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蛇の眼を狙うもの2〜ヘンリー、大嫌いなヘビに囲まれる〜

巨大なヘビに襲われるヘンリーと白猫ノーラ。

危機一髪のところを救ったのは、あの男だった。

そして、さらに明かされる意外なその正体。

ヘンリーにとっては驚くことばかり。

大群は消えたけど、ズルズルズルズルズルズル。

何か大きなものが床を這いずる音がする。


ヘンリーが恐る恐る後ろを振り返ると、ヘビというには

あまりにも巨大な、胴回りがヘンリーが両腕を伸ばしても

届かないであろうサイズの大蛇が鎌首を上げて、

口を開けている。


「!!!!!!ノーラ、これも幻影なのー?????」

「フンッ!」


ノーラがオマール海老のパイ包み焼きが

乗っていたウェッジウッドのお皿をヘビに投げつける。

皿はパーンと皮の弾力だけで跳ね返され、

床に落ちて砕け散った。


シャー!大蛇がこちらに突っ込んでくる瞬間に、

ソファーから左右に飛び跳ねた。


ドーンという音とともに重たいソファーを吹っ飛ばし、

大蛇は素早く身体の向きを変え、巨大な鎌首を

こちらに向けた。


「ヘンリー!」

ノーラがベッドの下に隠れながら呼びかける。

「は、はいー!」

ぼくは大きな地球儀の後ろに隠れながら応える。

「これ、本物だわ!」

ノーラが叫ぶ。


「キャーーーー!どうするのどうするの!」

「狭い部屋の中では不利よ、廊下に出るわよ!せーの!」


二人でジャンプして、ドアのノブを掴んで廊下に転がり出る。

「ヘンリー!ドア、閉めて閉めて!」

「あ、はいいい!」


閉じ込めようとした瞬間、大蛇がドアを吹っ飛ばして

廊下に飛び出し、追いかけてきた。


「もういやー!」二人で廊下を一目散に走る

そのすぐ後ろを大蛇が追いかけてくる。


「あんた、逃げてばっかりじゃなくて魔法使いなさーい!」

「そ、そうだ、魔法、魔法、何がいいと思うー?」

「ちょっとは自分で考えなさいよ!さすがに家の中で炎は

まずいけど、水でも風でも氷でもあるでしょ!」


「そ、そうだね!あ、ああ!」

「今度はなにー?」

「マジックボックス部屋に置いてきちゃったあ!」

「あんたってホント、バーーーカーーー!」

その時だ。


「二人とも、伏せろ!」

廊下の突き当たりにアーサーさんがこちらに向けて

拳銃を構えている。


ぼくたちがアーサーさんの左右に滑り込むと同時に、

向かってくる大蛇の目と目のちょうど間あたりに

ダン、ダン、ダンと弾丸を撃ち込んだ。


大蛇は最後のあがきのように巨体をくねらせて

周囲の装飾品を壊しながら廊下を突進すると、

壁に激突して動かなくなった。


「大丈夫かい、ヘンリー君とーこちらのレディは?」

アーサーさんはヘビから目を離さないように拳銃を

構えていたが、動かなくなったのを確認すると

拳銃を下げて微笑んだ。


「ノーラよ、あんたが政府のワンちゃんなの?」

ノーラは軽く毒をはく。


「まあ、そうだなあ。

番犬兼何でも屋ってところかな。

しゃべる猫に巨大なヘビに魔法使い。

おかげで退屈はしないよ。」


「ふん、確かに。」


「ふー。なんとか助かってよかったねえ!ノーラ」


ビターン!

「あんたが魔法使ってたらさっさと終わってたの!

バカじゃないの!」

ひどいよおおお。


『ふ、ふふ、ふ。』

どこからか、ひくい笑い声が聞こえてくる。


『おまえたちに、何ができる?ふ、ふふ、ふふふ。』

「誰よ、出てきたらどうなの?」

ノーラの問いかけには答えず、

『ふふ、ふふ。楽しみが増えた。ふふ、ふふふ。』

その声は闇に溶けていった。


しばらくすると、レスターさんが駆けつけてきた。

「これは一体なんの騒ぎですか?」

「えっと、あのですねえ」

ぼくはなんと説明しようか考えたが全然浮かんでこない。


だって真夜中に大蛇が廊下に横たわって死んでおり、

貴重な装飾品や絵画が見るも無残な姿になって

そこら中に散乱している。


おまけにそのヘビの上には仁王立ちしている猫が、

拳銃を構えた家庭教師と

談笑しているのだ。こんなの説明不可能だよ。


「お久しぶりです、ノーラ様。」

ヘンリーさんはノーラに深々と会釈をした。


「久しぶりね、レスター。あんた、だいぶ老けたわねー。」

「ええっ、二人とも知り合いなの?」


「あんたねえ、私が何年この家に仕えてると思ってんの?

この子なんてこの屋敷に奉公しにきた、

ケツの青いガキの頃から知ってるわよ!

最初は失敗ばっかりで、

随分助けてあげたんだから。ねえ?」


「返す言葉もございません。ノーラ様、あらかじめ仰って

いただければお食事も別にご用意いたしましたのに。」


「あんたが出てくるとかたっ苦しくて面倒になるからね。

まあ、仕方ないけど。」


「しかし、この有様は。」

レスターさんは壊れて飛び散った花瓶や絵画と

アーサーさんを見つめる。

「あ、あの、アーサーさんはぼくたちを助けてくれたんです!」


ぼくはあわてて叫ぶ。

「おまえは何時もやりすぎる、そう言うところが

まだ半人前なんだぞ、アーサー。」

「ロイズ(保険会社)には政府の方から連絡を入れておくよ、

父さん。


「えー!ちょっとレスター、あんたこんな大きい子供が

いたの?」

「私にもプライベートの秘密はございます。」

レスターさんはすまし顔で答えた。


え、え、え?父さん?ちょっと待ってなにそれ?

わからないことばっかりだよお!


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