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【本編完結済】前世を思い出したら恋心が冷めたのに、初恋相手が執着してくる 〜そして、本当の恋を知る〜  作者: ゆにみ
番外編

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47/50

今度は私の番です

 最近、リオン様のスキンシップが増えた。


 ……というか、もはや「好きあらば触れる」。



 手を繋ぐのは日常茶飯事、腰に手を回してきたり、背後からそっと抱きしめてきたり。



 そしてなぜか――

 人目がある場所ほど、堂々としている。



(……もう、なんなんですか、リオン様!)



 でも、怒れない。

 だってその手が、声が、表情が。

 全部、優しくて、甘くて――私のことを、愛してるって伝わってくるから。




 「……リオン様っ、人前では……!」


 「ん? だって――婚約者でしょ?」



 「そ、それはそうなんですけど……っ。恥ずかしいんですよ……!」


 「……んー、わかったよ」


 と、言いつつ。


 にこっと笑って、悪びれもせずキスしてくる。


 「リオン様っ!!」


 頬を赤くして抗議すれば、今度はいたずらっぽく笑うだけ。


 「ふふ、怒った顔も可愛いね」




 そんな調子で、どこにいてもくっついてくる。

 人目を盗んではキスを落とす。

 誰かと話している時でさえ、こっそり手を繋いでくる。


(……ほんとに、もう……!)


 別に嫌じゃない。

 むしろ、嬉しい。



 私が嫌がってないこと、たぶん見抜いてるんだ。



(ずるい……ずるすぎます……)



 それでも――触れられるたび、心があたたかくなる。


 ほんとうは、嬉しいの。

 だって、こんなにも愛されてるって、分かるから。



 ある日、ふと思った。



(……でも、私の方から甘えたこと、あったかな?)



 いつも与えられるばかりで、私は……何も返せてないんじゃないかって。

 思ったら、胸の奥がちくりとした。





 「ねえ、リオン様」


 「ん? どうしたの?」


 「……ぎゅーして」


 リオン様の目が、ほんの少しだけ見開かれる。


 でもすぐに、優しい腕がそっと私を抱きしめた。



(あったかい……)



 彼の鼓動が近くて、柔らかな香りがして。

 この胸に包まれているときだけ、私は安心して、子どもみたいに甘えられる。




 そのまま、私の方から――

 そっと、キスを落とす。


 今度は、私から。


 唇が重なった瞬間、リオン様が驚いたように固まった。


 「……えっ」



 ふふ、珍しい。

 いつも余裕たっぷりなのに、すごく可愛い顔してる。



 「リオン様の気持ち、わかった気がします」



 そう言えば、リオン様はほんのり赤くなって、少しだけ視線を逸らした。




 「……えっと、心の準備が……」


 「ふふ……もう、隠さなくていいんですよ?」


 「……隠さなくて?」


 「はい。リオン様のキス、ちゃんと伝わってますから」


 「――私も、嬉しいんです。だから……」


 そっと視線を合わせて、微笑んだ。


 「次からは、堂々とください」


 「婚約者なんですから。……ちゃんと受け取りますよ?」




 その言葉に、リオン様は一瞬息を呑んで、それから――

 優しくて、甘くて、ちょっとだけ困ったような笑顔を浮かべた。



 「……そんなこと言われたら……いっぱいしたくなるよ?」



 耳元でささやかれて、今度は私の方が真っ赤になる。


 (ああ、もう……ずるい。今度は私のほうが照れてる……)




 でも、いいの。

 だって私――


 この人に甘やかされて、甘やかして、

 どこまでも甘い恋に溺れていたいと思ってるから。


 


 

尊い!!可愛い!!!

次回はレティシア→エリアスへの想いを描こうと思います〜

またお会いしましょう!

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