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魔王様の優雅な日常(笑)シリーズ

勇者VS魔王←状態:ゲーム中

作者: 鈴生彩架

『救世の魔王様は豹変がお好きw』(あれ、これで合ってるよね?)の邪神と戦う前のお話。

「闇鍋美味(うま)し」

 

 本日もショt…ゲフン、魔王少年は飯を食う。今日の昼ご飯は闇鍋だ。

 中身は…紫色をした毒々しいカレー状の液体に内臓っぽい何かやら骨やら豚足やらが打ち込まれている。

 これ、絶対美味くないと思う(確信)

 ご飯を片手に幸せそうに闇鍋(危険)を頬張る魔王様はなんか可愛かった。こいつ絶対魔王じゃねぇ。そう思わせる程度には。

 鍋の中身見たら魔王だけど。超魔王だけど。

 さて、眼福な光景であるがここで問題発生です。

 勇者だ!勇者がきたぞー(棒読み&笑)

 

「魔王!!!この俺が来たからには貴様の悪行は終わりだ!」

 

 どかーん(棒読み)

 豪奢な扉を突き破ってのご登場である。勇者は今、器物破損の犯罪者に成り下がった。

 が、魔王様は一向に気にしない。

 禍々しい煙を立てるお鍋と向き合い手を合わせて、

 

「御馳走様でした。」

 

 と、行儀よく挨拶するレベルに余裕である。

 まあ確かに、勇者に構うよりも殺生を行って食べさせていただいているという事実に感謝した方が偉いと思う。そして器物破損は最低である。

 

「さーて、昼寝しよっかな…あ、異世界(ちきゅう)の天照ちゃんから借りたゲームしよっかな。確か今日天照ちゃんと月夜見とVRMMOする約束してたな…今日は須佐男もするんだっけか。うわーやりたくない。でも約束は守らないと。」

 

 そう言って彼は玉座(木の椅子。シンプルで座り心地抜群)に腰掛け亜空間からワーカーデスクとパソコン(高スペック)を取り出し、早速ドラゴンズクラッシュオンライン(略してドラクラ)を始める。

 

 …チャット…

 魔王【来たよー】

 月夜【おせーよ。つっても須佐男来てねえけど】

 天照【ああ、彼奴なら岩屋戸にぶちこんだ。】

 魔王【GJ】

 月夜【GJ】

 

「おい魔王!聞いているのか!」

 魔王様は画面に真摯に向き合っている。

 

 魔王【じゃ、ドラゴン討伐しに行こうぜー】

 月夜【いえっさー】

 天照【須佐男出てくる前に行くわよ】

 

「くそっならばこっちから‼︎【飛剣】」

 

 勇者(笑)が剣線を飛ばしてくる。

 魔王様は何もしない___と思いきや無詠唱で多重結界を張っていた。

 遊びには常に全力で。ゲームの邪魔などさせるものかという魔王様の意地と根性が伝わってくる。

 

 魔王【何か勇者来たわ(笑)】

 月夜【何人目⁇】

 天照【59人目(天照調べ)】

 魔王【何か反応ワロタ^o^実況するわww】

 

 ___こうして勇者はネットの晒し者となるのである___

 主に、月夜見の手回しで。

 月夜見様は人の無様な姿を見て高笑いするのがお好きなのである。

 

 一方勇者は剣線が防がれたことにより、若干地団駄を踏んでから接近して結界を切りつけまくっていたりするが……ビクともしない。

 魔王様は持ち前の高速タイピングでドラゴンに超級魔法をぶっぱしてフルボッコを実現させながら勇者(笑)を中継する。

 

 魔王【おおっと勇者(笑)地団駄を踏む‼︎後ろの女性(恐らく聖女?)驚きに目を見開いたーーー‼︎勇者(笑)それに気づいた様だ。直ぐにキリッとしたイケメンフェイスで結界を斬りつける‼︎しかし傷ひとつつかない‼︎てかイケメン絶えろ】

 月夜【勇者(笑)って聖女(憶測)に惚れてんの⁇】

 魔王【多分】

 天照【どんな子?】

 魔王【身長145㎝、童顔、つるぺた】

 天照【…喧嘩売ってんのかあ゛あ゛⁇】

 魔王【落ち着け、俺ら子供、聖女(憶測)大人ダヨ(ガクブル)】

 

 天照大御神様が豹変した。

 恐ろしい。魔王様と月夜見様は戦慄している。

 一方勇者は。

 

「くそぅ、仕方ない…これはしたくなかったが……」

 

 様式美を気にしてないでさっさとしろ、と言いたい。

 勇者は聖剣を掲げ___そこ魔言を口にした‼︎

 

「【城崩し(ブレイカー)】‼︎」

 

 結論から言うと魔王城が崩れた。

 魔王様戦慄再び。

 

「…俺のジャンガリアンハムスターとゴールデンハムスターとヨーロピアンハムスターと白猫と黒猫と柴犬と秋田犬とホワイトタイガーとライオンとマギドラゴン達大丈夫だろうか…」

 

 なんか違う。

 と言うかどんだけ飼ってんだよ。

 …など、言えるはずもなく。

 

 魔王から絶対的な怒りのオーラが発生する。色は黒色。最早魔王様(本気と書いてマジと読むモード)としか言えない。

 彼は金の髪を黒く染め…その瞳は自然を思わず緑色から燃え盛るような赤と全てを凍てつくような青色のオッドアイへと変化した。

 

「ふふ…ふはは…アハハハハハッ⁉︎【タダで帰れるとか思うなよこの三下共‼︎】」

 

 激昂に染まった声が響く。

 その身体は青年ほどまでになり先程の幼い顔立ちから妖しげな美しさを放っている。

 寝着と言う何ともやる気の無さを感じさせた格好は赤と金で彩られた質素ながらも王威を感じさせる格好となる。

 ここに、完全なる悪の王が君臨した。

 

「な、」

「え、」

「は、」

「へ、」

「ぬ、」

 

 勇者達は言葉を失う。

 勇者は___先程までは遊ばれていたのかという実力差の絶望から。

 聖女は___その全てを虜にするような完璧な美しさから。

 拳士は___その身体から感じ取れる圧倒的な力量への驚愕から。

 魔物使いは___全てを平伏させるその圧倒的威光から。

 魔術師は___青年から漏れ出る濃密な魔力から。

 

 そう、彼こそが世に蔓延る理不尽の化身。

 神さえも圧倒する者___全ての超越者にて国を持たぬ王、魔王なのだ。

 

「まあ、幸い俺は回復術が使えるんだ。楽しんでいこうぜ勇者様ァ‼︎」

 

 …その後、フルボッコ+リザレクション+刑事裁判→賠償金etcとなったのは言うまでもない。


修正:段落分け

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