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時鐘のアリア  作者: 蒼咲猫
第二章
11/21

第一話 『時の一族の国』

 第二章に入ります。

怒濤の展開になるかも。


ルビ多めです。




  ーーそのときの少女は、あたかも

      天の上から地上を見守る女神のようで。




  ーーside アリア



「なぁ、嬢ちゃんはーー」

「?」

 言いかけて、躊躇ったクイドさん。

私は、意味が解らずに、首をかしげた。

「あー、このでっかい鐘って、さっき鳴ってたやつか?」

「…。そう。」

 自分でも分かるほど、沈んだ声がでた。

「そうね…。ちょうどいいから、見せておきましょうか。」

 目を閉じる。蒼い鐘に手を添えて、呟いた。

「『彼の国の姿を(うつしだせ)』。」


 ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン


「「「っ!?」」」

 息を呑む彼らには悪いが、時間はあまり残されていない。

 霧に覆われて白く染まった、一面の森がある筈の場所に視線を向けた。

 鐘の音が響き渡るそこには、何時もの森の姿は、どこにもなかった。




  ーーside クイド


 眼下の森に目を向ける嬢ちゃんに、何故か強い既視感(デジャヴ)を抱いた。

「…?」

 最近、似た光景を、見たことがある(どこかで)

 その事に疑問をもち、頭の中を探る。

「……っ!」

 ひとつだけ、あった。

 この塔の玄関ホールの天井画。

 見下ろしていたのは森ではなく、街だったが、確かに。

 …今の嬢ちゃんと、よく似ていた。


 肩までの蒼い髪を風に遊ばせて、翠の混ざった金の双眼の少女。

 腰より下に伸びた、蒼い髪をおろしたままの、右目が翠混じりの金眼、左目が蒼い眼のオッドアイの嬢ちゃん。

 蒼い髪と、右目の翠混じりの眼、少女ということ位の共通点。

 なのに。

 あの絵の少女は、目の前にいる嬢ちゃんだと。

 そう、強く思(さと)った。




  ーーside アリア


「この鐘の名は、『時鐘(ときかね)』。」

 視線は霧に向けたまま、突然話し始めた私に、三人の視線が集まった。

「私は、『時守(ときもり)』。」

「…『時守』?」

「そう。……私の話を、聞いてくれますか?」

 三人が頷く気配を感じ、小さく笑った私は。

忘れることのない、ひとつの物語を語り始めた。


「これは遥か昔の、ひとつの国の物語ーー」



ーーこの世界に人が産まれた時。

 人は、自然と共にあった。


 やがて人々の中に、世界と共に在れる「一族(ロア)」が、次々と産まれました。

 ある一族(ロア)は、『(ラディア)』と共に。

 ある一族(ロア)は、『(ピューロ)』と共に。

 ある一族(ロア)は、『(リャック)』と共に。

 ある一族(ロア)は、『(ミュージ)』と共に。


 そして。

 ある一族(ロア)は、『(アッシュ)』と共に。


 その他にも、数多(あまた)一族(ロア)が産まれました。



 それぞれの一族(ロア)は、人々のためにその力を使いました。

 けれど、決して人を傷付けるために、その力を使うことはありませんでした。

 なぜならーー



 しかし、その事を面白く思わない人々がいました。

 それは、一族(ロア)のその力を使って国を大きくしたかった国々の王様達でした。

 何度も一族(ロア)達に、その力を自分のために使うように言いましたが、一族(ロア)達は相手にしません。

 頭にきた王様達は、それならば他の国に取られる前にと、次々に一族(ロア)達を滅ぼしていきました。

 一族(ロア)達はそれでも、人を傷付けるためにその力を使うことはありませんでした。

 そのことに気付いた王様達は、益々一族(ロア)狩りに力を入れました。


 そして。

 人々が何故一族(ロア)達を狩るのかを忘れる程の時間が経った時。

 生き残っていたのは『(アッシュ)』の 一族(ロア)だけでした。


 『(アッシュ)』の一族(ロア)は、誰も入らない深い森の中に、一族(ロア)のための国を作りました。



 ーーその国の名は、

    『時の一族の国(アッシュロア)』。


 ありがとうございました。

誤字脱字等はコメントなどで教えてくださると有難いです。

 感想等もどしどしください。


 ~次回予告~


「…『アッシュロア』?」

「そう。…けれど。」

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