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パラ ベラム(戦争に備えよ)/アーサーの場合

「アーサー先輩、まずいですよ!朝から外務省が

怒鳴り込んできて大騒ぎですよ!」

ここはロンドン、アーサーの勤務するMI6が入っている

陸軍の建物。出勤してきたアーサーに後輩のモーリスが

泣きついてきた。


「ドイツ大使館から外務省に強硬な抗議が

来てるそうですよ!イギリスのスパイがドイツ国内の

軍事演習場に入り込んでスパイ活動を行い、

あげくの果てに開発中の車両を爆破して逃げたって!

犯人を差し出す様に要求されてるそうです。」


アーサーは地下へ続く階段をもの凄いスピードで

下りながら話を聞いている。


「何だよそんなヨタ話を信じてるのか、うちのボスは?」

「外務省は諜報部は何がしたいんだ、英独関係を

破壊する気かってカンカンです。ボスは知らぬ存ぜずで

通しましたが、出勤してきたら俺の部屋に顔出せって

怒ってましたよ。」


「大げさだなあ。そんな事よりおまえ、今朝連絡した話、

ちゃんと通してくれたのか?」

「例の弾丸の件ですか?一応武器部には話は

しましたけど拒否されました。」

「おまえね、俺が頼んだんだからちゃんとやってくれよ、

頼むよ。」


地下四階、武器部に到着すると、鋼鉄の重い扉を開く。

「よお、わが友クイントン!」

アーサーは武器部に所属する同期のクイントンに

大げさに抱きついた。


「アーサー、普段ろくに顔も出さないくせに、

こんな時だけよしてくれよ。」

真面目が取り柄で研究者タイプのクイントンはため息をつく。

「そんなさびしい事言うなよ、俺とおまえの仲じゃないか!

 そうだ、あのアストン・マーティン!あれなかなかいいな、

最高だよ!。」


クイントンの顔が急にパッと明るくなった。

「そうだろ?エンジンと足回りも総取っ替えしているから

定性が違うだろ?」


「おー全然違うな!さすがおまえは天才だ!」

「シート下のクイック式で取り出せるガンホルダーは

どうだった?役に立ったかい?」


「もちろん!アレのおかげで今回も助かった様なもんだ。

おまえ凄いな!」


「そうだろ?他の連中はぼくの発明をバカにするんだけど、きみは違うよな?」


クイントンは自分が研究し、発明したものが

評価されるのが大好きなのだ。


「あたり前じゃないか!そうそう、特に凄かったのが

あの銀の弾丸だ!」


「あれ、ドラキュラ映画にヒントを得て作ったんだけど、

効果あったかい?」

「効果あったなんてもんじゃないよ!

いやーぜひ発明者のおまえに見せたかったなあ、

巨大な怪物たちがバッタバッタと倒れるところを!」

「そう、そんなに効果あったのかい?

あれはね、ただの銀の弾丸じゃないんだよ。高価な

アンティークのロザリオを溶かして作ったものだからね!」


「そうかーそりゃすごい!さすがおまえだな!目

のつけどころが違う!天才!という訳で、

アレをもう少し用意してほしいんだけどさあ。」


クイントンのおしゃべりがぴたりと止まった。

「アーサー、その話ならキミの部署のモーリスにも

行ったけど、無理だよ。うちの部もやらなきゃいけない

仕事が山ほどあるんだから。」


「おいおい冷たい事言うなよ。俺たち親友じゃないか。

もう少しだけ協力してくれよ。」

「そんなに必要なら、君のところのボスを通して

うちのボスに正式に話を通せばいいじゃないか。

この間の弾丸だって、他の者の目を盗んで

仕事の合間に作ったんだよ?」


「俺だってできる事ならそうするよ、クイントン。

でも考えてみてくれよ?

 この二十世紀に魔女が甦って、そいつが操る

謎の怪物に通用する様な弾丸を作ってくださいなんて

要望書出してみろよ?俺がボスに退治されちゃうだろ!

おまえだからできるんだよ、頼むよ!」


「いくら頼まれても、無理なものは無理だよ、

アーサー。帰ってくれ。」


一度イヤだと行ったら意固地になって話を聞かない

クイントンの性格をよく知っているアーサーは、

アプローチを変えてみる事にした。


「そうか無理か。やっぱり、部の決められた仕事以外は

ダメだよなー。うんわかるよ」

アーサーの態度が変わった事に気づいたクイントンは、

少し不安を覚えた。


「何だよ、何が言いたいんだよ、アーサー。」

「ん?いやあ、おまえの言う通りだなーと思ってさ。

組織の予算にも限りがあるし、仕事以外に勝手な事

したりするのは国家公務員として良くないよなあ。」


「おい、アーサー。」

「部の予算を勝手に流用して自分が研究している

万年筆型のピストルだとか、毒ガスやら銃やらを仕込んだ

カバンだとかをこっそり実験するのはどうなのかなーと

思ってさ。」


「おまえ、おい、やめろって。」

「そういえば、あのアストン・マーティンの前に

兵器部で購入した車、水の中を走れるようにするって勝

手に訳の分からない防水工事をして、いきなり

水没させたよな。」

「アーサー、頼むからやめてくれ、お願いだ。」


「ドーバーのどの辺りだったかな、

あの車が水没したまま眠ってるのは?」


「わかった、作るよ、作るって!いつ、何発くらい

必要なんだよ!」

「助かるよわが友。一万発と言いたいところだけど

少なくとも千発、今日中で頼む。」

「無理だよ!時間も人手も足りないし、

第一それだけの量の銀、どうするんだよ!」


「人手はモーリスや俺も手伝うよ。銀は銀食器を

大量に持ってきたから使ってくれ。」

食器庫から持ち出したのが親父にばれたら間違いなく

殺されるな。まあ、何とかなるさ。


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