決着
目を閉じながら魔力をためていく椿。
「椿君の空気が変わった…?」
ガザニアが目を凝らしながら言う。
「使うのですね兄さん」
サルビアがつぶやく間にも椿の魔力が上がっていく
「よし、行くよソメイヨシノ」
椿が刀を握る手に力を込めガーベラに向かって走り出す
「ウォォォ!」
ガーベラが白目を向きながら氷の柱を飛ばしてくる
「芳乃流剣術二番!」
「枝垂れ桜」
そう言いながら氷の柱を粉々に切り刻んで行く
そしてガーベラに近づいたところで椿が刀を後ろに飛ばし
「芳乃流体術三番!」
「フユザクラ」
ガーベラの腹をめがけて手をつき出した瞬間
氷の壁が現れ攻撃を阻まれた
「さすが、五本の指に入るだけあって一筋縄じゃいかないな」
「おーっと!これは氷の女王と呼ばれるガーベラの絶対氷壁だー!」
「こんな状況でも実況なんてしごと熱心だな」
ガーベラの攻撃をかわし苦笑いしながら椿が言う
「はっ!」
再び刀を異空間から取り出した椿が壁に向かって斬りかかるが次から次へと氷壁が作り出されガーベラに近づけない。
「やっぱり、ダメか……」
椿がそう呟き刀を持っていない方の手を自分の胸にあて魔力を込める
「ウォォォ!」
しかし暴走しているガーベラが椿の回りに氷の剣を何本も作り出し椿めがけて発射した。
ドドドドド。
粉塵で見えないが椿がいた方向に氷の剣がどんどん飛んでいく
「芳乃 椿!これはよけれないか!」
実況がそう言った次の瞬間粉塵の中から電撃が走った。
「ふっ!」
回転しながら電撃を放ち出てきたのは雷を体に纏っている椿だった
「芳乃 椿なんと無傷だ!、そしてこの試合で初めて戦闘魔法を使ってきた!」
「ぐおおおお!」
ガーベラが唸りながらアイスショットを放ってくる。
しかし椿が刀で全て切り刻んだ。
「芳乃 椿!なんとまた刀でアイスショットを全て斬ってしまったぁ!」
「それにしても氷を斬るなんて相当の剣術使いでないとできないはずです」
解説と実況が驚きの声をあげ、観客席の生徒達も椿に釘付けになっている。
「しかし、絶対氷壁を持つガーベラをどう攻略するのでしょうか!?」
ガーベラの絶対氷壁は壊してもまた新たな氷壁ができる。
「なら、それ以上のスピードで壊せばいい」
椿がそう言うと再び体に電気を纏い呪文を唱える。
【神速】
次の瞬間、椿が消えたかと思うとガーベラの回りにそびえ立っていた氷壁が次々に粉々になっていった。
「き、消えた!?」
ガザレアがそんな驚きの声をあげる
「あれが兄さんの魔法のひとつ雷の力で自身の肉体を活性化させ超高速で動く神速という技です」
「すごい…!椿君の剣術が凄いからこそいきる技ですね」
「理解が早いわね、さすが氷の女王の双子の弟ね」
アズレアも得意気そうに口を挟む、その隣にいるうずも目を輝かせて試合を見ていた。
「そろそろ起きろ!ガーベラ!」
再び出来上がった氷壁を破壊し、手のひらに電撃を込める椿
「芳乃流体術三番フユザクラ」
電撃をおびた張り手をガーベラの腹に当てた
「ぐあぁぁぁ!」
叫びながら崩れ落ちるガーベラを椿が抱き止めた。
「ここで、試合終了!勝ったのはなんと転校生芳乃 椿だー!」
わああああ!
会場が歓声で湧くなか椿はガーベラを抱えたままスタジアムを後にした。