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magica 10

崎守とセシルから離れた鈴守とベルは、早足でセシルのお店へ向かっていた。

「これからどうするんですか?レイス。」

「きっと何処かでパンドラの箱が開いたんだ。だから、その箱が何処から来て、どうして開いてしまったのか・・・突き止めなくちゃね。そして・・・誰がパンドラなのか。」

「でもどうしてセシルのお店へ?」

「僕の装備品がおきっぱなしだから取りに行くのもあるし・・・それと、魔力が一番高まるのはあの場所だけだからね♪」

何をするつもりなのか、分からずにいるベルは兎に角、鈴守について行った。


「エイトーッ!カレンーッ!!もうぶっちゃっけ誰でもいいから誰かいるーッ?!」

大声を上げて鈴守はお店の扉をぶち破って入ってきた。

ガラララッ・・・ ドサドサドサ・・・・・・

ガターンッ!!

大きな音を立てて、物が落ち、机が倒れて、人もこけた。

エイトは運んでいた本を全部落としてしまい、カレンはこけた拍子に机にぶつかったようだ。

「いたたたた・・・」

「何なんですか・・・突然。」

「やっぽー☆二人ともー。」

店の玄関先に立つベルと鈴守を見て二人は固まった。

少し悩んでいるようで、呻ってはいたが、口を開いた。

「もしかして・・・ベルさんの隣の方は・・・レイス?」

「あったりー☆レイスだよ!!」

そう鈴守が言うと、二人は目を見開いて驚いたようで、お互いに顔を見合わせて、鈴守を再確認すると、同時に飛びついてきた。

「「レイスーッ!!」」

「うおわっぁぁぁ?!」

もちろん平均高校生の力で二人の中学生くらいの男子を支えられるわけもなく、鈴守は後ろに仰向けに倒れた。

「おかえり、レイス!心配したんだからね!大体、突然意識失うしさ!」

「もーッ!!今まで何処に行ってたんですか?!帰ってきたと思えば、姿が変わって・・・訳わかんないですよっ!!」

エイトとカレンが嵐のように鈴守へ喋りかけてくる。

「ちょっ・・・二人して話しかけられてきても・・・;;俺聖徳太子じゃないんだから!」

「「しょーとくたいし?」」

二人は不思議そうに首をかしげた。

例えで聖徳太子と言ってみたが、この世界には聖徳太子なんて存在していなかったので、二人が聖徳太子の存在を知るわけもなく、もっともな返答をした。

(まぁ・・・そりゃそうだ。)

苦笑するしかない鈴守は返す言葉もない。

「まぁ・・・でも、また戻ってきてくれてよかった。」

「本当。皆心配していたんですからね。」

「・・・ごめん。皆集まったら、皆に謝らなくちゃね。」

鈴守は二人の頭に手を置いて撫でてやると、気恥ずかしそうに二人は笑った。

「さて・・・じゃあちょっと調べものをしようかね・・・。エイト、俺のレイディアントは?」

「ちょっと待っててー。取ってくるね。」

そう言い、エイトは二階へ消えていった。

その間に、カレンに燭台を4つ用意させて、鈴守は、お店の床の魔法陣の上に大きな布を一枚置いて、自分の指をナイフで少し斬り、布の上に新しい魔法陣を描き出した。

魔法回路用の魔法陣とはまた違ったデザインで、少々恐ろしい感じのするものだ。

その四隅に火を灯した燭台を置くと、鈴守はレイディアントをエイトから受け取り、呪文を唱え始めた。

『聞け 世界に存在する総ての神々よ 今開き始めている邪悪な蕾を その目で突き詰め ここに示せ』

唱え終えると、レイディアントは鈴守の手から離れて宙に浮き、切っ先から光があふれ出して、あるひとつの名前と教会の名前が浮き出した。

―― クレイバー・リーヴ大聖堂 ――

―― エドワード司祭 ――

「・・・誰だ・・・?」

「どうしたの?レイス。」

「この街にある教会で・・・クレイバー・リーヴ大聖堂ってあったっけ・・・?」

鈴守は生活のほとんどが中層部だけだったので、上層部と下層下部の地理はそこまで詳しくない。

最も、上層上部など行ったことがないに等しい。

三人に聞いてみたのはいいが、どうやら三人も知らないらしく、首をかしげている。

「うーん・・・鍵を握っているのはこのエドワード司祭という人物と思われるけど、大聖堂が何処にあるのか解らないと・・・」

「セシルさんなら知ってるかもねぇ・・・」

「そうだねー・・・じゃあセシルが帰ってくるまで待ってようか。」

そう言い、鈴守達が椅子に腰掛けようとしたとき、お店の扉が開いた。

「レイス!」

「うわあっ?!はい!」

突然の訪問者の呼び声が大きいために鈴守は驚いた様子で声を上げた。

振り返って入り口を見ると、そこにはホーリィと並んでいるヴェクセルが居た。

早足でヴェクセルは鈴守に近づいてきて、手を掴んでホーリィと一緒に何処かへ拉致ってしまった。

ヴェクセルは感動の再会を味わうつもりは全くないらしい。

そして連れて行かれた先はルイン6番区 商業地区エリアC。

入り組んだレンガ造りの街並みを通り、人ごみを掻き分けてヴェクセルが立ち止まったのは、一軒の立派な洋館。

そこにホーリィと鈴守はヴェクセルによって押し込められるように入れられた。

「何々?どうしたの?」

「ヴェクセル、何なの突然?」

困ったようにホーリィと鈴守が尋ねると、ヴェクセルは強張った表情で答えた。

「鈴守が戻ってきて少し後に・・・邪気が満ち溢れだした。封印が・・・解けたんだ。」

「・・・封印?ヴェクセル、それ、一体どうゆう事?詳しく聞かせてくれる?」


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