第三話 『アリア』
アリアの過去編。
結構シリアス。文才が欲しい。
ーー『アリア』という、言葉の意味を
俺達はその時に知った。
『奇跡』。
かつて、私はそう呼ばれていた。
その時の私はまだ幼くて。
彼らーー『時の一族の国』の皆に護られて。
皆の愛に包まれていた。
私は、ほぼ完成していた、時鉱石の鐘を守るという役目を、一族の長である父から託された。
その時には、『時の一族の国』の人々の数は随分と少なくなっていて。
その中でも、私が一番幼かったのだ。
父から託された時鉱石の鐘の名は、『時鐘』といって、酷く美しい、蒼い色の鐘だった。
浮かれた私は、一族の皆と上機嫌で話していた。
ーー『ねぇ、お母さん。アリアね、お父さんに時鐘のこと頼まれたの。』
ーー『っ!そう…。よかったわね、アリア。』
ーー『?うん!私、頑張って『時守』になる!』
父から託された時鐘に浮かれていた私は、知らなかったんだ。
時鐘が、どんな役目を持っているのかを。
父が、何故一番幼い私に時鐘を「託した」のかを。
…母が、何故息を呑んで、衝撃を受けていたのかを。
……全てを知ったのは、その数日後だったーー
ーー『ありがとね、アリア。』
ーー『ぇ…。』
その日は、いつもは忙しい筈の皆が朝から集まって騒いでいた。
何も知らなかった私は、父に何の騒ぎなのか、尋ねた。
ーー『ねぇお父さん、今日は何で皆騒いでいるの?』
ーー『嬉しいからだよ。皆でお祝いしているんだ。』
ーー『?…何が嬉しいの?』
ーー『……もう少しで、解るさ。』
ーー『頼んだぞ…。アリアお嬢ちゃん』
ーー『そんな顔しないでも、大丈夫よ。
アリアには、『時鐘』がついているもの。』
ーー『、ぁ…。』
ーー『『時』の御加護がありますように。』
キラキラと、光が溶けていく。
さっきまで一緒に笑っていた、『時の一族の国』の皆が。
一族の、『時』の力の使いすぎによって、存在を保てなくなった人から順に。
ヒカリになって、消えていった。
……時鐘に、自らの『時』の力を注いで。
ーー『……なん、で…?』
解らなかった。
何故『時の一族の国』の皆が、光になって溶けていくのか。
何故、皆嬉しそうに笑っているのか。
何故。
ーー(もう少しで、解るさ。)
ーー『お父さん…。私には、解らないの。』
『時守』。
それは、時鐘を守るもの。
そしてーー『時鐘』を、使う者。
既に、ヒカリは溶けて消えていた。
騒がしかったこの場所も、もう人の声はしない。
『時の一族の国』の皆の、『時』の力を注がれた時鐘は、それでも。
壮絶に、残酷な程に美しかった。
ーー『アリア』。
それは、『独唱歌』。
ーーもう、誰とも逢うことはない。
……『お客さん』を除いて。
ありがとうございました。
~次回予告~
「『彼の国の姿を』。」
「…まさか、時鐘は…」
「『時の一族の国』…。」
「おぉ、すっげぇ…。」
以上!
あと五話から十話で終わる…と思います。(多分。)
蒼咲猫