ぼくの平和
掲載日:2025/11/02
母は昼食の準備に忙しい
勝手口からつづく路地裏で
赤ん坊がないている
「ニャンなんだよお前」
「お前こそニャンだよ」
「ニャンじゃないだろ?」
「ニャーならいいのか?」
「芸がニャイな」
「ニャイだと?」
「ミャーっていえないのかよ?」
「いえるわ! ミャーって」
猫の溜息がシンクロする
「ふーん」
「うるさいんだよ!」
健康な声で母が一喝!
母も世界も病んでいる
青空では太陽が燦々
僕はパキシルを飲んで
詩に最後の行を添えた
――母は駆け出し
優しく猫の喧嘩を止めた




