表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/41

第4話 秘められた一夜

いよいよ女王様と一夜を過ごす・・・

 信二は部屋に案内された。客室だろうが、やはり老朽化して壁にひびが入っている。


「ベッドは・・・」


 信二はベッドの状態をみてみた。ギーギーと音がするが程よい弾力がある。


「さあ、いざ!」


 灯りを消して裸になってベッドにもぐりこんだ。レースクイーンやらタレントやら女優の卵やらは相手にしたことはあるが、高貴な方とは初めてだ。それも女王様ときている。さらに初めてだという・・・期待がいやがおうにも高まる。まずはどうやって・・・頭の中でシミュレーションしてみる。すると、

 

「トントントン」


 ドアがノックされた。いよいよのようだ。


「入って来ていいぜ。部屋は真っ暗にしてあるから」


 信二がそう言うとドアが開く音がして入ってきた気配がした。そしてそのままベッドにもぐりこんできた。


「女王様・・・」


 信二が話そうとすると指で唇を抑えてきた。


(言葉を交わさずにしたいということか・・・よほど恥ずかしいんだな・・・)


 信二はその意図をくみ取ってさっと抱きしめた。長身と思っていたがそれほどでもない。やせ型に見えたが肉付きもほどほどある。


(では楽しませてもらうか・・・)


 信二は興奮を抑えきれなかった。


 ◇


 気がつくと朝になっていた。昨夜は激しかったから深く眠ってしまったようだ。隣にはもう誰もいない。信二は起き出して窓を開けた。ここの朝日も清々しくて気持ちがいい。


「トントントン」


 ノックされてドアが開いた。


「朝食のご案内に・・・女王様もご一緒です」


 サキがドアから顔を半分出しながらそう言った。なにかもじもじして恥ずかしそうだ。


「わかった。すぐに行く!」


 信二はそう返事をしておいた。


(そういえば食事をしていなかった。あのことで興奮してすっかり忘れていた。今頃になって腹の虫がぐうぐう鳴っている)


 信二は急いで服を着た。


「さて。女王様とご対面だ。どんな顔をして俺を迎えるかな」


 あれから信二はコトを行った。顔も見えない真っ暗な中、いつものようにテクニックを駆使して・・・。確かに初めてのようだった。だがその乱れっぷりといきっぷりはすごかった。ベッドが激しく揺れてギーギーと大きな音を立てていた。清楚だと思っていたが、あそこまで激しいとは・・・


(人は見かけによらないものだ)


 信二はそう思わざるを得なかった。



 食堂ではすでにアドレア女王が席に着いていた。長机で何人も座れそうだが、朝食が用意してあるのは2人分。アドレア女王と信二の分だけだ。それも机の端と端で距離を開けて向かい合っている。


「おはようございます。よく眠れましたか?」


 アドレア女王様はそうあいさつした。その表情に恥ずかしさなど一片もない。昨日のことなどなかったかのように信二に普通に接している。


(昨夜はあんなことがあったのに平然としている。相当なタマだ。あのことはなかったことになっているのか? よく眠れたも何も・・・一番わかっているじゃないか)


 そう信二はそう思いながらあいさつを返した。


「おはようございます。おかげさまで・・・」

「では朝食にしましょう。何もありませんが・・・」


 豪華な朝食が出ると思い込んでいたが、実際に出てくるのはホテルの朝食と同じだった。パンにミルク、そしてソーセージにチーズ、野菜が少し・・・そんなところだ。だが腹が減っていた信二は瞬く間に平らげた。


「シンジ。今日はコースに行きましょう。そこで練習走行をしていますから」

「わかりました」


 約束だからレースには出なければならない。いや、優勝しなければならないだろう。


(この世界ではどんなものかはわからないが、一つやってやろう!)


 信二は少しやる気が出てきた。


 ◇


 王宮から馬車でしばらく行ったところにレース場がある。1周約12キロ、多彩なコーナーがあり、長い直線もあり、きちんと舗装されている。ピットもあるし、観客席もきちんと整備されている。前の世界のレース場とあまり変わらない。

 そこではすでにホバーバイクが数台、練習走行をしていた。エンジン音を響かせてコースを疾走している。信二のいた世界のバイクとは違う。空気を吐き出して浮力を得て進んで行くようだ。

 しばらく信二はその走りを観客席から眺めていた。


「走りが甘いな。全くできていない」


 まずコース取りがなっていないのである。基本はアウトインアウトだ。コーナーの外側から侵入して内側を通り、外側に抜けるという走行方法だ。それができていない。しかもコーナーで速度を落とさず侵入していくため、そのスピードにふりまわされている。

 それにコーナーの曲がり方だ。体は立てたままマシンだけを無理に寝かそうとしている。


「リーンインすらできていない」


 リーンインとはコーナーを曲がる時、マシンよりコーナーのイン側に体を傾けるテクニックだ。それで安定して早くコーナーを抜けることができる。だが走っている者はほとんど強引なリーンアウトで曲がっている。

 走りをじっと見ている信二にアドレア女王様が尋ねた。


「どうですか?」

「基本すらできていない。これでは勝てるわけがない」


 信二は率直な感想を言った。それにはアドレア女王は表情を曇らせた。


「やはりそうですか」

「まあ、俺ならなんとかなる。ぐっとタイムを縮められるだろう。まかせておいてくれ」

「まあ、それならよかった」


 アドレア女王の表情は少し明るくなった。


 信二はこの世界のホバーバイクに触れたことがない。その走りを見ているうちにマシンを見たくなった。どんなふうになっているのか。できれば乗って試したかった。彼はアドレア女王に言ってみた。


「今度はマシンを見てみたい」

「それならピットに行ってみましょう」


 アドレア女王が先に立って歩き出した。


異世界でのホバーバイクとは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ