magica 3
一旦現実世界のお話
現実世界では鈴守は深い眠りについていた。
大型トラックにひかれた鈴守は怪我は軽傷ですんでいたため、すぐに完治はしたものの
意識不明の状態で目を覚まさずに眠り続けていたのだ。
脳にも何の異常もなく、何時目覚めてもおかしくない状態なのだが・・・。
「・・・お前CD買うんじゃなかったのかよ・・・」
崎守は学校が終了するとすぐに病院へ来て鈴守の様子を見に来ていた。
「また意識不明かよ・・・お前、好きだなぁ・・・意識不明状態に陥るの」
いや、決して意識不明になるのは好きではないと思うのだが・・・。
とりあえずは心配している崎守の元へ崎守と鈴守の友人である田村が来た。
「あ、田村。」
「よぉ、崎守。鈴守はまた眠っちまったか・・・」
「うん。やっぱりまだ無理っぽかったのかもね?」
「意識不明者ねぇ・・・お前、知ってるか?【FACTOR's】のボーカル&ピアノの【シグルド】さんとエレキの【カイト】さん達も鈴守と同じ時刻くらいに意識不明になったんやって。」
「同時刻に?!」
「うん、そんときな、番組の収録中やったみたいなんやけど、演奏中に急に二人とも倒れたんやって。あと、各地で数名。」
「どうしてなんだろう・・・皆同じ病気にかかってたとか?」
「まさか・・・そんなこと確立上低いで?」
「だよなぁ・・・」
鈴守の眠る病室で二人は『ヴーん;』と呻りながら頭を抱えた。
突然の同時多発意識不明者の現象。
鈴守の二度目の意識不明。
するとその時、鈴守の隣のベットにいた患者さんがつけたTVから意識不明者のことについての情報が流れてきた。
『昨日、S県 闇ヶ丘高校二年生 黒羽鈴守君が大型トラックにひかれて意識不明となりました。怪我は軽傷で済んでおりますが、目覚める様子がないとのことです。
そして、この黒羽君の状態と関係があるのかわかりませんが、V系バンドでおなじみのFACTOR'sのシグルドさんとカイトさん、某有名ネットワークゲーム会社の清水翔さん、光ヶ丘大学の豊穣眞人さんの方々もほぼ同時刻に意識不明になり、病院へ搬送されました。彼らは全員植物状態です。』
「・・・植物状態ってなんだっけ?」
そう崎守がつぶやくと丁度、鈴守の様子を見に来た医師が教えてくれた。
「植物状態とはね、生命の中枢である脳幹は健全だけど、それ以外の脳機能のほとんどが働かなくなっているかあるいは死滅している状態のことなんだよ。栄養を与えれば消化、吸収、排泄は無意識にしても、その他動物的機能は消失して植物と同様という点から植物状態と呼ばれているんだ。」
「はぁ・・・む・・・難しい。」
「崎守は理科2だもんな」
「ウザッ!」
「まぁまぁ、兎に角、助かる見込みはあるんだ。心配いらないさ。」
そう言って医師は死んでいるように眠っている鈴守の方へ行き、栄養分でもある点滴を新しいものへ変えた。
「ほら、もう遅いから帰りなさい。ご両親が心配するんじゃないのか?」
そう医師に言われて、二人は渋々と帰っていった。
今度来るときは活けるための花を持って来よう。
同時多発意識不明者が出ました。遂に。
ギャアァァァァ━━━━━━(゜Д゜|||)━━━━━━!!!!!!
ヽ(д`ヽ)。。オロオロ。。(ノ´д)ノ<鈴守くんと関係があるのか?!