逃がさん
ショボい主人公
昨日、他の人だったら確実に勝っていた戦いに、もはや戦うことすら出来ずに負けた俺は落ち込んだがしかし森に引き込もるなんてしない。
現在日本人の陰湿な嫌がらせをしてやる。
まず第一にサドレ=アイアンの机の中に大量の虫を入れてやった。
クラス中パニックになるがサドレが機転を利かし解決し持て囃されていた。
次に彼の持ち物にR18的な本を紛れ込ませてやった。
サドレ君もそう言うのに興味あるんだと女子が沸きその後、興味無さげに燃やし尽くしそれを見てまた女子が沸いた。
更にサドレの悪口を書いた貼り紙を貼りまくってやった。
女子が沸いた。
正体を隠して金でゴロツキを雇い襲わせたが返り討ち。
女子が沸いた。
あっるぇ? おかしいな。終始周りの好感度が上がっただけじゃないか。
顔か、顔が全てか。
もう良いよ。学校なんて絶対にいかない。図書館にある本も殆ど確認したし必要性がない。
引きこもり最高。
「……それでお前らは何してんだ?」
そう決意し最後の嫌がらせをした後、学校から帰ると見知らぬ子供達が俺の家に侵入しようとしていた。
「うわぁ! 魔女の手下が帰ってきた! 逃げろ!」
わぁぁ! と子供達は俺の姿を見ると喚きながら逃げさった。
しかし侮るなよ。俺は嫌がらせが成功しなくてイラついているのだ。
逃 が さ ん
数分後、ボロボロになりながらも何とか一人を捕まえることに成功した。
ボロボロ過ぎてもう着られないだろうが制服なので問題ない。だって学校行かないもの。
「で、お前は何で人の家に侵入しようとしてたわけ?」
「……」
「喋らないと口の中に虫を入れる」
「肝試ししてました!」
子供の言うことをまとめると
森に魔女が住んでるボロ小屋があるらしい。
じゃぁ肝試ししようぜ!
となったらしい。何とも安直な。
と言うか魔女住んでねぇよ。住んでるのは低スペック魔術師だよ。引きこもりだよ。
何か期待させてごめんね。
「まぁ良いや。林檎食ってく?」
「え、良いの?」
ちょうど安くで大量に手に入れていたのだ。振る舞ってやろう。
子供には優しくこれ常識。
別に人との交流が無さすぎて寂しかったとかではない。断じて。
「それでね、それでね!」
子供とは元気なもので色々と聞いていないことまで話してくれた。
名前はセドと言うらしい。名字は教えてくれなかった。家庭の事情だろうか。
「兄ちゃん、兄ちゃん。だから手伝ってくれね?」
「ん? 何だって?」
「だから、授業で何か捕まえなきゃなんないんだけどビートル捕まえて自慢したいから手伝ってって」
「まぁ良いぞ」
ビートル、ようはカブトムシだろ。子供の頃は良く捕まえに行ってたよ。懐かしい。
「やった! ありがとう兄ちゃん!」
眩しい、子供の笑顔が眩しい。
たまにはこうやって遊ぶのも良いだろう。
そして数分後、俺とセドはカブトムシに追いかけられていた。
「だってさ、ビートルってカブトムシじゃん? 手のひらサイズと思うじゃん? こんなのってねぇよ!」
「グォオオオオオオオ!!」
手のひらサイズ処か恐竜サイズでした。
流石ファンタジー。
カブトムシ(魔物)