エピソード 8 新たなる人生の道
森を抜けると1時間も掛からずフィードル王国に着いた。
元々、リーグレット王国とフィードル王国は隣同士の国だ。
仲も良く不可侵条約や同盟を結び、協力し合って国を支えている。
いや、今となってはいたか。
そんなことを考えながら僕は今、エレクさんと一緒に王宮の王室の間の門の前にいる。
「そう言えば伝え忘れていたが、貴公に会わせたい人がいる。だがあまり肩の力を入れるなよ。
貴公がよく知る人物なのだからな!」
そう言われると余計に緊張しちゃうよ。
「よく知る人物」って言っていたけど、フィードル王国の知り合いなんていないし、しかも国自体来るのも初めてなんだけど・・・。
「では、開けるぞ!」
・・・ゴクリ。
息を飲み、いったん気持ちを落ち着かせてからエレクさんのうしろについて行った。
中に入ると近衛兵やら、メイドやら多くの人達が整列いていたのがまず先に目に入る。
そこの間を通っているものだから少々恥ずかしく思えてくるが、エレクさんは威風堂々とした態度で歩いていた。
この部屋の1番注目を集める王の椅子の所まで来たところでエレクさんに「私の横で待機していてくれ」という指示が出たので僕はその場に待機した。
それからエレクさんは王の椅子に座った。
「皆のもの、よく城を守ってくれた。おかげでこちらを気にすることなく戦場に向かうことが出来た!」
その報告にここにいるもの達が大いに喜んでいる。
助けて貰った時から思っていたけど、改めて彼女が王女としてカッコイイと思ったが・・・それは束の間の時だった。
「だが、残念ながらリーグレット王国に着いた時には甚大な被害が出ていた。町人達は1人残らず蹂躙されていた。リーグレット王宮も跡形も無く、時すでに遅かった。我々は遅すぎたのだ。
同盟を結んでいたはずなのに連絡が来るまで我らは何の警戒もしていなかったのが今回、リーグレット王国を助けてやれなかった原因だ」
エレクさんは今回の事について洗いざらい話すと、こちらを見て来た。
「こちらにいるのは、リーグレット王国王子ユートリア・リーグレットだ。私が戦場で助けた人」
この部屋にいる全員が険しい顔をして僕の方に注目して来る。
僕はその時戦場でのことを思い出していた。
エレクさんは連絡を待っていたからと言っていたがそれは少しおかしな点が出てくる。
同盟を結んだ後お互いの国にそれぞれ大使館を置いている。
大使館はあの時攻撃されていなかった。
ならばそこからいち早く連絡出来たはず。
僕の見解だけどエレクさんもリーグレット王国が戦場になる前からこちらに向かっていたんじゃないかな。
だけど、その道中邪魔が入って結果的に助けられなかったということだろうか。
そうだとしたら一体どこが・・。
「今からフィードル王国は他国との共存を図るため、ここにいるユートリアを我の側近の騎士に迎い入れ、連合国の中心国になる!!」
「これ以上こんな事が起こらないように我が国の政策を変える。これは、民選委員会でも可決された正式なものだ」
「えー!!!!!!!」
今回もこの物語を読んで下さりありがとうございます。
次回の展開はどうなるのか予想しながら次話まで待っていて下さいね!