表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1



「あー……もう、どうしよう」


机にベタッと張り付くように項垂れた。冷たい空気がほほをかすめた。


「会ってくれますか?」



そのメールの送信ボタンがなかなか押せない。この作業をチョコを渡そうとした日からずっと繰り返している。

送信ボタンを押してしまえばどうにかなりそうな気もしないでもない。

でも、それすら出来なかった。

何かの理由があればいい、と思う。それがあれば、きっと、あたしはいつものように彼に会える。

必死に理由を考えた。でも、こう言うときに限って全然、理由もきっかけも見つからない。

何にもないのに、ただ、メールをしたかった。おはよう、暇?、今忙しい?、そんな風にメールできるわけもなかった。彼女になれば、そんなメール送っておかしくないのだろうか。指で伝える文字のひとつひとつに、他意はないんだよ、と自分自身に言い聞かせていた。





2月12日。

バレンタインまであと2日だった。

今年、作ろうと思っているのはガトーショコラだ。フォンダンショコラと悩んだけれど、ちょっと、甘さ控えめのガトーショコラにしようと思った。


「サユリー」

「おはよう、アイちゃん」

「寒いよぉ!!」


友人のアイちゃんはそう言いながらもギュッと抱き締めてきた。


「アイちゃん……?」

「さーむーい!!」


マフラーに顔を埋めながら言うアイちゃんに笑みがこぼれた。アイちゃんからはいい匂いがした。

かわいく、女の子らしく、なりたいな、そう思った。そう、それはきっと、彼に近付きたいから。


「サユリ?」

「え、あ、ごめん」


アイちゃんはふふ、と笑った。


「冬だね」

「うん? そうだね」


何だか嬉しそうなアイちゃんに、キョトンとする。


「2月だね?」

「うん。12日くらい前からね」


にやにやと笑うアイちゃん。一体、何を目指しているのやら……。


「バレンタイン、期待してるね」

「うん? ……え?」


アイちゃんは、楽しみにしてるねぇ!! というと自分だけ先に教室に走った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ