見えるもの
よく「自分の眼で見たものしか信じない」という人たちがいる
そういう人たちは、本当に分かっているのだろうか
人の眼が、どれだけ世界を自分勝手に見ているか
遠近法などというものは、現実には存在しないということを
この広い世界を、小さな眼でとらえるためのでっちあげだということを
色などというものは、現実には存在しないということを
ただ波長の違う光線の情報を目から受け取った脳が
それを勝手に色として認識しているだけだということを
確かに見えると思っているこの映像が
虚偽と改竄と思い込みで彩られているということを
盲点に入って見えていないはずの景色に、脳がどれだけ修正を加えているかを
本当は明るすぎたり、暗すぎたりする風景を、どれだけ調節して見ているかを
いかに簡単に脳が騙されて、ちょっとした画像のトリックに欺かれ
ありもしない錯覚を見るのかを
本当に、分かっているのだろうか
現実的に物事をとらえる、そういう姿勢を必ずしも否定はしない
確かにそれも重要だ
ただ一つ、尋ねたい
あなたが見ているその世界
見てると思っているその世界
それは、本当に、本当の世界?