最初のボスに挑むのが早かった
あれから、数時間が経過した。
やっぱり、なんか思っていたのと違う……。そうおもった理由は、
美紀「なんで村とか敵とかなにもいないのよ…。」
武「あれ見ろよ、たぶん村じゃね、よかったな、美紀。」
そこには大規模な村があった。ここで色々と装備を買えるらしい。
ミルニム「着いたです。やっとですよ。ミルニムは疲れたです~。」
武「ほんと、長かった~。」
美紀「装備とかさっさと集めて、今日はどこかで泊まりましょう。」
「リーダーらしい、結構キマった。」と自画自賛していると、ミルニムは深刻そうにこんなことを言った。
ミルニム「泊まるお金が……足りないの……。装備は、はじめ無償で選べるの。けどミルニムは弱くて、あそこで誰かくるのを待ってたら、あなたたちがきたの。今日は野宿。ほんと、ごめん。」
今はもう夜方で、午後9時あたりのような雲色、集会所などのクエストを受ける場所も閉まっていて、お金が稼げない状態だった。それよりも…
美紀「ところで、どこで野宿するの?」
ミルニム「あそこです。あの宮殿の周りが初心者向けの最低限の泊まり施設なので……」
武「それって、テントとか食事も最低限出してくれるんだろ?優しすぎじゃね?」
ミルニム「ここではそれでもケチな施設だといわれています。」
美紀「とりあえず、今日は早く、そこで寝ましょう。」
そうして、次の日…。起きて、装備を選び、職業を決めるところまでやってきた。
ガイド「どの職業にされますか?」
武「俺は、剣士だ。ナイトって、マジかっけえからな。」
美紀「わたしは、魔法使いで…。」
ミルニム「二人ともいい職業を選んだのね。」
ガイド「剣士と魔法使いですね。では、装備は防具はあるようなので、武器をお渡しします。」
こうして、武器を手に入れて職業を無事にもらえたところで、ミルニムに職業を聞いてみた。
美紀「ところでミルニム、あなたの職業って何だったの?」
ミルニム「回復専門の魔法使い。美紀は攻撃専門になったけど、ミルニムは回復だから、一人でクエスト受けても、相手が回復して負けちゃった…。だけど、それで仲間ができて嬉しかった。」
武「これからもよろしくな、ミルニム。美紀もこれからもずっとよろしくな。」
ミルニム「うん、よろしく。美紀、武。」
美紀「うん。ていうか武、それ告白?」
正直、「ずっと」とか意味深でしかない。もし、本当だったら………
武「告白じゃないよ。けど、俺は美紀が女として好きだ。大好きだ。今まで、ずっと言えなくてゴメン。だから、今、ちゃんと言うよ……。俺と…付き合ってくれ!美紀。」
わたしは泣いていた。嬉しすぎてただこのひとときがずっと続けばいいなと思った。武は心配しているようだ。ミルニムは無言でわたしを見つめていた。
武「ごめん…。俺のこと嫌いだった?…」
美紀「違うの。本当に嬉しいの。わたしも武のこと、大好きなの。よろこんで彼女にならしてください。」
こうして、わたしは武と付き合うことになった。まだ、三十分たってもこの時のことが頭から離れない。そうしていると、ミルニムは完璧で間違いのひとつない言葉を言った。
ミルニム「わかってる?私たちは暇なんかじゃ…ないんだから!」
そして、その日の時間でいうと、さっきの出来事から三時間が経過した。
わたしたちはクエストを受けることにした。
最初に受けるクエストは「新メニューを考えろ」というものだった。
美紀「このクエスト、何なの。だから、ここの概念おかしいでしょ。」
武「(やっぱかわいい…)」
ミルニム「これなら一人でも出来ると思うけど…。というより、なんで三人限定!四人はダメなの?」
文句やらを言いつつも、わたしたちはクエスト会場に向かった。
どうやら、すごく近かったようだ。
店の名前は…「ホテル水島」って、なんで、ホテル!
そうおもって中にはいると、依頼者が内容を説明してくれた。
依頼者「このクエストは、「ここの新作メニューを考えてほしい」というだけの依頼だ。報酬は2000エクセル(日本円で約40万円)とここで泊まっていいということ。
泊まれる期間は、三日間で考えてほしいのと、その次の日から、一週間の売り上げを見るので、十日は泊まっていいとする。
なお、売り上げ次第でエクセルが増える場合もある。そこは、頑張ってくれ。」
三人「はい!」
そうして、地獄の新作メニューづくりが始まった。
まず、今日の一日目。自由勝手すぎて、全然うまくいかない始末。
武「これ、ズッキーニレモン仕立てサワークリームフォンデュだぜ。」
美紀・ミルニム「なんじゃそりゃ~!!!」
この調子である。武の暴れようが半端じゃなかった。
そして、二日目も…
武「今日は、ゴルーデンカスピ海・グレープとオレンジの始祖鳥丸焼きフルコース!!!」
美紀・ミルニム「なんかすごい!」
また、これである。そして、最後の三日目……。
最終的に決まった新作メニューは……
美紀「デスミドルチョコチップアッパーサンドで決定ね…。結局のところ、私のになったわね。」
ミルニム「武の良く分からないメニュー名とすごく似てるね。」
武「俺の移ったんじゃね。」
美紀「そうね…。」
最終的に決まったのはわたしのだった。
それは、ミルニムのは原型がなく、武のは、調理済み食品を混ぜただけの酷い作り様だったからだ。
だから、名前は酷かれど、味、見た目が完璧な私のメニューになった。
その結果といえば、
依頼者「10万ほど売れました!ありがとうございました。お礼の5000エクセル(日本円で約100万円)です!」
美紀「こんなにもらっていいんですか?」
依頼者「いいよ!君たちは頑張ったんだ!ほめる他ならないよ。」
武「当たり前だ!俺の嫁の料理が売れんはずがない!」
美紀「あんた、なにもしてないじゃない!嬉しいけど…。」
武「すまん。当たり前のこと言われて腹立ってもうた。」
ミルニム「もう行こう。次の仕事があるよ!暇なんかじゃないだから!」
夫婦のいちゃつきはさておいて、次はどこへ行こうか。
そう集会所で迷っていると…
なあんだ、コレ。レベルアップ?レベルが3になった。
美紀「なんか、レベルが3に上がってるんだけどさ…こんなシステムいつからあるの?」
武「俺も3になってる。ミルニムはなんか知ってるか?」
ミルニム「このlevelシステムはずっとあって、levelによって自分たちがどのクエストが最適か教えてくれるの。私たちが次にいくのはlevel5ぐらいが適正のクエスト。ちなみに、最初に倒すボスはlevelでいうと、20ぐらい。level25で挑もうとおもってるから、次は経験値の高い討伐クエストで少しlevelが足りないくらいの難しいクエストに行くの。ボスを倒すまでは長い道のりだね。頑張ろう。」
美紀「levelとかそんな風にカッコよく言ってる感じ、普通でいいのよ。それより次に行くのは、コレだよね。」
次のクエストは、「ゴゴゴゾゾゾの討伐?」
いや、クエスト名に?つけたら本当か全然分からない。とか、突っ込んでいるうちにそいつが現れた。
って、
美紀「でかくない?」
武「勝てるのか?10メートルはあるよな…。」
ミルニム「気合で勝ちます。行くぞ~!!」
美紀「支援系の魔法しか使えないのに突っ込んでどうすんの!」
ミルニムは戦闘不能した。集会所に転送します。
ミルニム「え~!ちょっと待っ…」
武「転送システムなんてあんの?ミルニム~!まあ、いっか。美紀、まず電気系の魔法で麻痺させて、そこで俺があいつに強攻撃をたたきこむ。美紀もそれに続けて、さらに氷系の魔法で凍らせた後、連携してくれ。」
美紀「わかったわ。くらえ、サンダーシャイニング!!」
ゴゴゴゾゾは倒れた。クエストをクリアした。
美紀はレベル10、武はレベル7になった。ミルニムはレベルが上がらなかった。
美紀・武「見た目のわりに弱すぎだろ~!!」
美紀「ていうか、ゾが一個少なかったし。そこら辺のシステム、雑だな。」
レベルが上がったが、フィニッシュボーナスでレベルの上がり方か変わるらしい。
それより、時間が余ってる…。
美紀「もう一つ、いけそうじゃない?」
その後、3つほどクリアし、私はレベル15、武が14、ミルニムは4になった。
あれ、なんでミルニムはレベル1しか上がってないのか。
簡単だった。
全部死んだからである。
レベルが1上がっているのは、ガイドさんのオススメした一人用のクエストをクリアしたからだ。
もう、今日は寝ようか…ドンドンドン!!!
なんだ!なんだ!扉が物凄い力でたたかれる。
美紀「誰よ。何してるの?ねぇ、聞いてるの?」
なんにも聞こえていないようだ。扉の音のせいだろう。
恐る恐る扉を開けると、そこには一人の女性がいた。
雫「私は、雫という。歳は20。君たちと年齢は二つ上だ。頼む!どうか、仲間に入れてくれまいか。」
美紀「別にいいですけど…あれは困ります。わたしが話しているの、全く聞いてなかったでしょ…」
雫「すまない。急な話でな…来週までにわたしとともにボスを倒してほしい!二人にはさっき、許可を取った。明日はレベル上げばっかりだが、どうか受け入れてくれないか。ちなみに私は支援系の戦士で、攻撃特化の武殿の援護攻撃をする。攻撃支援系の魔法なら一応使える。レベルは21だ。」
美紀「いいよ。わたしは美紀よ。よろしくね、雫。」
雫「美紀殿、ありがとう~!これからよろしく頼む。」
なんか、仲間が増えちゃいました。
正直、びっくりです。
雫は、表情豊かで可愛い女の子で頼れる存在。
やっと、真面目な子が加わったということで、寝ますか。
次の日、早速クエストを受けることができた。
クエストは、その中でも難しいのと簡単なのがある。
後、わたしたちくらいのレベル帯が多いので、取り合いになる。
正直、レベルは15からレベル経験値サポートというのがなくなるので上がりづらくなる。
そして、今日挑むクエストは…
美紀「レベル20推奨の「ドロールの討伐」って、これボスじゃない!」
雫「たぶん、勝てる。それに負けたところで助かるだろう。」
武「ほんとにいけるのか?」
ミルニム「転送システムがあるから余裕です!」
確かに転送システムがあれば助かる。ということで早速そのボスを倒すことにした。
美紀「すみません。このクエスト、受けます!」
ガイド「本当にいってるの?このクエスト、難しいわよ。2週間たってない新米が行けるの…って、なんで雫ちゃんが?」
雫「頼む!私はこのチームで全10体のボスを倒さなければならないのだ!」
ガイド「はぁ、まったく…。今、ボスを倒そうとしてるのあなたたちくらいよ。まず、100体の内、90体はすべて最後のボス、ゼロバードが喰われたそうよ。そして、あくまでもレベル設定は仮の話。そして、10体のボスそれぞれが死んだ時に落とすといわれている、伝説の扉に使う10のパーツ。あれは、ある人が人間界との狭間として造ったもの。この世界に来た人は、いまや、ここにいたいと思ってる人がほとんどよ。安全のため、レベル上げと町や村の囲いの強化などをしているけど、そんなのホントボス討伐なんかに関係ないわよ。」
武「行かせてください!どうかお願いします。」
ミルニム「お願い。ミルニム頑張るから!」
ガイド「仕方ないわね。絶対死なないで帰ってきなさい。」
全員「はい!」
ミルニム「もしもの時は転送システムがあるから大丈夫だよ~。」
ガイド「え…。ちょっとあなたたち、転送システムはレベル20以上推奨クエストからは、なくなるのに……って行っちゃった。大丈夫かしら。たぶん雫さんがどうにかしてくれるはず…あと、美紀ちゃんも…」
この時、ちゃんと聞いてればよかったのに……。なんて…。
さて、ようやくついたようだ。
しかし、不意をつかれ、いきなりボスから大ダメージをくらった。
美紀「ミルニム、回復お願い。」
ミルニム「回復。」
武「くらえ!秘剣!」
雫「暗黒剣!」
このボスはやたらHPが低かった。
こいつは攻撃型で攻撃力がすごく高かった。
だから、いいダメージが入った。
攻撃をくらう前にたたみかければ…
だが、それもつかの間、
ドロール「ウオオオオォォォォ!!!」
広範囲に凄まじい土の強魔法が繰り出された。
全員が大ダメージをくらった。
激痛が走る。
痛い!痛い!痛い!
ドロールがはじめに狙ったのはわたしだった。
どんどん近づいてくる!
やめて、近づかないで!
全員が戦闘不能で動けそうなく、ミルニムはMP切れで回復できなかった。
あれ、そういえば転送システムが発動してない!ということは…
雫「転送システムが発動してない。美紀殿、逃げて、さもなくば死ぬぞ!」
武「嘘だろ!俺がなんとかしなきゃ…。クソ!なんで動かないだよ!」
ミルニム「そんな、ダメだよ!やめてよ。死なないでよ。どうにかしてよ。」
もう足が動かない!
気づけば、目の前にドロールはいた。
やめて、食べないで!
お願い。
美紀「いやぁ~~!!!」
雫「美紀殿~!!!」
ミルニム「美紀~~!!!!」
武「美紀~~~!!!!!」
終わった。何もかもが…。
わたし、天国でやっていけるかな…。
ゴメンね!みんな!
雷帝シャイニングフォース!!!
突如として強力な光魔法が放たれた!
ドロールは麻痺し、ほぼ瀕死状態だった。
それより、誰が!と思っていたら、
「大丈夫?あなたたち。ここは私に任せて!私の神器、ライトニングに勝てるとおもってるの?」
この声!聞いたことがあるような……!って…
全員「ガイドさん!!!」
ガイド「光輝く聖槍にさらなる光よ与えたまえ!ライトニングフォース!!」
光の結晶のようなとてつもないデカさの光が高速でドロールを襲う!
ドロール「ウォォ……。」
ドロールは倒れた。ガイドさん、なんて強さだ!
なにか落としたようだ。
ガイド「はい、コレ。いらないから、あげるわ。ホント、来て正解だったわ。あ、ちょっと待って。大回復。私、仕事に戻るね。じゃあね。」
美紀「待ってください。ありがとうございます。助けてもらわないとわたし、死んでました。あの~わたしもいつかガイドさんのように強くなれますか?」
ガイド「さぁね~。私、レベル80だから頑張ってね。美紀ちゃんならなれるよ!私、静葉っていうから。」
美紀「わたし、頑張ります。静葉さん!」
静葉「頑張れよ、若き勇者たち!」
静葉さんことガイドさんは去っていった。
こうして、ドロールは倒された。
そして、全員が同じことを思ったはずだ。
それは…
強すぎじゃないか、ガイドさん。
そして、わたしたちは反省会を行った。
美紀「転送システムがレベル20以上推奨クエストからなくなるなんて…聞いとけばよかった…。」
雫「すまない。静葉さんがいないとどうにもならなかった。私は実はレベル60でな…君たちが新米でボスを倒すため頑張っていると聞いて、少しでも早くレベルを上げてやりたかったのだ。それにしてもあのボスのレベル70だったなんて、全部私の責任だ。すまない。」
武「いや、俺だ。美紀を守れなかった。俺が守らないといけないのに…。」
ミルニム「ミルニムのレベルが低すぎたんだよ。」
反省点があまりにも多く、最終的に個人で解決するという方向に至った。
そして、わたしたちのやることを静葉さんに決めてもらった。
静葉「あなたたち、よく聞きなさい!他の9体のボスは全員レベル70以上が確認された。これは、町や村の人もレベル上げをして、安全に備える対策になった。ありがとう。けど、ボスはむやみに挑まない。転送システムのこと、言おうとしたけど行っちゃったから、私にも責任がある。ごめんなさい。そして、ここからが本題よ。」
全員が息をのんだ。
静葉「あなたたち、神器を探しに行きなさい!」
ということで、神器探しの旅が始まることになった。
最初から、すごい展開力でした。この6000字にいいところを詰め込んだつもりです。これからも展開が早いとは思いますが、ついてきてほしいです。では、九宇でした。




