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暴君ルーパス登場2〜闇の力との対面〜

ルーパスと共に現れた妖しげな謎の女。

そして家庭教師アーサーの本当の正体が明かされ、

このウォルズリー家の問題があのヒトラーを巻き込んだ

国際的な陰謀であることがわかる。

「ルーパス様。」

黒髪の女性が聞き取れないくらいの小声で何事か囁いた。

「ほう。そうか、それは面白そうだな。」

ルーパスさんはニヤリと笑うと、

「皆の者、帰るぞ!」

踵を返して玄関の方へ大股で歩き出した。


「おいレスター!貴様も大変だな!何かと守るものが増えて。

ハハハッ!」

高笑いとともに配下のものを連れて立ち去った。

レスターさんはその後ろ姿を、微動だにせずじっと

見つめていた。


ぼくは大急ぎでアーサー先生の手を引っ張って

自分の部屋に駆け込んだ。


ガチャリ。鍵がちゃんとかかっているのを何度も

確認すると、床に座り込んでしまった。


あれは、あの女の人はなんだ?あの人の姿を見ただけで

気力が吸い取られてしまいそうになった。

まるでそこに大きな闇があって手招きされているような

恐怖を感じたんだ。


手のひらにじっとりと汗が滲んで、体の震えが止まらない。

「ヘンリー君、一体どうしたんだい、そんなに慌てて。」


アーサー先生は気づかなかったのだろうか。

「まるで人ならざるものでも見たようだよ?」

「い、いや別に、そんな。」


「ルーパスさんの隣にいたあの女性がそんなに

気になるのかい?」

「え、じゃあ先生も何か感じたんですか?」

「そういうのはわからないよ。

君たち一族のように素敵な魔法は使えないからねえ。」

アーサー先生はニヤリと笑った。


「え、それは。」

なんでこの人が、そんなことを知っているんだ?

アーサー先生はシャツの胸元から小さな手帳を

取り出すと、読み始めた。


「彼女はニナ・ヒルデガルト。約一年前から

ルーパス氏と行動を共にしている。


おそらくルーパス氏がヨーロッパ各地を

遊び歩いている時に知り合ったと思われる。


年齢不詳。家族構成、交友関係、共に不明。


自称オーストリア出身の占い師だが、オーストリア当局に

出生記録なし。彼女と行動を共にするようになってから、

 ルーパス氏の行動に異変が見受けられるようになる。


乱暴で、傍若無人な振る舞いが目につくようになり、

それまで無頓着だったウォルズリー家の財産と権力への

執着をあらわにする様になる。現在ヨーク郊外にある

ルーパスの屋敷で生活を共にしている。」


手帳に書かれている文章を読むというより頭の中に

入っている情報を再確認するかの様だ。

「アーサー先生、あなた一体誰なんですか。」


手帳をパタリと閉じると、こちらをじっと見つめて静かに

話し出した。


「僕はアーサー・ボイル。シークレットインテリジェント

サービス秘密情報局、通称MI6陸軍情報部第6課の人間だ。

わかりやすく言うとイギリス軍のスパイだよ。」


「スパイ!でも、なぜ軍のスパイがイギリス貴族の

わが家に?」

「そうだね、いい質問だ。」


アーサー先生はメガネを外し、ネクタイを緩めた。


「本来、僕たちの仕事は外国での諜報活動や国内に

入り込んでいる外国人スパイの捜査が対象だ。

君たちの様なスーパーリッチな貴族さまとは関係ない。」


「なんだか、嫌味な言い方をするんですね。」

身内の悪口を言われてる様でちょっとイラついてしまう。


「怒ったかい?でも実際そうなんだぜ?こんなお城に住んで、

たくさんのメイドと執事に囲まれて優雅にティータイム。

君たち貴族のライフスタイルはおれたち一般の国民とはかけ

離れたものだってえことを忘れてもらっちゃあ困るんだよ。」


アーサー先生、いや、アーサーさんの口調がずいぶんと

ラフな下町訛りになってきた。


「ああ、すまない、脱線しちまったな。話を戻そう。」

「君らの争いが単なる財産目当てだったら、

我々としても知ったこっちゃない。

どうぞ、ご自由に、だ。それでなくとも魔法が使える

貴族なんて、ありえない。魔女は教会が許さないしな。

それが代々続いていると言うことだけでも君たちの一族が

特別な存在なのがわかるだろ?」


「しかし、今回はちょっと違う。当主の座を狙うルーパス、

彼を操っているのが恐らくー」


「さっきの女の人!」

ぼくは叫んだ。

「そう、ニナだ。自称オーストリア出身だが、

一切の記録がない。そしてここ数年の彼女の渡航記録を

調べたら、一番訪問しているのはドイツだ。」


「と、言うことは彼女は本当はドイツ人?」

「それはわからない。そこで我々はドイツ国内での

彼女の行動の監視と調査を始めた。


そこで見えてきたのが、彼女が数年前ドイツ国内に突然現れ、

ある政党のアドバイザー的な存在になったと言うことだ。


その政党は彼女のアドバイスもあり、

ドイツ国民の熱狂的とも言える支持を受け、

近年目ざましい躍進を遂げてドイツ国内を掌握した。


そして現在、周辺諸国に対して虎視眈々と領土侵略を

狙っている。このまま行けば、またヨーロッパ全域を巻き込

んでの戦争が起こる可能性が非常に高くなっているんだよ。

彼女がルーパス氏に近づいたのはその政党の差し金だろう。


もしこのままルーパス氏が当主になる様なことがあれば、

我が国は安全保障上大変な危機の可能性があるんだよ。」


「アーサーさん、その政党ってどこなんですか?」


「国家社会主義ドイツ労働者党。アドルフ・ヒトラー

率いるナチ党だよ。」


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