エピソード10 自己紹介
ドアを開けるとクラスメイト全員がこちらを向いて来た。
先生はいつものホームルームを始める流れで生徒達を静める。
そんな頼りになる先生の後ろに縮こまりながら自己紹介の出番を待つ。
極度の恥ずかしがり屋とコミ症を合わせ持つ僕はこの状態でしっかり自己紹介出来るか不安に思っていた。
だが、この体になった今ではもう一つ問題がある。
それは今後の学園生活を女子生徒として過ごすか事実を告白して男子生徒扱いしてもらうか。
前者を選んだらこの6年間なんの問題も無くすごせるけど、女子は魔法専攻という学園の決まりになっているから騎士選定試験に受けることが出来ない。
逆に後者を選ぶとこれから変な奴だと思われて学園で浮いた存在になること必至。
しかし、エレクさんとの約束を守るためには男子として騎士専攻の訓練を受けなければいけない。
だったら仕方ないと、僕は小さな決意をした。
「それではユートリアさん、自己紹介お願いします」
僕は勇気を出して教卓の前に立ち、自己紹介を始めた。
「僕の名前はユートリア・リーグレット・フィードルと言います。ええっと、ちなみに言っときますけど僕は男子ですから」
予想はしていたがクラスメイト全員が唖然としている。
それは僕が「フィードル」と名乗ったからということと「男子」と言ったからだろう。
この名前はエレクさんが「何かと便利だろう」ということで僕に付けられた。
この名前を付けられたからにはフィードル家に恥じぬよう生きていくしかない。
そういう意味で僕は後者を選んだ。
浮いた存在になるかもしれない。
でも、僕はそれ以前に約束を果たしたい。
だからなにがあってもこの学校生活を耐えてやる、と思っていたのだが・・・
今回もこの物語を読んで下さりありがとうございます。
もし良かったら感想とレビューのほどお願いします。
次回からも1週間に6話以上書こうと思うので是非読んで下さい!