変色
No.9
気がつくと僕はシミのついた壁を見つめていた。いや、正確に言うと目を開けてたまたま目にはいったものがそれだった。というか、此処は何処だ?あいつは一体僕に何をしようとしたんだ...
まあ取り敢えず、すぐに起き上がって、あいつを見つけて、文句の一つや二つをかましてやるんだ...。と思い、僕は勢い良く立ち上がった。
どこかで聞いた事のある声がしたけれど分からなかった。視界はだんだん歪んできて、僕が崩れ落ちそうになった瞬間、毛布のように抱きしめられた。
「まだ顔色良くなってない...。無理しないでよ。」
彼女は僕に言っているかようで、遠い親戚に言っているかのように言った。
刹那だっただろうか、彼女はすぐにまた僕を寝かせた。そして深呼吸してこう言った。
「○○君、私二階堂よ。意識ある?」
「ああ、ごめん。さっきは助かったよ...............
...ってええ、お前二階堂なのか?昼休み僕に一体何をして___」
二階堂は首を傾げた。
「私が何をしたって言うのよ?確かに私が昼休みに○○君を呼んで図書室まで連れて行ったことは確かよ。でも何も話せなかったじゃない。私が話をする前にあなた、倒れたのよ。」
「そんな馬鹿な!僕が倒れるはずがな___」
「ないとでも?じゃあさっきのはどうなのかしら?それに此処、保健室よ。」
僕は石化した。二階堂の言っていることは正しいと僕の身体も言っていた。二階堂に会ったら文句を言ってやろうと思ったが、それどころでもなさそうだ。
「すまん。取り敢えず今日は帰ってもいいか?」
「そうね。お大事にすると良いわ。貧血と寝不足で倒れてしまい、午後の授業を通り越して、今起床の○○君。あら、言い過ぎちゃったかしら。」
ああああああああああああ!!!僕は馬鹿だ。何でよりにもよってこんな奴の前で倒れてしまったんだ。それに僕が意識を戻した瞬間人が変わったようになりやがって...。くそお...。
僕は保健室を無言で出て行き、カバンを取りに教室に戻り、昇降口を出た。足元はふらつきながらも、意識はあるので平気だった。
数十メートル先から二階堂が此方に走ってくるのが見える。ああ、本当に今日はついていないなあ。




