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プロローグ
「俺たちは愛し合っていたはずだ……そうだろう?」
その低い声に、空間の温度がさらに下がったように思えた。レティシアの唇がかすかに震える。
___愛し合っていた……。
確かに、そうだった。けれど……今、目の前にいるのは、かつての優しさではなく、凍てつく狂気そのもの。
「……そんなのは……愛じゃないわ」
絞り出すように告げるレティシア。しかし、彼の微笑みはわずかに深まり、氷のように冷たい光を瞳に灯す。
「……とにかく、お前はここから出られない」
その声は一片の情もなく、静かに決定を告げる。
「……永遠にな」
氷の空間に、その言葉だけが残響する。