magica 13
中層・第0番区 ミスリアルガレッジ 闇ゲート裏回路 X29854L2 エリア零。
そこへ鈴守とホーリィにヴェクセルの三人は訪れていた。
本来ここへの進入は、ある研究者の許可がないと、大統領も、王様も、誰も通れないらしい。
「ねぇ、ヴェクセル。何で俺たちはここに来れるの?」
その研究者と深い関係でもないと、流石のヴェクセルも入れないはず。
とても気になるところを、鈴守は問う。
「・・・幼馴染がね、研究者の知り合いで、僕も紹介してもらったんだけど・・・彼女は恐ろしい・・・」
「何か半分答えになってないよ?」
『恐ろしいとは失礼な奴だな!ヴェクセル!いつからそんな子になったんだ?』
突如、エリア零入り口前でアナウンスが辺りに響き渡った。
その声は女性のものだが、口が悪い。
「うわっ?!リリー?!」
『うわって何だ?失礼な奴だな!俺は魔物じゃないんだから普通に接しろ!』
「無理無理無理!絶対不可能だから!」
『テメェ・・・その脳味噌またいじくり回してやろうか?』
「いやあぁぁぁぁーッ!!」
ヴェクセルは本気で泣き出していた。おそらくそれほど彼女は恐怖なんだろう。
多分レベルは、修学旅行の夜に肝試し大会で墓の後ろから特殊メイクをして脅かすために出てきた先生たちくらい。
しかし、ヴェクセルは以前いじくり回されたのだろうか?
というか人間の体で本気でそんなことをやっていたのだろうか?
『ん?お前達がヴェクセルの言っていた友達か?任務ご苦労さん。言っておくがエリア零への侵入の許可は俺しか出せないからな。ありがたく思え。』
(うーん・・・なんともムカつく喋り方。)
鈴守は表情には出さなかったが、内心かなりキレていた。
「あはははありがたく通らせてもらいます(棒読み)」
『あ、行くときは途中にいるヴィズダムを連れて行け。奴が最後のゲートを開けてくれる。』
「ヴィズダム?」
『動力源のある部屋で本でも読んでいると思うから、ヴェクセル、案内しろ。こっちも忙しいんだ。馬鹿な大佐がきやがってな。じゃあな。』
そこでアナウンスは途切れた。
途切れる寸前に聞こえた銃声と、男性の悲鳴は聞かなかったことにしよう。
「それじゃあ行きましょうか?」
そういい、タッチパネルにヴェクセルが触れるとエリア零の扉が開いた。