決闘開始
「ものすごい歓声だな」
フィールドへと向かう通路をつぶやきながら進んでいく。
すると、学園長がフィールドへの入り口の前で待っていた。
「いきなり目立つことになってしまったね」
学園長が苦笑いしながらそう言ってきた。
「まったくです、魔法は嫌いなのに」
俺がそうつぶやくと
「君に何があったかは娘たちから聞いているよ……」
「……」
椿は答えなかった。
「魔法が無くても君が強いのは十分知っているよ、だが力あるものはその力を示し皆を守らねばならん。」
その時、俺は師匠のことを思い出していた。
「師匠……爺ちゃんにも同じようなことを言われました」
「君が彼の孫なら大丈夫さ、正しい道を歩めるだろう」
そう言った学園長の顔はどこか懐かしげであった。
「引き止めてしまって悪かったね、さあ!思う存分楽しんできたまえ!今というこの瞬間を!」
「はい……!」
わあああああ!
「さあ!皆様お待たせしました!転校生ながらいきなり桜花学園の代表候補である芳乃 椿君とこちらも桜花学園の代表候補でありこの桜花学園の中でも五本の指に入る実力者ガーベラ ベルさんの決闘をここ桜花学園メインアリーナからお送りさせていただきます!」
ちょっとまて、五本の指なんて聞いて無いぞ……
「司会はこの私、クロッカス アーベル」
「解説はライラック バシュでお送りします!」
大歓声のなかフィールドへの中央へと進むとガーベラがすでに待っていた。
「逃げずに来たようですね、ですがその戦闘服はなんですか?見たことがありません」
ウィザードは魔力が上がるローブを着て戦うのがセオリーだが椿は動きやすい黒のコートを着ていた。
不思議そうに尋ねてくるガーベラ、彼女は青色のローブを着ていた。
「言っておきますが手加減は一切いたしません」
「大丈夫だよ、本気でどうぞ」
「余裕でいられるのも今のうちです!」
ガーベラが構える。
「さあ!それでは注目の一戦が始まります!」
司会のクロッカスがそういうと観客の歓声と共にフィール以外の電気が落とされカウントダウンが始まった。
3……
2!
1!
0!
「レディー……」
「ゴー!」
合図とともにガーベラが呪文を唱える
【アイス ショット!】
ガーベラの周りに小さな氷の塊が何個か出現し、こっちめがけて発射された。
「氷使いか」
迫りくる氷塊をすべてかわすとガーベラの前に巨大な魔法陣ができていた。
「くらいなさい!」
【フリージング ブラスト】
魔法陣から巨大なレーザーが発射された。
「おいおい、決闘程度で使う技じゃないよね!」
そう言いながらも俺はレーザーに向かって突っ込んだ。
「な、なにをするつもり⁉」
ガーベラが驚きの声をあげている。それと同時に観客席にいたガザニアが
「椿君!」
心配そうにこえをあげた。すると横にいたサルビアが
「心配いりません」
「え……どういう」
「お兄様は最強なのです!」
「さあ、椿の戦いがはじまるわよー!」
そう言いながら三人はニヤリとしていた。
「よく見ていてください、これから起こることを」