてて、実は財布のお金も抜き取られてたんじゃないかと、日頃の自分の無駄遣いさえも伏線となるシナリオが浮かんでしまう。

 配送関係で郵便局と関係あるのか、ただ場所を借りているだけか、時々、和菓子屋が出張販売してたり、旬のフルーツが並んで物産展みたいなことをやってたりする。だから、ここで野菜を売ってても別に不自然ではないが、タイミングが良すぎて戸惑う。

「アンケートに答えて頂いた方に、こちらの野菜をプレゼントしてます」

 遠目に気にしつつ、郵便局の中に入ろうとするわたしに、女性がチラシを差し出してきた。

「アンケート?」

「はい。お住まいの地域をざっくり書いて頂くだけで、個人情報はいただきませんので」

「へえ」

 わたしは足を止めた。

 プレゼントしてくれるというワゴンの中で並んでいる野菜達が、捨て犬のようにわたしを見ているような気がしてくる。

「今が旬の新じゃが、新タマネギ、春キャベツも、すごっく美味しいんで。是非ともお試し頂きたくて」

「これって有機野菜ってやつで、高いんですよね?」

「はい。農薬をなるべく使わないで作った野菜です。スーパーとかで売ってるものに比べれば多少、お値段は張りますが、野菜本来の味の濃さが全然違います。もちろん、栄養価も」

「へえ」

「ご興味ありましたら、インターネットの方でお申し込みいただけますので、よかったら是非。野菜の種類や量も好きなようにカスタマイズできるし、普通のお店では手に入らないような珍しい野菜もたくさんあるので」

 わたしぐらいの女性が主にターゲットなのんだろう。女は、いい鴨が来たという感じで目をキラキラさせてカタログやチラシを用意する。

 珍しい野菜とか、まさにジェニックなインスタ映えアイテムなんだろうな。

 地域を書くだけならいいかと思い、わたしはアンケートに答えて、小さめの新タマネギを2個もらった。


 家に帰えると彼氏の隆平が、勝手に上がってテレビを見ていた。

「お帰り」

「あれ、今日、用事あったんじゃないの?」

「夕方から。家にパンツがなくて寄った。ついでにシャワー借りた」

「え」

 洗って乾してたたむ暇が無い洗濯物の山が、さらに崩れている。はいてきたパンツと濡れたタオルが、これから洗う洗濯物を入れるカゴにちゃっかり入っている。

「来るなら連絡してよ」

「いいじゃん、鍵持ってるんだし」

 ゆっくりと穏やかな口調で少年のような顔で笑う。

いつも、この笑顔に負けて許してしまう。

 でも、最近、何かが違う気がしてきた。

 ドラマとかでよくある、彼氏の家の鍵を持ってる彼女って、連絡なしに勝手に家に行くけど、だいたい掃除してくれたり、洗濯物がたたんでくれたり、ご飯が作ってくれたりする。逆の場合があってもいい。嫌がる女の人もいるけど、わたしは勝手に家事やってくれて全然いいと思う派。結構前から、それとなく、言っているのに全然伝わらない。

 気がつくと洗濯物が増えてて、わたしがご飯作るのお腹すかせて待ってて、部屋が散らかってる。明らかに隆平が汚してるのにトイレ掃除もしてくれないし、週の半分くらい来て泊まることも多いのにお風呂掃除を一回もやってくれたことがない。もちろん家賃の一部を払ってくれるわけでもないし、食費も出してくれない。

 隆平は実家暮らしだから、家賃や光熱費といったものにお金が掛かっている意識が低い気がする。

 デート代は全部彼持ちだから金銭的にはそこで相殺されてるし、別に私が小遣い与えてるわけじゃないからヒモではないんだろうが、なんだか納得いかない。

 デートって言っても、わたしのリクエストを聞いておきながら、だいたい彼が興味のある所に連れ回されるから、相殺されてない気もする。

 世話を焼きたいタイプの女は何も疑問に思わないんだろうし、この不満を男という生き物に述べたら、自分の理想ばっかり押しつける女と言われかねない。確かに、わたしの求める者はプラスアルファな部分で、やってくれないことに不満を言ったらキリがない。ごはん作ってくれたり、洗濯しておいてくれたりしたら本当にありがとうって感謝する。

 あくまで、ここはわたしの家だから、彼がやらなきゃいけないというルールはない。

 勝手に使われたくなければ、わたしに断る権利はある。

 はっきり言わず、彼の甘えを受け入れてしまっているのは、わたしの意思だ。

 別に、結婚してるわけでもないし。

 同棲というわけでもない。

 付き合って二年。お互い三十になるが、結婚という雰囲気には至ってない。

「どこ行ってたの?」

「病院」

「どうしたの? どこが悪いの?」

 お母さんを問いただす子供のようだ。病気を心配というより、お母さんは無敵だと思ってて、病気になるなんて裏切り行為かのように言う、贅沢な子供の方。

「うん、ちょっと」

 わたしはお腹に手を当てた。

「え? まさか」

 隆平めちゃくちゃ困った顔をした。

 思わせぶりなことをしたらどんな反応するかと、試してみたくなったが怖いからやめた。

「出なくて。便秘」

「便秘? そうか」

 安堵の表情は、どうにも読めない。

「仕事忙しくてさ、不規則な生活が続いて、いろいろ体が悲鳴あげてる」

「そっか。お疲れさま」

 隆平は穏やかな低音を響かせながら、わたしを後ろから抱きしめた。

 ビジュアルは、なり損ないのイケメンで惜しい感じなんだけど、絶妙に優しい。

 イケメン俳優が妖精みたいになって褒めてくれる化粧水のCMみたいに、ああ、わたしを受け止めてくれるのは君だけだよ、ありがとう、って気になってしまう。

「でも、なんでこの時期? 毎年忙しかったっけ?」

「うん。連休明けに休んだ人がいてさ、その人の仕事もやることになってしまって」

「なに、五月病?」

「ううん。子供がマイコプラズマになって、なかなか治らないとかで」

「ママさんなんだ」

「そうなの」

「いくつぐらいの人?」

「三十五歳ぐらいかな」

 ウチの会社は、女性のほとんどは契約社員なので、既婚だろうが未婚だろうが子持ちだろうが、立場はあんまり変わらない。

 そのママ社員、副島さんは、妊娠を機に退職した会社がウチの親会社だったので、コネというか紹介でウチに中途採用されたらしい。仕事ができる人なのに、役職とかそういうの気にしないで、わたしと同じような仕事文句も言わずやってるんだから、会社としては使い勝手がいいんだろうに。

 子育てが一段落といっても子供はまだ小学生だから、病気だ、学校行事だで、しょっちゅう休む。早退する。もちろん残業はしないで定時で帰る。

 仕事ができる故、普段はなんにも支障ない。だけど、他の人に振れるように用意されてなかったから、急に休まれて、わたしには処理しきれなくて大変だった。「誰が見てもできるように情報開示しておくのが、本当に仕事ができる人だよ」と、わたしをフォローしてくれる人もいるけど、ちょっと虚しかった。わたしの処理能力がないんだと自分でも思うし、その人は副島さんの文句を言いたいだけなのが分かるから。

 ウチみたいに幹部は男だけ、男社会の会社じゃ、働くママに対応するシステムが出来上がってないので、いろんな所にしわ寄せがくる。

 働き方改革、女性の社会進出とかで、働くママの権利ばっかり受け入れてる。ママ自身、確かにいろいろ大変だろうけど、同じ女性職員の間では不満を抱かずにはいられない。何かあるたびにズルいって思いが先行してしまう。

 しわ寄せは、子供のいない女性職員にくる。独身女が一番に頼られるのは仕方ないとして、可哀想なのは、子供が欲しいけどできない既婚女性。なんで、子供がいる幸せな人のサポート側にされちゃうんだって。

本人の病欠の場合はお互い様って思うけど、子供が絡むと不平等感がたまらない。

 どっかの企業では、ママ職員のサポートをすることになる周りの職員に対して、いくらか給料に上乗せされるっていうシステムがあるって聞いたけど、ウチは絶対導入されないだろうな。

「大変かもしれないけど、そういう人、味方に付けておいた方がいいと思う」

「なんで?」

「藍子は、ママになっても働く女性でいて欲しい。俺、そういう女性が好き。専業主婦とか怖い」

「怖いってなに?」

「妖怪お母さんって感じ。母親以外の時間がちゃんとある女の人がいいな。だから、一緒に働いて、一緒に子育てしよう。保育園の送り迎えとか、俺行くよ」

「え、隆平、それって」

「ん?」

 結婚のけの字も話題に出さなかったのに、子供の保育園の送り迎えまで想像しだして、やっぱり、さっき、一瞬でも妊娠かと思ったのかな。

「わたしと結婚する気あるの?」

「当たり前じゃん」

 隆平は、背中からぎゅうと抱きしめた。

 この台詞、シチュエーション。ティーン向けの少女マンガだったら幸せの絶頂だよな。

 嬉しいはずなのに、この瞬間は幸せなのに、何も感じない。幽体離脱したみたいに他人事のように上から見てる自分がいる気がする。

 わたしは黙って抱きしめられていた。

 このままいい感じの流れになって、プロポーズみたいなこと言わせてしまったら、どうしようと思った。身体が疲れ切ってる今は、受け止める気持ちになれない。

 そういう時こそ、家族とかそういのに癒やされるのかもしてないけど、今は現状維持が一番いいなと思える。

 わたしの能力じゃ、妊娠したっていったら、どんな扱い受けるんだろうと怖くなる。契約社員だから更新されないで、さようならだろうな。続けられて育休取れて、無事生まれたとしても、保育園見つからなくて復帰できないかもしれないし。副島さんみたいに子供が小学生に上がったら、子会社でもいいから雇ってもらえる、なんてあり得ないだろうな。

 隆平は専業主婦を望んでない。わたしも、子供産んだから、お母さんって役割しか与えられなくなってしまう人生なんて嫌だ。できることなら仕事を続けたい。

 そういう面では理解ある夫として、真面目に結婚を考え初めてもいいんじゃないかと思うけど、今は、まだこのままがいいと思えてしまう。

 隆平はガツガツしてない。そこまでわたしのこと好きじゃないのかなって思うほど、あっさりしてて、拒んでもがっかりもしない。

 でも、結婚に関しては、わたしが断ると思っていない気がする。

優しいのか、面倒くさがりなのか、分からない。

 わたしも、隆平のこと好きだけど、好きだからでいいのか、分からなくなる。

「藍子」

 のぞき込んでキスをしようとする隆平を制した。

「口内炎痛いから、しばらくお休み」

「ええ」

「だって、三つもあるんだよ」

「見せて」

「やだよ」

 わたしは隆平の唇に軽く唇を重ねて、逃げた。 


 隆平は、大学時代の友達との飲み会があるらしい。

わたしの体調を慮ってか、昼ご飯前にさっさと帰った。


 アンケートに答えてもらった、新タマネギを袋から取り出した。

 新タマネギの美味しい食べ方レシピがついていた。文字だけの簡素なもので、レシピと言えるほどの工程ではないが、サラダがオススメらしい。

 皮をむいて薄くスライスして、水にさらす。

 鰹節をいっぱいかけて、醤油でお召し上がりくださいと。

 実に簡単。

 新タマネギのサラダは、前にやったことあるが、辛くてあんまり食べられなかった。

辛さを和らげるために水にさらす時間を長くしたら、なんか栄養価が流れちゃいそうだし、そこまでするなら生で食べなくてもいいやと思った。

 だから、小さめだけど、生タマネギ丸々1個を一人では食べきれないと思い、半分は切らずにラップに包んで、あとでスープにでも入れよう。

 水にさらした分をお皿に盛って、使い切りの鰹節パックを全部かけた。

口内炎にしみたらどうしようと思いながら、醤油をかけて口に入れた。

「なにこれ、甘い」

 口に入れた瞬間、生タマネギなのに甘かった。

 だけど、後味はタマネギらしさをちゃんと主張して辛い。わたしが知ってる生タマネギの辛みは、辛み成分というものが、ドローンで運ばれて「ほら辛みだよ、受け取れ」って落とされたみたいに乱暴だった。

 けど、このタマネギは、きちんと玄関から入って「辛みのお届け物です」って手渡ししてくれるような優しい感じ。ものすごく丁度いい。イケメン配達員みたいに、また来てね!って言いたくなるぐらい。

 有機野菜ってこんなに違うのかと、わたしの舌がびっくりしている。

 そして、タマネギの成分が行き渡るように、体中がぽかぽかしてきて、ほんのり汗をかいた。毛穴から洗顔では落とせない金属とか出てきそう。デットクスってやつか。

 食べ始めたら止まらない。残した半分も食べることにした。もはや副菜のサラダではなくて、主食みたいに、これでお腹いっぱいにしたいぐらいだ。

 野菜。スゴい。

 何がスゴいって、数分後、三日ぶりにスゴいのが出た。せっかく処方してもらったけど、マグネシウム系便秘薬飲む止めた。必要ない。

 あの健康美容雑誌に「高い美容液買うなら有機野菜」って書いてあったけど「病院行くなら野菜食べろ」だ。ん? それは当たり前か。

 風邪をひいたらショウガがいいとか、胃もたれにはキャベツとか、昔から野菜は体の不調に効くんだった。

 友達のいいところを一つ一つ思い出して、実はいろいろ支えててもらってたことに気付かされたような、温かい気持ちがこみ上げた。ものすごく当たり前のことが、当たり前すぎて軽く感動している。

 普段から自分の体の声を聞いて、食に対してもう少し興味を持って、自分の体の中に何を取り入れるかを考えるべきだった。

 便秘が解消されたからか、タマネギひとつで、わたしは精神的にものすごく満たされた気分になった。


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