感謝してくれても良いんだぜ?
久々な上に物凄く短い。凄く短い。
「と言うことで一狩り行こうぜ」
「いこーぜ!」
何とか逃げ切った俺とセドは家に戻った。そのまま解散しても良かったのだがそれでは俺の気が済まないので取っ捕まえる事にした。
幸い奴は肉食ではないので安全である。
「でも何で夜にやるの?」
「バカ野郎、虫ってのは基本的に夜行性なんだよ」
「兄ちゃんって物知りなんだな!」
「そうだろう、もっと褒めても良いぞ」
「じゃぁ早速行こうぜ兄ちゃん!」
「無視ですかそうですか」
虫だけにな!
気を取り直して準備に取り掛かる。準備と言っても簡単で真っ白な布を灯りで照らすだけ。
「来たっ! 兄ちゃん来たよ!」
数十分後、昼間のカブトムシがやって来た。罠とも知らずにな!
「くっくっくっ、昼間の恨み。八つ裂きにしてやるわ」
「兄ちゃん、標本にするから八つ裂きは駄目だって」
白い布に止まりワサワサしているカブトムシに気付かれないように近づき束縛の魔術を使い確保した。後は殺して標本にするだけだ。
動かなくなったビートルを布から外し毒薬を飲ませて標本にした。
そして俺はセドがその一連の作業をしているのを林檎片手に眺めていた。
いや、聞いてくれ。セドが得意だって言うから任せたんだ。別に束縛魔術使えない訳じゃないよ? 本当だよ?
適材適所って奴さ。それにほら、俺都会っ子だし虫とか正直無理だし。え? 良くとってたんじゃないのかって? 気分で言ってみただけだよ! と言うか元々セドの宿題だし俺関係無いし。
必死に言い訳をしながら林檎を食べ終え作業を終えたセドに近寄った。
「俺のアイディアのおかげだな。感謝してくれても良いんだぜ?」
「いや、でも兄ちゃん布張るの以外何もしてないじゃん」
ごもっともで。
ガキより魔術が使えない事に落胆し嘆いていると何か音が聞こえた。
何かがへし折れたような大きな音。
そう、まるで巨大な生き物が木々を薙ぎ倒して―_
「兄ちゃん! ヘラクビートルだ!」
「化物ぉおお!!」
巨大なカブトムシ、ビートルよりも巨大なヘラクレスオオカブトのようなものが現れる。
確か“俺”の記憶が確かだと奴は肉食だ。
誰か助けて
助けてー