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パラ ベラム(戦争に備えよ)/ニナとルーパスの場合

「連中がドイツに現れた?いったいどういう事?」

朝食の席でニナは部下を問いただした。

「おまえたちは奴らがあの森に近づくまで何をしていた?

昼寝でもしていたわけ?」


「いえ、ドイツ入国時から尾行して見張っておりました。

連中が何かを探る様な行動にでましたので、

身柄を拘束すべく動いたのですが。」

「それで?その結果、何もできず、それどころか

新型戦車を失う様なへまをして連中がドイツを

立ち去るのをただ見守っていたというわけね。」


「いえ、あの、追跡したのですが、

やつらの車があまりにも早くー」

ニナが部下に向けて手を突き出し、

ぎゅっと握る様な動作をした。

「あ、ぐあっぐう」のど元を押さえたまま、

部下の身体が空中に吊上げられていく。


「言い訳はいらないの。」

そのまま手をふるうと、男の身体が床に叩き付けられた。

動かなくなった潰れた身体から黒い影がぞろぞろと

這い出てきてニナに吸い込まれる。


黒で統一された制服に身を包むメイドたちが

死体を淡々と片付けていく。

「ニナ、まさか、やつらわしとナチ党との関係を嗅ぎ付けた訳ではあるまいな!」


試作品状態とはいえ、タイガー戦車を破壊したのが

あの子だとしたら注意は必要だ。

だが、許せないのはあの村に近づいたという事。

予定より悲惨な死に方をさせてやる。


「よろしいじゃありませんか。あんな連中に大した事が

できる訳じゃあるまいし。」

「しかし、もし政府や議会の連中がそんな事を知ったら、

わしは、わしは。」


ニナは席を立ち、ゆっくりとルーパスのもとへ近づいて行く。

「いくら嗅ぎ回ろうと、あなたがウォルズリー家の当主に

なってしまえば、そんな事どうでもいい話。それよりも、

明日に迫った親族会議のご準備はよろしいですか。」


「わかっておる、皆の前でわしの実力を見せつけ、

兄上を叩きつぶす。ウォルズリー家の当主にふさわしい

のはどちらかを、見せつけてやる。」


「そうです、ルーパス様。あなたは今まで不当に

虐げられてきた。」

ニナの目が真っ黒に塗りつぶされていき、

溢れ出した影がルーパスに絡み付いていく。


「明日の親族会議で、その積年の恨みを晴らすのです。

あなたは兄であるハワードだけでなく、

あなたに反対する者をすべて殺すのですよ。」


ルーパスの目も底無し沼の様に黒く濁って行く。

「わしは兄を殺す、それだけではなく、

親族の者すべてを殺す。」


「そうです。すでに義理の姉であるメラニーと

弟二人を葬ったように。」

「そうだ、みんな殺す。わしの敵に回る者はすべて殺すのだ。」

こいつはいい働きをしてくれそうだ。


ニナがくすくすと笑い出すと、

同じく真っ黒な目をしたメイドたちが笑い出し、

ダイニングは狂気に包まれていった。

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