エピソード0 全ての始まり
5月5日の朝、僕こと「神橋 皐月」は自転車で新聞会社の前にある急な坂道を今一生懸命になってこいでいた。
社長から直々に呼ばれたとあらば休日を返還して駆けつけるけどこの坂道を通るよう指示して来たのは少し悪意を感じる。
おかげさまでもう足がパンパンだ。
その後社長室へ行った僕は期待を胸に膨らましていた。
なぜなら、ここで社員になれたら親が溜まりに溜め込んだ借金を返済できる目処が立つからだ。
たが結果から言って社長から発せられた言葉はとても最悪なものだった。
「クビ」
たった二文字の言葉で絶望させられたのはいつ以来だろう。
泣きながら家に帰って来ると借金取りがドアを叩いて来た。
僕にとってはこれは日常茶飯事。
これっぽっちじゃ全然驚かないが、ふと玄関のドアを見ると鍵をしていないことに気づく。
慌てて家具で玄関を防いだら次は窓から外に飛び降りる。
「今回はヒヤヒヤさせられたけど僕の勝ちだよ。借金取り君達!」
着地する場所を見つけ、安心した僕は足を曲げて地面に付くのを待っていた。
しかし僕は運にも見放されているようで空から謎の飛行物体がこちらに向かって来ていると、気づいた時にはもう自分の頭に直撃した後だった。
衝撃で激しい脳震盪が起こってから体が粉々になっていった。
こうして後一年で高校生になるはずだった「神橋 皐月」は14歳でこの世を去った。
目を開けるとそこには雲が一面に広がっていた。
「そういえば、死んだんだっけ」
さっきの死ぬまでの一連の流れを思い出し、360度辺りを見渡す。
一瞬驚きを隠せなかったが、「死後の世界か〜」と思い口を閉じた。
「あなたが神橋 皐月さんですか?」
気づくと、僕の顔を下から覗き込む羽を生やした美少女がいた。
「どちら様ですか?」
疑問を疑問で答えてしまった。
そんな小さい後悔をしながら自分から挨拶する皐月。
「そうです。僕が神橋 皐月です。」
「あ、私も自己紹介しなきゃいけませんね」
彼女はそう言うと、僕の手を握って来た。
「私は天界から来ましたマナリスト・ユートリアです。あなた達の言うところの神様です。そして、あなたの嫁になる者です!」
「ええぇぇぇぇぇー!」
驚きの自己紹介で顎が外れてしまった。
「大丈夫ですか?今治しますね」
顎の治療が終わった後、今の現状を聞いてみたところ
僕には2つの選択肢があるらしい。
「1、このまま魂だけの存在になりここに彷徨い続ける」
「2、私と契約して異世界に転生する」
この2つが選択肢として与えれているようだ。
転生してもまた不幸なことがあるんだろうな〜。
でも不幸になった分、幸せなことが起きるかもしれない。
その可能性があると信じて。
「マナリスト・ユートリア様、僕は2の選択肢を選びます!」
「そうですか、良かった〜。ならこちらにサインを!」
渡された契約書にサインし、契約は成立したみたいだ。
雲の間から太陽が出て来た。
すると、太陽がゲートになった。
「じゃあ、共に行きましょう、異世界へ!」
「うん、行こう!」
2人は手を繋いでゲートをくぐる。
皐月の異世界での冒険が今、始まる‼︎
この度、梅咲 純のこの物語を読んで下さりありがとうございます。
次回からは本格的な異世界物語を書くのでぜひ読んで下さいね。