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贄の王座と侍るもの  作者: 伊空 路地
第六章 神聖悲劇
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193 魂の澱

めためた短いです。でもここで一話にしたかったんだ。お許せ。


 ごめんなさい。






 ごめんなさい。


 わたしは。






 ごめんなさい。


 あなたは。






 ごめんなさい。


 ――どうして、謝るの?






 ごめんなさい。


 ――何を、謝っているの?






 わたしを、赦してくれますか。


 ――だから、一体何のこと?






 わたしが、赦されないことをしたとしたら。


 ――赦されないこと?






 あなたは、わたしを赦してくれますか?


 ――……。






 ――もし、貴女が何か罪を犯したのだとしたら。……そんなこと、無いと思ってるけれど。


 ――でももし、貴女が何かをしたのだとしたら。


 ――赦せないことなんて、きっと無い。


 ――私たち、何があっても友達よって。約束したでしょう?


 ――大丈夫。


 ――ちょっとくらい喧嘩したって、私たちは友達。でしょう?






 ……あぁ、わたしは。


 ――?






 ……ごめんなさい。わたしが……。


 ――どうして……。






 ……ごめんなさい。わたしは……。


 ――どうして、そんなに悲しそうな顔をするの?






 ごめんなさい。


 あなたは、わたしに、裏切られる。


 あなたは、あなたに、裏切られる。


 わたしは一人が嫌だった。わたしは一人で死にたくなかった。


 だから、だから、わたしは。


 わたしは、あなたを……。






 わたしは、あなたを、殺してしまうの。






 あなたの全てを、否定して。


 あなたをあなたに裏切らせて。


 あなたは本当に一人になってしまう。


 全部全部、わたしのせい。


 わたしがそう、想ったから。


 わたしがそう、願ったから。


 わたしがあなたを()()()から。


 だから、ごめんなさい。赦されないことをしたの。






 ごめんなさい。謝ることしか出来ないの。






 ごめんなさい。






 赦さなくっても構わない。






 ごめんなさい、()()()()()――。





















 深い、深い、”闇“の中で。


 一つの邂逅があった。


 いや、邂逅というのは間違いかもしれない。


 それでも、邂逅という言葉を使うのが、優しさというものだろうか。






 とにかく、一つの邂逅があった。


 本来それはあり得なかった。起こり得る筈は無かった。


 だから、もしかするとそれは奇跡というものだった。






 そして、邂逅は真実を導いた。


 一人は最初から知っていた。


 一人も最初から知っていた、筈だった。


 忘れていたのだ。


 その邂逅に至るまで、ずっと忘れていたのだ。


 “そういうこと”になっていたのだ。


 それが“望まれた”から。






 邂逅によって、それは思い出された。


 思い出された、のだ。






 そして、少女は”闇“より回帰する。


 少女は現実へ帰還する。






 一つの真実を手にして。







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