表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

第5話

 迫りくる4人の悪魔憑きの男たちを前にして、俺はかめはめ波のポーズをとったまま固まっていた。

 考えろ。考えるんだ。この苦境を脱するために……。

 俺の力を増幅して悪魔祓いをするとすれば、増幅前でも力はあることはあるはずだ。それが何十分の一か、何百分の一かはわからないが。


「!っ」ぴこーん。ひらめいた。十分の一なら10発、百分の一なら100発撃てばいいだけの話じゃないか。


「いくぞ!」 「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」一発目。むろんこれだけでは効き目はない。「そりゃっ」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!! 連弾バージョン!!」


「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」。


 おお、悪魔憑きたちがよろめいてくらくらしているぞ。引き続き。


「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」……。疲れた。一体何回繰り返せばいいんだ……。「光よ! 我に集いて、その邪悪な魔より魂を浄化せよ!!」……。


 悪魔憑きを抑えるのが精いっぱいだ……。もう疲れて……だめだ……。「光よ! 我に集いて、……」


 結局詠唱を千回以上繰り返し、やっと悪魔を払えたようだが、俺は精根尽き果ててその場に崩れ落ちた。


 悪魔が祓われた4人の男たちも、憔悴してその場に座り込んだ。


「だらしないわねー、なにやってんのよ」。なぜか満面の笑みを浮かべてアルが光の粒とともに降臨してきた。ああ、そうかお産が無事に終わったようだな……。そんな長時間俺は詠唱していたのか……。まあ、詠唱せずとも悪魔祓いはできるようだが形というものがある。


「お産の天使なんだから、人を癒す力はないのか。俺や今まで悪魔に憑かれていたおじさんたちを回復させろよ」と、アルにいうが「男には私の力は効かないのよ」とのこと。


「我々にとりついていた悪魔を祓ってくださったとは奇跡じゃ。あなたは名のある聖者かね」と、おじさんの一人。


「いや、俺はナザレのヨシュア。イオシフの息子だ」


「おお、イオシフの。今は余力がないが、改めてお礼に伺わせてもらうよ……」。4人のおじさんたちは、悪魔祓いの余波でよろめきながら連れ立って帰途につく。



 若干回復した俺もやっとこさ立ち上がり、家に帰ろうとして「アル、お前はこれからどうするんだ?」。


「あんたの担当なんだからついていくわよ。次の指令もあるし」


 おれはアルと一緒にとぼとぼと家に向かった。そうだ、アルに聞きたいことがあったんだ。


「根本的なことだが、なぜ俺はこの世界に転生させられたんだ? 21世紀人の精神構造が精神寄生生命に体制があるということはわかったが。神様はどうしたいんだい?」


 アルは少し考えてから、まじめな顔でいう。その顔は宗教画の天使のようだ。ようだ、ではなく本物か。「この一連のことは神の計画(メシヤ・プロジェクト)にもとづいているの」。


「行き当たりばったりじゃなかったのか」。


「考えてもみて。この時代、ほぼ同時期に釈迦やイエス・キリスト、孔子などその後の人類の精神に大きな影響を与えた存在が現れたのは偶然だと思う?」


「たしかに紀元前後に発生した仏教やキリスト教は世界宗教となっている」


「紀元前後に悪魔、精神寄生生命の地球への侵略が始まったのよ。それに対抗するには人類の精神のレベルアップが必要だった。そのために神は、人類の指導者として21世紀人を釈迦やイエス・キリスト、孔子として転生させたのよ」。


「げ、俺も偉人なのかよ」


「あなたはイエス・キリストなのよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ