放課後
No.10
「はぁ....待って」
そう言って駆けつけてきた二階堂に聞こえないフリをして僕は去ろうとした。
「◯◯君、ちょっと待...」
彼女が近づくと同時に、僕はその手を振り払った。
「やめてくれないか、こういうの。お前は一体何者なんだよ。あのさあ、普通に考えてクラスも違うやつが僕にしつこくしてくる意味がわからんない。」
正直限界だった。何故か僕の周りにいつもいる彼女の事が。彼女の行動は僕からしたら不可解である。彼女が一体何を目的として僕に近づいているのか。その理由は何故はぐらかしているのか。彼女がふと見せるあの表情は何を意味してるのか。彼女といると謎は増えるばかりだ。
「____君ってつまらないこと言うのね」
彼女は僕にきこえない風に、でもはっきりとその言葉をつぶやく。そして僕の顔を見てこう言う。
「ばーか、あなたそっちの方向じゃ家に帰れないわよ」
まるでさっきの言葉は何でもなかったかのようにして彼女はいたずらな笑顔を僕にみせた。引っかかる彼女の助言がさらに僕を苦しめるのだった。
「ほら、こっちこっち」
僕の腕を強引に引っ張っていき無事駐輪場まで連れてこられた。
「◯◯君、じつはね...わたし」
彼女が息を吸い込んだそのとき、
「おい!あそこにいるのゆりじゃねーか?」
「えっどれ!?んんー、あ、ゆりじゃん!ゆりー!!ってえええあの子私達を差し置いてほんとに」
「◯◯君だ...」
ちょっと待て。状況が理解できない。これだから現実は嫌なんだ。ちなみに現実と書いてリアルと読む。ああそんなことはどうでもいい。ゆりとはおそらく二階堂のことのようだ。ってことはこの3人は二階堂の友達、、いやグルにちがいない。こいつら僕に何をするつもりなんだ。くそ、ことの始まりは二階堂。お前に出会ってしまったことが最大の不覚だ。
一方二階堂はというと、あからさまに顔が青ざめている。




