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「フッハハハハ!!」
「なあ、その不気味な笑い方やめてくれへんやろか?めっちゃ腹立つねん。」
一件落着と言わんばかりの豪快なパープルの笑い声に、イエローは苛ついているようだった。
「見逃してやってくれ。リーダーの俺に免じて。」
「お前、リーダーだったのか?」
レッドが両手を合わせてイエローに謝ると、聞き捨てならないと言った様子でブルーが会話に割り込んだ。
「そりゃ、リーダーはレッドだろ?」
正式な会議や何かはなかったものの、てっきり結成当初から自分がリーダーだと思ってきたレッドには意外すぎる問いだった。
「そうは、限らないだろう?冷静さのある人物がリーダーに相応しいと、僕は思うが?その点を考慮すれば、必然的にリーダーは僕だろう。」
「はぁ?何言うとんねん。リーダーには、ムードメーカーの資質が最重要や。そんなんあんの、俺しかおらんやん。」
「フッハハハハ!!」
「やかましい。その笑いで、アピールすんなや!」
そこからの帰路は皆自分がリーダーに相応しいと譲らず、唯一会話を傍観していたグリーンの「…うるさい。」という一言でようやく途切れた。
「あっ、グリーン。悪かった、許してくれ。リーダーの俺に免じて。」
「…。」
どさくさに紛れてレッドが放った言葉に、グリーンは呆れた様子で溜め息をつくのだった。
「なあ、俺今思い出したんだけど…。」
「何だ?」
三下の言葉に、ぶっきらぼうな返事を寄越す男。
「あいつら、最近ネット上で話題になってる戦闘集団だ…。しかも、勝負度外視で常識が通じないって噂のな…。」
「どういうことだ…?」
ネットには縁がないのか、男は全く何も知らないようだ。
「自殺、他殺、事故に至るまで死の珍しくないこの世の中で、それを許さずただひたすら生かすことを使命とした戦闘集団らしい。」
「何だそれ。戦って命を守るって、矛盾してねーか?」
フンと鼻で笑って見せる男。
「ああ、確かにな。それに常識が通じないってのも、正義の味方でも悪の味方でもなく、ましてそのどちらの敵でもないというスタンスがそう言わせてるらしい。」
「奴等は善悪を超越して、ただ己の使命を全うしてるってことか。」
「そういうことらしいな。だから、俺達のことも殺さず去ってったんだろう。」
三下もたまには良い情報を持っているじゃないかと思う一方、そういうのは戦う前に思い出せよと男は複雑な心境だ。
しかしそれより何より殺し屋の自分達にとってあの五人組天敵であり、その情報には多いに興味がある。
「…三下、予定変更だ。標的を、変える。」
「…ってことは…?」
男の言葉に、三下はやはりと言った感じで確認する。
「ああ、まずはあいつらだ。」