第二話 運命の日の朝
アリア、ちょっとしか出てきません。
……話が全然進まない…。
ルビ多めです。読みにくいかもしれません。
ーそれは、遥か昔から決められた、運命の日。
ーーside アリア
「ふぁぁ……。よく寝た。」
まだ日が昇る気配のない外を見ながら、大きく欠伸をする。
「あれ…?シスターは…?」
いつもはこの時間に起こしにくる筈のシスター。その彼女の姿が見えない事に疑問を持つ。
首をかしげて考えること暫し。
「……あ、そっか。」
昨日の夜、明日は朝早くから街に出ると言っていたシスターの言葉を思い出す。
「今日は、きっとーー。」
呟いた言葉は、小さくて。私以外の誰にも、その言葉が届くことはなかった。
~ ~ ~ ~ ~
ーーside ???
「帰らずの森」に入ってから、6日目。帰りの物資の量を考えると、そろそろ余裕がなくなってきていた。
「おい、ヴェン、カイル。」
俺は、同じパーティーを組んでいる仲間の名前を呼ぶ。
俺達は所謂「冒険者」と呼ばれる何でも屋だ。その中でも俺達のパーティーは、危険な仕事の多い「探求者」として活動している。
一口に冒険者と言っても、大まかに分けて五つの種類がある。
一つ目は、街の中で雑用等の危険の少ない仕事を中心とする「街労働者」。
主に子供や戦闘力の無い女性が所属している。
二つ目は、街の外に出て、遺跡や貴重な動植物を研究したり、地図を作成したりする事が中心の「解析者」。
無所属の学者や、研究者が多く所属している。
三つ目は、重要人物の護衛や、商隊の護衛等の護衛依頼を中心とする「守護者」。決まった拠点を持たないことから、別名「根無し草」ともいわれている。
世界を見て回りたい人や、そこそこ戦闘力のある人が所属している。
そして四つ目は、未探査地域や非生存域等の危険地帯での戦闘・調査等が中心の「探求者」。ハイリスク・ハイリターンな事から、別名「夢追い人」と呼ばれている。
これは多くの人が「冒険者」と聞いて真っ先に思い浮かべる冒険者のイメージだろう。
戦闘力にはばらつきがあるが、それでも他の種類の冒険者に比べれば、遥かに強いと言っても良い。
この「探求者」は、冒険者の花形と言っても過言ではない。
そして、俺達もここに所属している。
五つ目は、上の四つのどれにも当てはまらない「興行者」。
旅の吟遊詩人や画家などが多く所属している。
「どうした、クイド。」
俺の呼び掛けに応えるのは、大きな両手剣を背負っている赤い髪の男。
カイルと言うこの男は、パーティーいちのトラブルメーカーにして、猪突猛進の戦闘狂だ。しかし、一見何も考えていないようにみえて、(まぁ、だいたい何も考えていないだろうが。)稀に恐ろしいほど鋭い。大方、野性の勘だろうとは思うが。
「今日も収穫がなければ、一旦帰るぞ。」
俺の言葉に、カイルは駄々を言い始める。
「う~。まだ何も見付けていないのに、か?」
「当たり前だ。そろそろ食料が厳しい。」
「…だったらその辺に生えているキノコや果物を食えばいいじゃないか。」
名案だ!とばかりに近くに生えていたキノコを採ったカイルに、溜め息がでる。
「馬鹿か。此処は『未探査地域』に限りなく近い『非生存域』だぞ。毒性のある食べ物だったらどうする。」
現に、今カイルの持つキノコは、一般的に猛毒を持つキノコとして知られているものだ。その事をカイルに教えると、カイルは慌てて持っていたキノコを手放した。
「うぅっ…。」
「……クイド。」
カイルが言葉に詰まると同時に、無言で周囲を警戒していたヴェンが俺の名前を呼ぶ。
ヴェンは口数の少ない槍使いで、常に無表情の男だ。そして、このパーティーで一番、気配を読む事に長けている。
「どうした、ヴェン。」
「…どうやら、大きなアタリを引いたらしい。」
珍しくどこか嬉しげに言うヴェンの目線の先には、森に同化するようにそびえ建つ、大きな石造りの塔があった。
ーーそして、俺達は。その塔で、これからの人生を大きく変える出逢いを果たす事になる。
今、その事を知るのは、「奇跡」と呼ばれた少女、ただ一人。
冒険者のところのルビは適当です。いい案があれば教えて下さい。
PV 250アクセス、55ユニーク到達!ありがとうございます!
短編を四つ程アップしました。詳しくは活動報告をご覧ください。
蒼咲猫