表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済】前世を思い出したら恋心が冷めたのに、初恋相手が執着してくる 〜そして、本当の恋を知る〜  作者: ゆにみ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/50

目を閉じれば触れてくる

 最近、気づいたことがある。



 リオン様は――どうやら、私が“うたた寝している姿”を気に入っているらしい。




 この日も、王宮の一角。

 午後の妃教育を終えたあと、少しだけ息抜きに立ち寄ったサロンでのこと。


 昼下がり、庭に面したサロンの窓際。

 差し込む陽の光が心地よくて、ぼんやりと紅茶を飲んでいたはずなのに、いつの間にか眠ってしまう。そんな日が増えた。



 ……そして、目が覚めると、決まってリオン様がいる。



 まるで、最初からそこにいたかのように。

 ソファの傍らで、私を覗き込むように腰を下ろし――そして、そっと唇を落としている。


 


 最初は、おでこ。


 次はまぶた。


 それから、頬。


 そして……唇の端。


 


 キス、キス、キス――



 まるで花びらみたいに、軽く、優しく。

 けれど確かに私の心をくすぐる、目覚ましのキスたち。


 


 「……もぅ、また……寝てただけなのに……」



 頬を染めて言えば、リオン様は決まって、少し悪戯っぽく笑うのだ。


 


 「寝顔が可愛いのが悪い」


 


 そんな理不尽な言い訳、どこで覚えてきたの……。


 でも、怒れない。


 だって、その声が、表情が、指先が――

 ひどく、優しいから。


 


 「寝てる間にそんなにキスされてたなんて、ずるいです」


 「じゃあ、起きてたらいいの?」


 「……それは」


 


 言いかけて、私は顔を伏せる。

 胸の奥が、じんわり熱くなっていくのがわかる。


 


 (……ずるい、本当に、ずるい……)


 (でも、起きてると恥ずかしくて……)


 (……なのに、そんなこと言われたら――)


 


 そのうち、寝込みを襲われるんじゃないかしら。


 


 そう思った瞬間、胸が跳ねた。


 もし本当に、唇だけじゃ済まなかったら……?


 もっと深く、もっと強く、求められてしまったら――


 


 (……嫌じゃない)


 


 私は、たぶん拒めない。


 それどころか、きっと、受け入れてしまうと思う。


 むしろ、そうなってほしいと……ほんの少し、期待している自分がいる。


 


 ――ああ、もう……!


 


 なんで、こんなに甘いの。

 どうして、こんなに心をかき乱すの。


 


 眠って、目を覚まして。


 夢か現か分からない中で、重なるキスに溺れて。


 優しさに包まれて、心の奥までほどけてしまう。


 


 「……リオン様」


 「ん?」


 「……私、今度は……寝たふり、してみようかしら」


 


 そんなことを言ってみたら、リオン様は少しだけ驚いたように目を見開いて――そして、静かに笑った。


 


 「それじゃあ、遠慮なく」




 その言葉に、胸が跳ねる。


 リオン様は、指先でそっと私の頬をなぞり――小さく囁いた。





 「……次は、もっと、ゆっくり……ね?」




 その声が、熱を帯びて胸の奥に落ちてくる。


 指先の温度も、囁く声も、すべてが甘くて、くすぐったくて――息が詰まりそうになる。


 


 きっと、わたしは“寝たふり”なんて、もう二度とできない。


 


 だって、こんなふうに優しく触れられて、求められて――


 拒めるわけ、ないじゃない。




 

 それでも胸は、くすぐったいほどの幸福で、静かに満ちていく。


 


 これは、目が回るほど甘くて――

 恋という夢の続きを、ゆっくりと見ているような時間。


 


 うたた寝の夢の続きを、どうか、あなたと――

 ずっと、見ていたい。現実の中で。


彼女は、前世の因縁にもきちんと向き合って、自分の足で帰ってきた。

重すぎる過去を背負ってなお、迷わず“今”を選んだ彼女を――

リオンは、ただ静かに受け止めてくれて。


……そして今では、うたた寝すら愛おしくて仕方ないらしく、

キスで起こすことに全神経注いでる(!?)


「大好きだよ」って言われた瞬間、全身で幸せを噛みしめる男――


リオン、最高では??


読んでいただき、ありがとうございました♪

またお会いしましょう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ