第一話 ~物語の前に~
初めまして。蒼咲猫と言います。
初投稿&処女作なので、矛盾や可笑しな点が多々あるとは思いますが、暖かく見て頂けると幸いです。
誤字脱字等に関しては、コメントなどで知らせて頂けると嬉しいです。
至らないところの多い私ですが、この作品が、読者の皆様の心の片隅にでも残ってくだされればと思います。
これは、周辺の村などの住民達が、「時守の森」と呼ぶ、とある深い森についての記録である。
「時守の森」。実は、そう呼ばれるようになったのは、数十年前からで、それ以前はその森の深さから、「帰らずの森」と呼ばれ、恐れられていたという。
何故、数十年前から「時守の森」と呼ばれるようになったのか。その真実は謎に包まれている。
今回、その真実を知る鍵を、「時守の森」にいる一人の老人が握っているという情報を得て、私は「時守の森」にやってきた。
私の名はセルディオ。今日から、私の知り得た限りの「時守の森」、それについての真実を、ここに記していこうと思う。
ーー時守の森、最寄りの村。
その村は「シュロア」という名の村で、帰らずの森が時守の森と呼ばれるようになった頃にできた、比較的新しい村だった。
私は、その村について調べることもそこそこに、宿に泊まると、翌朝の早朝には、馬を走らせていた。
村から馬を走らせて一刻程たった時、ようやく時守の森が見えてきた。そこからさらに数分馬を走らせた時、目的の人物を見つけた。
私は馬から降りると、森の木々に向かって花を手向けている一人の老人に近付いていく。
「……あの、」
「ん?……ワシのことかね。」
手を合わせ、祈りを捧げ終えたその老人は、私を見て微かに笑った後、おもむろに頷き、私を森の近くにある、小さな小屋へと招き入れた。
「……ここは?」
招き入れられた小屋の中は至って普通で、特に変わった物は無いようにみえた。
「ワシの家じゃよ。」
どこか悪戯っぽく笑った老人に、どっと力が抜けていくのを感じた。
「……しかし、ワシを訪ねてくるとは、物好きな者もいたものじゃのぅ。青年、名は何と言う?」
何故か感慨深げに呟いた老人は、私の名を問い、そこで私は、名乗っていなかったことに気付き、慌てて名を告げた。
「え?あ!失礼しました。私の名はセルディオ。学者をしています。……あの、貴方はーー」
「『 』。」
「え?」
小さく呟かれた言葉は、私には聞こえなかった。思わず聞き返すと、今度は聞こえるようにかえってきた。
「『クード』じゃよ。『時森のクード』。今はそう呼ばれておる。」
私の言葉を遮るように言葉を発する老人は、「クード」と名乗った。
「して、セルディオ殿。この老いぼれに、何の用かね。」
「実は……?」
話出そうとしたとき、クード殿は席を立ち、湯気のたつ二つのカップを持って帰ってきた。
「まぁ、長い話になるじゃろう。ほれ、時守の森で採れた薬草から作ったお茶じゃ。飲みなされ。」
小さく音をたてて置かれたお茶は、とても良い香りがした。
「あ、ありがとうございます。」
「なに、時間はたっぷりある。」
窓の外では、太陽が登り始めていた。
読んで頂き、ありがとうございます。
初めての作品なので、読者の方々からの反応が、予想がつかなくてドキドキです。