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親族会議1

夜が開けて、遂にその日がやってきた。

ウォルズリー家の親族十二家すべてが集まる日だ。

ぼくが以前参加した親族会議は、

今日のための準備の様な物だとレスターさんが言った。


今日ですべてが決まる。ルーパスさんも、

あの黒い森の魔女の事も。


「レスターさん、アーサーさんはまだなんですか?」

アーサーさんは昨日、ロンドンに行くと言って

出かけてから、まだ帰ってこない。


「ええ、もう帰ってくるはずなんですが、

随分と時間がかかっているようで。」

レスターさんは心配そうで落ち着かない。


「なーにやってんのかしらねえ、あの子は!」

ノーラも御機嫌斜めだ。

「あ!帰ってきた!あれ?」


いつものアストン・マーティンが爆音と共に帰って来た

のだが、助手席にものすごく真面目そうな人が、荷馬車に

乗せられて運ばれていく子牛のような顔で乗っている。


「ごめんごめん、遅くなったな!」

アーサーさんはご機嫌だが、その顔は寝不足のクマと

無精髭が生えている。

「何やってたんですか!もうすぐルーパスさんや

他の親族もやって来ちゃいますよ!」


「まあ、そう怒らないでくれよ。

とっておきの秘密兵器を用意したんだから。」

アーサーはニヤリと笑うと車から大きな金属製の箱を

取り出した。


「なんですか、それ?」

「ふふん、そいつは後のお楽しみってことさ。」

「ところで、あの、そちらの方は?」


「こいつかい?俺の同期であり親友のクイントンさ!

この秘密兵器の開発者であり、今日はどうしても

その威力を自分で確かめたいって言うので連れて来たのさ。」


アーサーさんはうれしそうに肩を組んでるけど、

相手の人は死んだ魚みたいな目になってる。

「アーサー、ぼくは昨日から君のわがままに付き合って

一睡もしていないのに、人手が足りないからって

無理やり連れて来たんじゃないか!」


「淋しいこと言うなよ、友だちだろ俺たち?

実際の効果をお前も見たいだろ?」

「そりゃまあ、そうだけど。」

「だろ?と言うわけで俺たちは二人で行動するから!」


アーサーさんは大きな箱とクイントンさんを

引きずって屋敷の中に消えていった。

「何なのあの子は?」

ノーラが呆れたようにつぶやいた。


窓から外を見つめていたレスターさんが叫んだ。

「皆様、おいでになられました!」

レスターさんの声で二階の窓から外を見渡すと、

屋敷の門から、いくつもの馬車がやってくるのが見えた。


十二親族ごとに、それぞれ様式や装飾の違う

クラシックな馬車を仕立てて続々と集まってきている

姿は壮観としか言いようがない。


「すごいすごい!何だかおとぎ話の世界みたいだ。」

思わず声が出てしまった。各馬車は正面玄関に泊まると、

中から中世ヨーロッパの伝統的な衣装でドレスアップした

人々が次々と降りてきた。


そして馬車の列の最後に、艶やかな黒毛の馬を仕立て、

全体を黒で統一し、深紅のラインが鮮やかに車

体を縁取る馬車がやって来た。


ドアが開くと、全身黒で統一し、ロングコートを

羽織ったルーパスさんが現れ、続いて、いつものような

胸元の開いた派手なドレスではなく、ゴシック調の

荘厳で落ち着いた漆黒のロングドレスに身を包んだ

黒い森の魔女が二人の従者を連れて降りてきた。


他の貴族たちの醸し出す華やかなオーラとは正反対の、

世界をすべて闇に包んでしまいそうな独特なオーラが

周りを圧倒している。


「どうしよう、ノーラ、来ちゃったよ!

なんかすっごい怖い空気出てるよ。」


「のんきな事、言ってんじゃないわよ。

あんたももう行かなきゃいけないんだから!

あ、もうヘンリーちょっとこっちに来なさい!」


ぼくが行こうとすると、ノーラが呼ぶ。

「あんた、ほらもう何やってるの、蝶ネクタが曲がってる!」

ノーラが椅子にあがって一生懸命直してくれる。

「あんた、ハンカチ持った?」

「うん、持った。」

「おトイレはちゃんと済ませた?」

「うん、大丈夫。」

「マジックボックスはちゃんと持ってる?」

「うん、ポケットに入れてあるよ。」

「魔力が覚醒した今、もう必要ないとは思うけど、念のために持ってなさいよ。」

「うん、わかった。ねえ、ノーラ。」

「なに?」

「ノーラってママみたいだね。」

「は?何いってんの、あんたバカじゃないの、もう。」

「ねえ、ノーラ。」


今、ちゃんと言っておこう。

「今まで、ありがとうね。ぼく、何にもできないから

迷惑ばっかりかけてごめんね。これが終わったら、

一緒にみんなが待ってるお家に帰ろうね。


「あんた、あんたねえ。」ビターン!

ノーラがちょっと黙った後、ビンタを入れてきた。

「いいこと、何があっても負けんじゃないわよ!

あたしがついてんだから!ルーパスも、魔女も、

みんなまとめてぶっ飛ばしてきなさい!わかった?」


痛いけど、何だか勇気がわいてきたぞ。

「うん、わかった!」


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