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magica 4

仮想現実では、心配する崎守たちをよそに、レイス達は楽しそうにしていた。


また、活気の戻った店では、ヴェクセルとホーリィたちも加わり、更に評判が良くなった。

セシルはレジが主な持ち場なのだが、レイスはエイトと在庫を運び棚に並べ、エイトは何処に何の商品があるのか聞かれたら教えるって感じ。

ヴェクセルは何故かはわからないけど、おばちゃんたちからの人気が激しく囲まれている。と、いうか抱きしめられている?兎に角、早く助けないと窒息死するだろう。

そしてホーリィは若い女性に囲まれている。彼は身動きが取れないようだ。

「あははははー。二人ともモテモテですねぇー♪」

「セシル・・・ホーリィの方見て言ってるけどさ、目・・・笑ってないぞ。てか、うらやましいのか?」

「レイス君。私の中の辞書に『うらやましい』と『憎い』と『キザ野郎が死にやがれ』という単語はありませんよ。」

「黒ッ!!セシルってそんなに黒かったっけ?!」

「まさか♪」

と、言っているがセシルの目は相からわず笑ってはいない。

見えるのは黒い微笑み。

右手に握り締めていたロッドを魔法で剣に変化させて今にも戦闘態勢に入りそうだ。

それを見ていたレイスはいつあの剣がホーリィに吹っ飛ぶのか心配でヒヤヒヤしていた。

それから午前の営業時間が終わり、昼食を取って午後から営業を再開しようとしていた時、店のドアが開いた。

「あの、すみませんがまだ準備中なんですが・・・――!!?」

入ってきた人物を見てホーリィが驚いた。

皆は不思議そうにホーリィと入ってきたお客を交互に見る。

「ホーリィ、知り合いですか?」

長い沈黙に皆が困っているとき、仕方なく沈黙を打ち砕くためにセシルがホーリィに声をかけた。

「・・・ル・・・」

「え?」

「ウィルおじちゃんだ・・・!!!スゲェ!生きてる!!」

『えぇぇええええぇぇぇッ?!』

おじいちゃんが生きてると言われて一同驚愕。

今まで勝手に死んだと思っていたのか、それとも、これは幻覚なのか。

とかなんとか考えているうちにおじいちゃんは近づいてくる。

どう見たっておじいちゃんではないだろう。

170cmくらいの身長で体格はスラッとしていて、しっかりした足取り。

おじいちゃんなら白髪のところを綺麗な短い赤毛。

若々しい肌に似合わぬマルチウェポンの双剣。

「いや、僕もあの時ばかりは流石に死んだかと思った。けど、どうやらまだ死ねないらしい。」

子供のような声音でそうつぶやいた彼、ウィルは顔をあげた。

それはホーリィと瓜二つ。

「スゲェ・・・ホーリィがもう一人いる!髪の毛の色は違うけど・・・」

レイスの言葉に一同頷く。

無性生殖で増殖したときどっちが最初に観察していたアメーバだったのかわからなくなったときの驚きくらいに、似すぎているのだ。

でもこの場合最初のアメーバはウィルになるのだろう。

「初めまして、皆さん。僕はウィル・トワイライト。ウィルの曾祖父です。」

『曾祖父ーッ?!』

どれだけ長生きしてんだ!!と一同心で突っ込む。

つか、若すぎにも程があるだろ!お前忍者か?!とかなんとかも突っ込んでみる。

「・・・え・・・じゃあ祖父は?」

なんとなくヴェクセルが聞いてみた。

確かに祖父は何処?と一同同意。

「あー・・・デリスは生命反応が感じ取れないから死んだんじゃないかな?」

「あー・・・確かにそうかも。デリスの反応全然ないや。」

ウィルとホーリィは何かを感じ取っているようだ。

「感じ取るって?」

エイトが聞くとホーリィは言った。

「俺たち人間じゃなくてAIって言う人間兵器でさ、元々は闘うために作られたんだけど・・・僕らには同じAIの生存が分かる回線みたいなのがあるんだ。それで感じ取るの。・・・あれ?」

突然ホーリィが不思議そうにつぶやいた。

「どうしたの?」

「うーん・・・ねぇウィルおじいちゃん。この反応何?俺、この人知らない。ってか、AIじゃあないけどAIに属すって言うか・・・」

「あー・・・この反応?これはヴェクセルだよ。」

そう聞いてウィル以外の全員がこの場にいるヴェクセルに視線をずらす。

「・・・え?僕?」

「いや、んなわけないない。だってこの反応、港の方からするよ?」

「・・・ここにいるヴェクセルではなくて、過去の世界に存在していたヴェクセルのことですよ。ヴェクセル・クライシス。重剣士でSS級の実力を持つスウィーパー。彼もまた、僕と同じように甦ったってことですね。」

「ウィルさん、どうしてあなた方は今、甦り始めているのですか?」

セシルはウィルに質問した。しかし、その質問にウィルは困ったように笑い返す。

「僕らにもわからない。ただ、僕は僕の現実世界で演奏中に倒れちゃったんだよねー。突然過ぎて驚いたけど気がつけば懐かしい王都ルインの町並みの中にいることに気がついてね。」

ウィルのその言葉にレイスは疑問を抱いた。

「ウィルさん、あの・・・現実世界ってなんです?」

「いや・・・その・・この世界以外にも世界があるって言うか・・・FACTOR'sってバンドで演奏していたんだ。」

「ふぁ・・・ふぁ・・・?!FACTOR's?!あの?!あの、FACTOR's?!」

「え?君ももしかして・・・」

「俺も現実世界から来たんだ!闇ヶ丘高校の黒羽鈴守って言います!」

「あぁ、闇校の?俺、シグルド。本名は翡翠志乃。よろしくね。」

それを聞いてレイスは倒れそうになる。

ウィルと名乗っていた人物は自分の現実世界で有名なFACTOR'sのボーカル。シグルドだったのだ。こよなくシグルドとカイトを愛しているというか、大好きなレイスには麻薬的発言だった。

今自分の目の前にはシグルドがいる。

しかも本名を名乗った。公式HPや、限定版ブックを買っても載っていない本名を!

「ヤダヤダ!スゲー!!シグルドさんやん!!あの、握手してください!出来ればサインも!つか、本名名乗っていいんすか?」

「本名は別にいいよ。君にしか教えてあげないから。現実に戻れたら、オフ会で会おうね。」

そう言ってウィルはレイスの手を握った。

この時レイスは『もう死んでも構わない』と思ったとか思わなかったとか。

非現実でシグルドさんとであっちゃったレイス。

そりゃテンションもあがるわ。

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