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なつかしい街

作者: HasumiChouji

 会社に入って東京近辺に配属になったが、2〜3年で北海道に転勤。

 東京に戻れたのは二〇二四年の十月だった。北海道に行ってから、ざっと二〇年。

 北の果てに飛ばされた時にはペ〜ペ〜だった俺も、東京に戻った時には、そろそろ管理職だ。

 休みの日に、お茶の水駅で下りて、本屋街として有名な神保町の方に歩く。

 ああ……まだ、この店、続いてたのか?

 目に入ったのは、北海道に転勤になる前に何度か通った都内にしては安価(やす)い床屋だった。

 この二〇年で髪も薄くなった。

 禿隠しの為に、思い切って短かく切るか……。

 そう思って、床屋に入る。

 何か、あの頃と、ちっとも変ってない。

 従業員は婆さんばかりで、客は爺さんばかり。

 二〇年経ったのに、値段も大して変らない。

「あそこの通りに有るロシア風の水餃子の店、いつも行列でねえ……」

 近くの席に居た爺さんが従業員の婆さん相手に、この辺りの美味い食い物屋について解説していた。

 昼間から高価(たか)めの蕎麦屋で板わさでも肴にして小粋な感じで冷酒を飲んでそうな、小金持ちのスノッブな御隠居さん……そんな感じの口調だった。

 ああ、そうだ、この辺りは本屋街であると同時に、美味い食い物屋も多い。大学生が安く腹を満たせるような店から、月1回のご馳走ぐらいの値段の店まで。

 けど……。

 その爺さんが次々とあげる店……何か変だった。

 東京に戻って来た時に行きたかった店……だが、こっちに来る前にネットで調べたら、もう潰れた店がいくつも有る。

 どうなってんだ?

 そんな感じの口調には思えないが、老人ボケか何かなのか?

 やがて、俺の散髪が終り、料金を払い……。

「おや、新札にしては、クシャクシャですね」

「えっ?」

 店員の婆さんは、俺が出した()()()()()()()()を見て、そう言った。

 首を傾げながら床屋を出て、本屋街の方に歩き……。

 あれ?

 どうなってる?

 ネットの情報では、何年か前に潰れた筈の本屋と、現在、改装工事中で営業してない筈の本屋が……普通に営業中……。

 スマホを取り出し、ネットの情報を確認しようとするが……アンテナが立ってない。

 おい、ここ都内の……それもド真中だろ?

 こんな事、有るのか?

 そう思っていると、道の反対側から歩いてきた男……。

 どこかに電話している。

 いや、それだけなら当り前の光景に見えるが……。

 まさか……。

 でも……。

 どうして……?

 何で、俺が、こんな変な現象に巻き込まれた?

 どこの誰かも判らない、その男が手にしていたのは……二〇年ぐらい前に流行った古臭いデザインの折り畳み式の携帯電話だった。

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