一夜明けて
学園長に呼び出された次の日、家を出るとガーベラが待っていた。
「おはようございます、椿さん」
決闘をしてからまだそんなに日にちはたっていないもののあの時とは違う満面の笑みをむけてくれている。
「おはよう、ガーベラ今日は機嫌がいいのか?」
椿がそう聞くと顔を赤らめ小さな声でつぶやいた。
「それは椿さんに朝からお会いできたので……」
「ん?なにか言ったか?」
「い、いえ!何も言っておりませんわ!」
そんなやり取りをしながら歩いていると後ろから声をかけられた。
「兄さんは相変わらずですね」
振り返ると登校途中のサルビアだった。
「おはよう、サルビア今日はこっちから登校するんだな」
サルビアは頷くと椿達と一緒に歩き出した。
一緒に歩き出して世間話をしているところで昨日の話になった。
「そういえば椿さんガラニチカ学園長に呼び出されていませんでしたか?」
「兄さん、何かしたのですか」
なぜ、みんな何かしたことにしたがるのだろうか。
「来月、交流戦があるだろ?その代表になってほしいって言われたんだよ」
「それで返事はどうされたのですか?」
ガーベラとサルビアが興味津々な感じで聞いてくる。
「出場するって言ったよ」
するとサルビアが驚いたようで
「兄さんが自分から戦うなんて変」
さすがにサルビアは鋭いので道場の改築費が欲しいからと嘘をついたがあまり納得はしていないようだった。
「とにかく学園長からサルビアから細かいところを説明してもらえって言われてるから教えてくれよ」
そう言うとサルビアはため息をつき良いでしょうと言ってから説明を始めた。
「では、出場する他の三校から教えましょう」
「最初に、身体強化や武器創造の魔法を得意としその圧倒的な体術で相手を倒すドイツのツヴァイヘンダー高校、ここには中国からの留学生で怪力乱神の姫、王 リンユーがいます」
「いかにも強そうな名前だな」
椿がそう言うと
「怪力姫……次は負けませんわ……」
ガーベラは戦ったことがあるようだ。
「彼女は昨年も一年生ながら交流戦に出場し準優勝した実力者です、おそらく一番の大本命です」
ガーベラが話終わるとサルビアが再び話し出した。
「次に音や楽器を武器にして戦うオーストリアのチター女子高校、世界的アイドルとしても活躍しているブレッシングディーヴァことアメリア クラリネットはこの学校にいます」
「この歌姫はその名の通り声による攻撃を仕掛けてきます、この人はすでに本家のウィザードトーナメントに出場したこともある凄腕です。」
「そして、最後に火、水、土、風の力を使うのを得意とする、ポルトガルのエレメント高校」
「ここには、特に有力な選手はいなかったのですが椿さんが桜花学園にきたのと同時期にかなり強力な転校生がはいったという噂があります」
「強力な転校生……」
なぜか、椿は嫌な予感がしたが気にしないようにしたのであった……