表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/49

ニナとナチ党1

ヘンリーとノーラは、ルーパスの背後にいる

ニナと、ドイツ・ナチ党の関係について考える。

国際問題だけに迂闊に手を出せないジレンマの中、

ヘンリーはアーサーから一つの提案を受ける。

「とにかく、要点を整理するわよ。」

ノーラはぼくの部屋に、屋敷内にあった古い黒板を

レスターさんに引っ張り出させ、今回の事件について、

わかっていることを綴り出した。ぼくとアーサーさんは

ソファーに座り、レスターさんは少し離れたところで

立ったままじっと聞いている。


すごいなノーラは。先生みたい。

「ヘンリー!口開いてる!ちゃんと聞いて!」

チョークが飛んできた。危ないいい。

「ニナが伝説の黒い森の魔女だとしたら、考えられるのは

オカルティズムに傾倒したヒトラーによって

復活したってことよね。」


おそらく間違い無いだろうね。」

アーサーが話し出す。

「実際のところニナが突然現れて、ナチ党に接近した頃から

ナチ党の、いやヒトラーの快進撃が始まっているんだよ。

それまでは、多少過激な言動があっても、単なる弱小政党に

過ぎなかったのが、気がつけば先の大戦で疲弊した

ドイツ国民の人心を掌握して今や完全にドイツを支配下に

収めている。


「大したものね、さすが伝説の黒い森の魔女だわ。」

ノーラが感心したように呟く。

「アーサーさん、いいですか。」

「どうしたヘンリー君?」

「ナチ党って、単にドイツの政権を取っただけじゃ

無いんですか?何が問題なんですか。


「うん、いい質問だ。単に政権を取っただけなら何も

問題はないんだよ。本来ナチ党はソビエト連邦の推し進める

社会主義・共産主義に対抗する勢力として我々ー

イギリスやアメリカ、フランスなどーと同じ

民主主義陣営だと思われていたからね。」


アーサーさんはノーラからチョークを受け取ると黒板に

ナチ党の概略を書き出していく。


「ところが政権を掌握した頃から、ドイツ国民と

ドイツ民族を優先することを第一に掲げ、

強烈な民族主義を打ち出してきたんだ。


ヒトラーに言わせると、優秀なドイツ民族と

それを率いるナチ党こそが正義、


他民族はそれに劣る存在だから、

自分たちが支配して正しい管理を行うことが幸福。


劣等人種、劣等民族の作り上げた国や

社会は支配されて当然。


いやこの世から抹殺されるべき存在。

簡単に言うとこれがナチズムだ。」


「そんな、ものすごい身勝手な理屈じゃないですか。」

「そして彼らの思想を象徴するのが反ユダヤ主義。」


アーサーさんはチョークを置いた。

「具体的に言うと、ユダヤ民族に対する社会的圧力と排除、

そしてその先にあるのはユダヤ民族のジェノサイド

(虐殺)だ。」


「ジェノサイドって、だって彼らには何の罪も

無いわけでしょ!」

アーサーはヘンリーをじっと見つめながら問う。


「違う思想を持つ、違う民族は滅ぼされて当然。

これって何かに似てないかい?」

「中世の、魔女狩りだ!」ぼくは叫んだ。


「そうよ、ヘンリー。」

ノーラがゆっくりと喋り出した。


「これはヒトラーの意思なのか、もしくはニナが

コントロールしているのか。それは今の所わからない。

でも彼らがやろうとしているのは、魔女の一族がされた

あまりにも酷い仕打ちを、行った側のドイツ人ー

ヒトラーを利用して世界中で行おうとしているのよ。」


アーサーさんが話をつなぐ。

「ユダヤの次はどの人種?どこの国?

魔女狩りと同じだ。暴走した正義は止まらない。

よしんば失敗してもドイツ民族は国家的犯罪を行った

呪われた国として歴史に刻まれる。」


言葉が出ない。彼女がされた仕打ちは、確かに酷い。

酷いけど、でも、これは違う。


「じゃあ、なんで彼らはウォルズリー家に、

ルーパスさんに近づいたんですか?」


「そこだ。」

アーサーさんがイギリス政府と王室、

そしてウォルズリー家の関係を書き表していく。


「今のイギリス政府と王室に最も近く、

影響力があるのがウォルズリー家だ。

ただ、現当主のハワードさんは政府にも

王室に対しても慎重に距離を置いている。


そしてウォルズリー家は外部の人間が容易に近づいたり

利用することができるような存在じゃない。


だが、そんなウォルズリー家で唯一のウィークポイントと

言えるのがルーパスだ。一族の鬼子として束縛から逃れて、

自由に振る舞っている彼なら接近しやすいし、


コントロールも可能だ。その彼が当主になったら?

政府と王室に対して圧力をかけて、今のナチ党率いる

ドイツを肯定する方向へ導く可能性がある。」


「最悪、ドイツと同盟を結ぶ可能性だってあるわよ。

ファシズム国家としてね。」


to be continued


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ