magica 19
「セシルさんの推理は総てあっているよ・・・ふふふ。さあ、黒羽鈴守。」
朱雀は鈴守に向き直ると、ゆっくりと歩み寄ってきた。
鈴守は朱雀から目を離さなかったが、嫌な予感がして無意識にも後ずさっていた。
「僕とひとつになろう。そしてこの世界を破滅に導くんだ。」
「ば・・・馬鹿言うな!!お前の一方的な意見だけで地球終わってたまるか!!」
「鈴守・・・君は僕なんだ。その体に秘められた力を僕に分け与えてくれ。」
鈴守はあっという間に朱雀に取り押さえられて、背後の壁に押し付けられたようになってしまった。
「レイス!!」
はっとしてセシルが魔法で阻止しようとしたが、朱雀と鈴守は魔法結界で守られていて無常にもセシルの攻撃は弾き返された。
ヴェクセルやホーリィ、エイトにカレンも対抗するように魔法攻撃をぶつけるが、結界にはヒビすら入らない。
しかし、何処からか彼らの攻撃とは違った攻撃が飛んできて、結界を破壊した。
「何者だ!」
朱雀が鈴守から目を離してセシルたちよりうしろにいる人物たちを見た。
「僕らを忘れてもらっちゃ困るねぇ。」
「そうそう。大体、僕らがここに存在するのは君の時空移動の原因でもあるんだし?」
「と、言うか・・・そんなことより未来の僕らが闘っているのだから過去の僕らも手伝わなきゃ」
「悪は削除する。そうインプットされている。」
「力になるか分からないけど・・・」
「僕も、まだ残る力で。」
そこにいたのはセシルたちの前世である人物と、その仲間たちのウィル、ヴェクセル、キリク、羅群、ラン、ファイがいた。
「あいにく・・・僕も現実世界でまだまだバンド続けたいんでね。世界終わらせられちゃ困るんですよ!!」
そう言い切り、ウィルは古い光魔法のバズーカを朱雀へ向けて飛ばした。
そして続いてウィルを台にしてヴェクセルが飛び上がり朱雀に重剣を投げつけた。
それは朱雀の急所を突いてブーメランのように戻ってきた。
続いてキリクが左手を変形して銃にするとガンガンぶち込み、ランが雷を落とした。
「くっ・・・貴様ら・・・」
鈴守は隙を見計らって逃げようとした。
しかし、朱雀はすぐに気づいて鈴守を術で身動きを取れないように封じた。
「うっ・・・このっ!!!」
「ははははははは!!貴様ら、コイツがどうなってもいいのか?!」
朱雀は鈴守を前に抱えるように持ち上げてみせた。
「ちっ・・・攻撃できない。」
誰もが反撃できなくなった状態に舌打ちした。
「ふふふ。反撃できないようだな。」
「はっ・・・はは!ははははは!!お前ばっかじゃねーの?!」
「何だと?」
目の前で笑っている鈴守に視線を戻すと、朱雀は目を見開いた。
「俺はお前。お前は俺。つまりお前も動けないんだよ!ばーか!」
そう言うと鈴守は魔法の不発を利用して朱雀の手の内から逃げ出した。
「レイス!」
「大丈夫、さぁ皆。朱雀を倒すよ!」
鈴守はロッドを握りなおして朱雀へ向けた。