え?ローズティーが解決しましたよ!
「最近、マリエお姉様が元気ないのよね」
そう、私の可愛いくて大好きなマリエお姉様。
そんな姉様は最近ため息ばかりの上の空、オヤツのケーキを食べないのは明らかにおかしいわ。
姉様の大好物のイチゴケーキだったのに。
今日は王宮へ遊びにきた私はスクアーロと外で遊んでいた。スクアーロは姉を心配する私に呆れながら声をかけてきた。
「また姉貴の話か?お前本当好きだよな」
「いや、だって大好きなイチゴケーキ食べなかったし」
「…マリア、それはお前だけだ」
失礼なっ!
「マリア」
振り向くと、こりゃまた6歳とは思えないエロい、いや、色気ムンムンのエリオス王子だった。
彼は私の手の甲にキスをして挨拶をするが、こういうのはヒロインちゃんにやりなさいと心の中で叫んだ私。
「随分、僕よりスクアーロとは仲良くしてるみたいだね」
スクアーロに笑顔で話かけてるエリオスにスクアーロは目を逸らし
「いや、暇だったからだよ!」
となんだか焦っていた。
「マリア、あまり異性とは仲良くなって欲しくないな。君は僕の婚約者だからね」
「ふふ、そんなエリオスの大事なお友達、取らないよ!大丈夫よ!男には男の友情があるからね」
そういえば、前世でエリオスとスクアーロのBL漫画出されてあったなあ。いやあー二人のいちゃこら、萌てたわ。うん。
「マリア、今全然違う事考えてるでしょ…」
「そんなことよりさ、最近お姉様元気がないのよ」
「僕も君に会えない日は元気がでないかな」
「おい、エリオス。多分アイツ話聞いてない。姉について語り始めてるから」
私は最近姉様が元気無く、ご飯もあまり食べない、ケーキも食べない!だからおかしい!と熱く語った。
「それはマリアだけじゃないかな」とクスクス笑うエリオス。あれ、さっきスクアーロにもそんなこと言われたわ。
「とにかくお願い!私の屋敷へきて!本当に姉様おかしいの!」
エリオスは私の顔を近づけて満面な笑顔で
「君のお願い聞いたら、僕のお願いもきいてくれる?」
え?お願い私にあるの?まさか…労働させる気から!?いや、王宮のチョコレートケーキ、私の分を寄越せとかかな。
「違うからね」
エリオス王子よ、凄い!まだ私何も言ってないのに!エスパーか!
エリオスは私と町に出掛ける事らしい。護衛はもちろんいるがなんか買い物付き合ってあげればよいみたい!!
「いいよ!買い物付き合うくらい!とりあえず私の屋敷へゴー!」
私はエリオスとスクアーロの手を繋ぎ一緒に走り出した。二人は何故か頰を赤らめながら、照れていた。
「ふっ、私のお姉様の可愛らしさを思い出してるようね。わかるわ、あの可憐と少しツンデレ部分が魅力の一つ!でもね貴方達には渡さないわ!」
「「違うから」」
そんな同時に否定しなくても…
私達は馬車に乗り、お姉様を探していたら
マリエお姉様は庭付近の方で、一人ウロウロしていた。
私達三人は影でコソとお姉様の様子を見守った。
「お、おかえりなさいっ…というだけよ。それだけよ。ただそれだけよ」
一人でブツブツ言いながらウロウロするお姉様。
顔が赤くなったり、青くなったり、焦っていたり、
「…ほら、おかしいわ。病気よ。ケーキ食べてないから頭おかしくなったのよ」
「うーん、彼女は誰か待っているようだけど?」
「ケーキ食べてないからおかしくなってるとかは思わねえな」
エリオスはあまり興味なさそうにしているし、スクアーロはまた木に登って遊ぼうぜ!と言い出す。
君達、マリエお姉様が悪役令嬢だから興味ないんか!?
ヒロインちゃんにしか興味ないんか!?友達の姉が元気無いんだよ!
少し私がふくれていると二人は慌てて、
「よし!姉貴が変な様子なのはわかった」
「僕も出来る限り協力するよ」
そう協力してもらえるようにはなったけど、姉様は相変わらずウロウロするだけ。
「誰か待っているようだよ」
エリオスはそう言っていたが、はて?誰を待っているんだろう。
お姉様はビクンと固まり、顔を赤くなり始めた。
その視線の先には、
「あれ?トム?なんだ、ただトム待っているだけじゃない」
首を傾げる私とスクアーロ。やっぱケーキ持ってきたほうよいのかなあ…
「ふーん。なるほどね」
クスクス笑うエリオス。え?やだ、何この人また急に、一人で笑っているわ。
「彼女は大丈夫だよ、僕らはお茶をしよう」
でもエリオスの言う通りに、たしかにお姉様の顔色がよくなったみたい。大丈夫になったのかな?
「よし、お姉様ー!!!お茶しましょー!トムも一緒に!」
「マリア」
目をぱちくりしてる姉様可愛い好ぎる。
「マリアお嬢様、ただいま帰りました」
私に挨拶をし、エリオスとスクアーロにも丁寧に挨拶をするトム。
「あれ、トム何処か行ってたの?」
「ハイッ!実は町の薔薇園がリニューアルしていたのでここ一週間そこで修行をさせていただきました」
「へー薔薇好きだねー」
ニコニコ薔薇について話てるトムにお姉様は、
「ふっ、ふん!貴方がいなくても屋敷はいつもと変わらなくてよ!?まったく、薔薇ばかりの話は飽きちゃうわ」
「はい、私はマリエお嬢様と会えず寂しかったですよ」
「ふっ、ふん!」
「マリエ嬢、さっき「おかえりなさい」を言うように練習していたじゃないか」
少し意地悪な顔をするエリオスに、睨むお姉様に、スクアーロは「あぁ!そういうことか」と納得した顔をしているけど、意味がわからないわ。
「しかし、私のような庶民とお茶をするなんて、勿体ないお言葉です」
そうトムが言うと、マリエお姉様はまた悲しむ顔をしている。そうか!わかったわ!
「お姉様!もしかして!!!トムのー」
「えっ、な、なにかしら?」
慌て始める姉様に私は首傾げなら
「トムのローズティー飲みたかったの?」
トムは、お茶を淹れるぐらいなら、と一緒に午後のおやつのティータイムを過ごした。
お姉様はよっぽどローズティーを飲みたかったのね。
凄く幸せそうな顔をしている。
私はトムにコソと、お姉様がトムがいない間、食欲なかったみたいだから、またローズティーいれてね、とお願いした。トムはニッコリ
「かしこまりました」と頷いてくれた。
「エリオス、スクアーロ!ありがとうね!なんかよくわからないけど、ローズティーが無事解決したようだわ」
エリオスは何も言わず私の頭を撫でてニコと笑顔をむけた。
うん、やっぱメインヒーローはカッコイイね。
「さて、君のお願いを聞いたんだから、次は僕の番だね」
ギュッと私の手を握るエリオス。
あれ、なんか黒い笑顔に見えるのは、やはり腹黒王子だからかなー?