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循環器科(内科・外科混合病棟編)
[白衣四着目:岡田さんの天敵]
日々、仕事に小匙程度の情熱を注いでいる岡田さんには敵が多い。
その中でも、長年岡田さんを苦しめている奴がいる。
奴の名は「アンプル」。
ガラス製の小瓶みたいなやつに、注射液が入っているアレである。
入っている注射液の量によって大きさも様々であり、岡田さんを苦しめているのは10ミリリットル以上の大きさのものである。
何がそんなにヤバイのか。
油断すると、かなりの確率で指を切るのである。
これがまた地味に痛いうえに、その後の仕事(処置や手洗い)にも支障をきたす。
手袋をしてからアンプルカットしろ、ハサミなどで叩き割れ、といった全うな意見もあるが、手袋をしていてもまれに指を痛め付けてくるのが奴の性質だ。
だが、バキバキとアンプルの蓋を開けるのは正直爽快感もある。
大体10ミリリットルの大きさの注射液は、岡田さんの病院では一回に5本使うことが多い。
指が切れる恐怖とバキバキと蓋を開ける爽快感に揺られながら、岡田さんは今日も安全第一で衛生的に点滴作成を行うのであった。