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贄の王座と侍るもの  作者: 伊空 路地
第八章 鏡を割りて殺せ
244/292

242 揺れ動く世界

八章完結です。

次の更新までは少し時間を頂きます。申し訳ない…!


挿絵(By みてみん)




 大国ザーツラントの消滅。


 その情報は世界を震撼させ、内海を中心とした各国に大きな緊張を走らせた。


 教会及びターレルは堂々とラヴェイラを批判し、旧ザーツラントを教会の統治下に置くべしと声明を発する。


 ファーテルもまた、ザーツラント分割による利益の少なさを不満に思い、ラヴェイラとの軋轢を増す。


 砂漠のガリアも教会に同調、ラヴェイラの伸長に警戒を強め軍備増強に走る。


 対して、アッサラ地方の諸国はターレルに賛同しないと表明し、中立を守る。


 遠く外海の雄エルメアは平和の使者を名乗り、各国の仲を取り持つという名分で介入を開始。


 そして数多の思惑が渦巻いて、悪意と強欲の混沌が生み出されつつあるその最中、次なる火種がガリアにおいて弾けようとしていた。





















 魔境、廃都リデアの城。


 サンは【転移】で帰ってくるや否や、主の居室の扉を叩いた。


「主様、サンです。急ぎ、お伝えしたい事が」


 扉はサンが触れずとも、内から勝手に開いてくれる。贄の王が魔法で開けてくれているのだ。


 サンが中に入った時、贄の王は何やら巨大な一枚布を宙から垂らし、そこに複雑かつ繊細な模様を書き込んでいるところだった。


 主は手を止めてサンの方に振り返ると、用件を言うよう促す。


 サンは一度呼吸を整えると、持ち帰ったばかりの情報をそのまま伝え始める。


「ただいまガリアより帰りました。メレイオスとガリア政府内通者との密談の最中でしたが、急報が入り戻る事に。連絡の主はマーレイス。内容は――」






「政治結社パラスキニアが、ガリア政府に宣戦布告をしたと」






 ガリアにおいて、サンたちの協力者パラスキニアがガリア政府を相手取って内戦を起こしたのだ。


 サンが聞いた時は驚きで飛び上がったものだったが、贄の王はそう聞かされても静かに頷くのみであった。


「……動いたか。そろそろだとは思っていた」


「主様、予見していらっしゃったのですか」


「そうなるだろうと思っていた」






「――世界が動く。戦争が起きるぞ。世界中を巻き込んだ巨大な戦争が」


「戦争……」


「そうだ。長く激しい戦争が。そして――」






「――我らの宿命もまた、決着を迎える時が近づいている」







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