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暴君ルーパス登場1〜闇の力との対面〜

祖父ハワードの弟で、今回の騒動の中心人物である

大叔父ルーパスの登場。その異様な迫力に圧倒されるヘンリーだったが、

本当の黒幕が誰かということに気づく。

ルーパスさんだって?そういえば昨日の親族会議には

出席していなかったな。

だけど、どうしてみんな、あんなに慌てているんだろう?


その人がこの後継者争いで起きるいろんなことに

かかわってるとママは言ってた。

おばあちゃんが亡くなったり、他の親戚の人たちに

色々な不幸が起こってるのもその人のせいじゃないのか。


一体どんな人なのか。

ぼくは自分の目でルーパスさんを確かめたくなって

廊下に出ようとした。


「開けちゃダメだって言われなかったかい?」

アーサー先生がドアを片手で抑えた。

「すいません、そこを退いてください。」

「それは困るなあ、執事さんとも約束したし。」


アーサー先生はにこやかに笑いながら、

それでもドアにかけた力を緩めようとはしない。

「お願いします、ぼく、なにがあっても出たいんです。」


これだけは譲れない。おばあちゃんやママの涙を考えたら、

たとえ誰が相手でも引いちゃダメなんだと思う。

「ふむ。」

アーサー先生はしばらく考え込んだが、

決心したように話し出した。


「わかった、その代わり僕も付き合うよ。

執事さんに怒られる時は一緒に怒られよう。」

「すいません、アーサー先生。」


ぼくたちはドアを開けてそっと廊下に出た。玄関前の

ホールにつながる長い廊下を歩いていると、まるで野獣の

咆哮のように響く、物凄い大きな声が聞こえてきた。


「レスター、なぜわしを通さん!兄上はどこだ!!!」

お祖父ちゃんの声も迫力があったけど、これはまったく違う。

その声を聞くだけで心が潰れそうな重圧と恐怖を感じさせる。


廊下の端まで来て、柱の陰に隠れながらホールを見下ろすと、

何人もの部下を引き連れ、全身を黒いマントで覆い隠すかの

ようにしてそびえ立つ異形な男性がいた。


まるでカラスのように艶やかな黒髪を無造作に垂らし、

真っ黒なヒゲが顔の下半分を覆い隠している。

そして何より印象的なのが大きな眼だ。

鋭いなんてもんじゃない、あの目に睨まれたら間違いなく

ちびってしまいそうだ。ホール全体が、

なんとも表現しがたい威圧感に包まれている。


階下では、レスターさんが対応に追われていた。

「ルーパス様、何度も申しましたが、ご当主様は予定が

ございますのでお会いすることはかないません。」


「予定だと?はっ!兄上も臆病風に吹かれたか?

なぜ出てこない!聞くところによるとアンの息子が

後継者候補に加わったらしいではないか?無駄な

族会議など開かずに素直にわしに譲ればいいものを!」


「会議の日時はお知らせしていたはず。ご当主様の決定に

異議があるのでしたら、会議の席でご発言いただかないと。」

「それが無駄だというのだ!」


ルーパスさんは吠えると、レスターさんにぐいっと

顔を近づけた。


「レスター、貴様、兄上のことをご当主、ご当主と忠誠を

誓っておるようだがな。遅かれ早かれわしが

ウォルズリーの当主になることを理解しておるのか?」


「私はウォルズリー家のご当主にこの身を捧げるのが

仕事だと理解しております。」

「ふん、小癪なことを。」


「あれがルーパス卿か。なんだか以前見かけた時と

ずいぶん雰囲気が違うなあ。」

アーサー先生が小声でささやく。


「そうなんですか?ぼくは初対面だから。」

「ああ、ヨーロッパ中に緊張が高まっているこのご時世に、

ウォルズリー家の財産と後ろ盾があるのをいいことに

諸外国をふらふら遊び歩いている、のんきで浮世離れした

御仁だったがね。」


その時、ぼくは気づいた。ルーパスさんの左側に、

同じように黒髪のロングヘアーに大きく胸元の開いた

真っ黒なドレスを着た女性が立っていることを。


「おや、こりゃまたずいぶんとセクシーなご婦人が

いらっしゃる」

アーサー先生は軽口を叩いてるけど、その女性を見た時、

ぼくの全身に鳥肌がたった。


それは、ほとんど直感のような物で、理屈ではうまく

説明できない類いの物だった。

ぼくはとっさにアーサー先生の袖口をぎゅうっとつかんだ。


「アーサー先生、ダメです。」

「ん?何が?」

不審がる先生の腕をさらに引っ張った。

「あれはダメです、本当にやばい!部屋に戻りましょう!」

やばいやばいやばい!冷や汗が背中を伝うのがわかる。


「おいおい、どうしたんだい?ヘンリー君。」

違う、ルーパスさんじゃない。このホールを包んでいる

圧倒的な負の威圧感、なんとも言えない邪悪な気は

あの人から発せられているんだ。


すると突如、その女性が顔を上げてこちらを凝視した。

ぼくは見たんだ。ほんの一瞬だけどその人の目が

真っ黒になって、それと同時に口元が

「見 つ け た」と動くのを。


to be continued

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