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magica 7

夢をみたんだ・・・

遠い遠い記憶のような夢

そこには、僕に似た男の子がいて

彼は月夜の下、時計台の針の先に座って街を見下ろしているんだ

不思議な歌を歌い、街の皆を眠りへつかせてあげているんだ

自分はそこで、大切な誰かを待ちながら


「鈴守。起きろよー。いくら休みだからっていつまでも寝てるのは良くないぞ?」

突然の崎守の声で鈴守は目覚めた。

いつのまにか崎守は玄関から鈴守の部屋へやってきていた。

「崎守・・・お前・・・いつの間に。」

「鈴守のお母さんが入れてくれたよ。鈴守はまだ寝てるっても言ってた。」

鈴守はため息をついて母を恨んだ。

「で?何?」

「ん?あぁ・・・お前、この街にある古くてでっかい時計台覚えてるか?ほら、小学生の時よく遊びに行ってた。」

「・・・あぁ・・・月の時計台?」

「そそ。アレがなんでも取り壊されるとか・・・聞いたから。」

「うそっ・・・知らなかった。いつ?!」

「来月・・・なんだよね。」

「崎守!!時計台に行くよ!!」

鈴守は急いで着替えて部屋を飛び出した。

崎守も急いで鈴守の後に続いた。

二人が走って駆けつけた先は街にある大きくて古びた時計台。通称『月の時計台』

その時計台に近づくと、時計台の下にはモップを持った一人のおじいさんがたたずんでいた。

おじいさんは、この時計台の管理人で、この街で最も時計台を愛し、長い時間街を眺めていた人物だ。

「おじいさん・・・」

「あぁ・・・鈴守くんと崎守くんかい。久しぶりだねぇ・・・」

「取り壊されるんだってね・・・」

「あぁ・・・仕方ないさ。もうこいつも何年も生きている。それに、時代はもう昔みたくはない・・・ここに大きな高速道路が出来るそうだ。だから、コイツともお別れなんだ。」

「そんな・・・」

「そうだ・・・鈴守くん。君にコレを渡そう。読んでみるといい。」

そういい、おじいさんから渡されたのは一冊の古くて分厚い本だった。

どこかで見たようなデザインの表紙で、鈴守は一瞬懐かしさを覚えた。

それから二人は、時計台の上に座ってその本を開いた。

「なんて書いてあるの・・・これ?外国の文字でもないような・・・。」

崎守は読めないようで、首をかしげて本を覗いていた。

しかし、何故か鈴守には読めることが出来た。

「読める・・・なんでだろう・・・全部読める。」

「えっ?マジで?凄いなぁ・・・。」

その本にはこう書いてあった。


 この世界には一人の神が存在した

 その神は3つの記憶を持ち合わせており

 ひとつは己の人間であった記憶

 ひとつは己がもう一人の人間であった記憶

 ひとつは己が神である記憶

 神は3人分の記憶を持ち 長い年月の間我々を見守り続けた

 同時に 大切な者を時計台と一緒に待ちながら

 いつ現れるかわからない者を望遠鏡で覗き探し続け

 しかし神は突然消えてしまった

 歴史の闇に消えていくように

 我は予言しよう

 近い未来神はまたこの地へ戻ることを

 その時も神は記憶を持ち続けるであろう


「何だか難しい・・・何で神様が3つも記憶持ってんだろ・・・」

「・・・あるのはあるものさ。俺だって今2つ記憶持ってるし。」

そう言うと、崎守は食いつくように驚いた。

「マジでか?!なな・・・どんな記憶なの?!前世の記憶とか?」

実際あれが前世の記憶になるのかどうかわからない。

でも、少なくとも鈴守の中では同時に進んでいた記憶だ。

「俺が昏睡状態で眠ってただろ?あの間、別の世界にトリップしたみたいに別の世界の夢を見てた・・・最初はこっちでの記憶が全くなくて、俺の住んでいる世界だと勘違いしてて、ずっと普通に暮らしてた。でも、記憶が戻りだしてから、これは夢じゃないのかって思い始めた。でも、やっぱ痛いし、きついし、あんまりにもリアルすぎて・・・だから俺は今でも思う。アレは夢じゃない・・・本当に存在する世界なんだって。」

実際に彼らはそこで生きていた。

セシルにヴェクセル、ホーリィ、エイトにカレン、シオン・・・他にも街のおばさんとか・・・色々いるが、確かに彼らはそこで動いている。

だから、嘘じゃないと思える。

「ねぇ、鈴守。本光ってない?」

「え?」

崎守の声ではっとして本を見る。

すると、本は微かに光り、ページがぱらぱらと開いていた。

突如光は激しくなり、二人を包み込んだ。

「うわっ?!」

「これはっ・・・」

包み込まれた二人は浮遊感と共に意識を手放した。

そして、二人が居た場所には本だけが落ちた。


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