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変なトイレ
用を足した。数刻前までの緊張から解き放たれる。
個室の中で座面から立ち上がり、レバーを押す。ブツが流れ去ったのを確認して扉の鍵に手を掛けた。
違和感があったので鍵を開ける手を止めた。誰かが外にいる。一応確認しておこう。
数回扉をノックする。
すると外から「入っています」と返されたためしばらく個室の中に閉じ込められる。いやはや、危ないところだった。
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少しして外に出た。誰もいないことを確認出来たからだ。手を洗い、ハンカチで水気を取ってようやく外の空気を吸う。
入り口に一人男が立っていた。彼と目が合う。偶然では無い。彼は俺を見ていた。
「ああ、やっちまったな。お前。」
「はい?」
「この町じゃケツを拭いていい回数が決まってんだ」
「?」
「お前は2回、拭いた。2回もだ。」
「?」
「これで次のうんこで拭いていいのは1回まで。せいぜいキレのいいうんこにしろよ。」
「?」
「じゃあな。」
「?」
取り敢えずここのトイレはもう二度と使わない。