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phase.01 終了



 海戦アクションを主軸にしたVRMMO『大海のヘイムダル』

 

 幾人ものプレイヤーが数多の船に乗り込み広大な海で覇を競い合う海戦アクショの最高傑作

ゲームの主要コンテンツは何千人ものプレイヤーが互いにぶつかり合う海戦であったが、漁船を操り漁を楽しむ者もいれば、商船を操り点在する島々を繫ぎひたすらに金を稼ぐ者もおり、それら商船を襲い金品を強奪する海賊プレイを楽しむ者もいた。


 プレイヤーは3つある陣営の1つを選択することから始まり、ゲーム開始直後は兵装が何もない小さな船しか持っておらず、小さな島の中でバイトをしたり先輩プレイヤーの船に乗り込んでクエストをこなしてお金を稼いでいくことになる。

 そうして少しずつ船を強化し、大きくし、兵装を充実させ、フレンドと共に艦隊を編成し敵陣営との海戦に飛び込んでいくことになる。

 

『大海原も友となら乗り越えられる』というキャッチフレーズで知られるこのゲームはその言葉の通り、大勢のプレイヤーが手と手を取り合う事で初めて成り立つゲームだ。

 小型船であれ大型船であれ基本的に1人で操舵できるようになっているが、大型船になれば制御が困難になりその能力を十全に引き出すことは1人では困難になる。その為、大型船は複数のフレンドと集まって制御するのが基本となる。

 そして、そのような巨大な戦艦がいくつも集まり、やがては数百人規模の新しい艦隊を編成して広大な海へと飛び出していく、1人では出来ないことも友となら乗り越えられる、何人もの友と一緒に巨大な軍艦を操舵する、大海のヘイムダルはそんなゲームなのだが……



 そんな大海のヘイムダルには、かつて誰もが畏怖する最強の船が存在した


 その船はどの勢力にも所属せず、ただの一隻だけで船団を名乗り

 神出鬼没に現れては、あらゆる戦場で無類の強さを誇った

 その船は1つ製作するのだけでも膨大な費用と期間が掛る高性能な兵装をふんだんに搭載しており

 その船は全長300メートルを越える超巨大強襲揚陸艦であり

 その船は海中を80ノットで移動する弾道ミサイル潜水艦でもあり

 レーダーに捉える事もできず、生半可な兵器では傷1つ付けることが出来ず、


 何千何万というプレイヤーが覇を競い合うヘイムダルの海において、

 ただの一隻だけで戦況を変える圧倒的な強さを誇っていたその船の名は

 


 多目的強襲揚陸型弾道ミサイル潜水艦 『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)


 

 一度『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』が戦場に現れれば、海戦をしていた陣営は互いに矛を収め、戦場に現れたDaoine(ディーナ)ただ一隻を撃沈する為に共闘を始めるお祭りがはじまり、大海のヘイムダルの攻略サイトには『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』の出現日時や傾向、次回出現する可能性のある海域の予測データなどの攻略情報が掲載されるほどであり、運営ですら神出鬼没の『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』特集を組むほどの異様な存在感を、かつては放っていた。



 そう……かつては……


 無類の強さを誇り、傷1つ付けることが出来ない最強の船『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』はいつからか急に現れなくなってしまったのだ。


Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』の艦長を名乗る偽物や『Daoine(ディーナ)』の乗組員を名乗る偽物も何人も現れたし、消えた理由を解説するサイト、いくつもの憶測がSNSを中心に飛び交ったが、本当の理由を知る者は『Daoine(ディーナ)』の乗組員以外には誰1人としていなかった。



 そうして……時が経つにつれ最強の船は誰からも忘れ去られ、


 VRMMO『大海のヘイムダル』はサービス終了の日を向かえた。

 






「……ただいま」


 深い海の中。巨大な潜水艦の発令室に、1人の男の声が響いた。


「フレンドリスト……は、真っ赤か……そりゃそうだよな」


 眼前に浮かび上がった半透明のウィンドウには赤い文字がずらりと並んでいた。

 

「面白かったなー……みんなと『Daoine(ディーナ)』で遊んでたあの頃は……あれからもう6年か…」


 大海のヘイムダルがサービス終了するその日


 海底の奥底に埋没するようにして船体を隠していた『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』の中で、



「はあ~……サービス終了だからカウントダウンに付き合ってやりたかったけど…」



 懐かしいヘイムダルの思い出を胸に抱き、

 輝かしい栄光を思い出し、

 楽しかった友との日々を頭に浮かべ、



「眠いな…ふわぁ…」



 伝説の船『Daoine(ディーナ) Sidhe(シー)』の艦長はサービス終了を見届ける事なく


 激務による疲れから寝落ちをした。


初めまして、数ある物語の中からこちらの話に目を通していただきありがとうございます!


小説を書き始めてまだ日が浅いので、試しにSFも書いてみようと思って4月頃に書いていた作品です!ストックはそれほど多くないですがせっかくなので投稿して反応をみてみようかなという感じです!

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